第11話 ギルド

 ご飯を、たらふく食べた俺たちは今、ギルドという場所にやってきていた。


「元々、どこの街にも寄らずに王国を目指す予定だったので、王都でギルド登録をしようと思ったのですが、折角なのでここでしましょう」


 そう言って、ノルザはギルドのドアを開けた。

 ギルドは酒場と一体化した施設のようで、昼時だと言うのに、冒険者は酒で盛り上がっている。


「…相変わらずギルドはうるさいですね。ですがこの雰囲気は嫌いではありません」


 なにか昔のギルドを思い出すかのように呟くノルザさん。

 彼女も昔は冒険者だったのだろうか?


「冒険者登録を」

「はい、かしこまりました!」


 その言葉を聞いて、受付の人は裏の方に走っていく。

 そこから何やら取り出して、こっちに再び走ってくる。


「では!登録者様はこちらに手を翳してください」


 なにやら、謎の機械を持ってきたようだ。

 初めて見るが、これが登録に必要なのだろう。


「これは登録者の情報を更新し続けるカードを発行する機械です!なので、更新は登録時の一回のみです!そして、このカードがないと冒険者としての功績はカウントされませんよ」


 なるほど、これはまた便利な道具があるもんだな。これぞ異世界、俺の常識の範囲を超えた機械はなんだか少年心を擽られる。


「登録される情報としては、名前と年齢、そして、階級です!名前は最初に自分が決めることもできます。しかし、年齢はにがあっても変えれませんのでご注意ください!」


 名前を最初は変更出来るのは助かったな。

 これでうっかり本名が記載され、リーフレット、と記載されたらかなり面倒くさいことになっていただろう。


 よし、色々と説明を受けたところでまずは俺から手を翳そう。

 ピピピと、音を立てて情報をカードに纏める機械。

 しかし、凄い技術だな。魔法の応用か?それともこの世界独自の技術か…。


 暫くして、機械の下の方からカードが吐き出される。


「よし、完成だ」


 名前は「ノア」にした、そのまんまだ。

 年齢は十五で、階級はF。


「では、ここで階級の説明をさせていただきます。階級とはその冒険者の実力を表しているもので、基本的にはAからFの六段階あります。階級を上げるためには、ギルドから発行される依頼をクリアした時にこちらでポイントをつけ、そのポイントがある一定まで行ったらギルドで、昇級試験が実施されます。それで合格が出たら晴れて昇級です。ただし、幾つポイントが溜まったかはギルドの職員でしか見れませんし、殺人や窃盗などの犯罪を犯したらポイントが減り、最悪階級も下がりますのでご注意ください。そして、この枠組みから外れる階級として、Sというものがあります。ですが、これは国の存亡の危機を救ったり、竜の討伐など偉大な功績がないと認められないので、実質として冒険者の階級はAまでとなります!」


 なるほど、階級はポイント制か。

 ギルド職員にしか見えないようになっているのは、恐らく犯罪抑制の為だろう。

 冒険者としての階級は恐らくとても大事なものだと思う。

 階級が高ければ高いほど、信頼度も比例して大きく増えていく。

 だから、尚更冒険者は犯罪を犯せなくなるわけだ。


 しかし、Sの冒険者は相当な強者揃いなんだろうな。

 フェルが、機械に手を翳している間にノルザさんの冒険者カードを見せてもらう。


 ・ノルザ・シービル。

 ・年齢三十。

 ・階級A+。


 あ、ノルザさんって三十路なんだ。

 全然見えないな…。

 …じゃなくて、A+ってなんだろう?


「これはですね。Sには届かないけど、それでも大きな功績を残したらこの階級になるんです」

「へぇー、ノルザさんって結構凄いんですね」

「むっ…」

「我も登録終わった」


 少し怪訝な顔をしたノルザさんを横目に、フェルが登録を終わったので、年齢がどうなっているか確認してみる。


「お、見してー」


 ・フェル。

 ・年齢十五。

 ・階級F。


 年齢十五歳…、絶対なにかしらの魔法で誤魔化してるな。

 だが、こっちの方が変に怪しまれずにすむし、ナイス判断だ。

 フェルの階級は俺と同じFで、登録時はみんな揃えてFになるようになっているようだ。


「では、他になにか聞きたいことはありますか?」

「いえ、特には」

「そうですか!では早速、なにか依頼を受けていきますか?」


「そうですね…。では、折角ですしなにか簡単なものをやってみましょうか」


 お、冒険者としての初依頼だ。気合い入れていこう。

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