人のとる行動には何らかの因果関係があって、深読みすれば行動から動機を読み解くことも出来る。それが名探偵ホームズが世に広めた推理というものであります。
この推理、大層なものに見えて意外と身近なもので……私達も案外日頃からやっているんですよね。不審な行動、道理にあわない動きを見せる人に対して「あの人はどういう理由であんな真似を? もしや犯罪では?」などと疑ったりするものです。
ポストに新聞が溜まっていれば、旅行にいったのか…まさか住人が熱中症で倒れていないかと不安になったりもしますよね?
この作品は、そんな「身近な推理」を実践したものです。
古本屋に本を売りに来るのなら、その本はもう不要だということ。
ファンを止めたのか、電子書籍に切り替えたということ。
それなのに、また同じ人の本を買っている? また新刊を売りにきた?
リアリティのある描写は「ああ、人って行動範囲が決まっているから、道理に合わないことをすると噂になるんだなぁ」と世間の裏面を感じさせてくれるものでした。日常に闇が潜み、ネットで色んなことが特定できてしまう今だからこそ読みたいミステリー。その闇は、考えすぎか? それとも本物か?
疑われたくなければ、目立たぬよう心掛けなければならないのです。メンドウクセー。
日常モノのミステリーが好きであれば是非!