30 貼紙
ちょっと前、七夕の日にリサとデートした時に、リトルトーキョーの祭りの貼紙に目がいったんだよ。
いろいろなイベントがある中で特に気になったのが、とある飲食店の貼紙だった。
着物や浴衣姿でご訪問の方にビール一杯サービス。
さらに記念撮影に応じていただければ料金一割引き、って。
貼紙を見た時は、リサと参加しようって思ってた。
リカルドとはそういう雰囲気でもなかったし。
けど、いろんな雑談の中で、リカルドに浴衣着せてうちわ持たせてみたいなぁって思ったんだ。
同居して、ちょっと距離が縮まったかなぁってのもあったし。
で、そう思った次の休みの日に一人でその店に行って詳しいことを確認してきた。
撮影ってどんな感じなのか、その写真をどうするのか、とか。
着物か浴衣に着替えさせてもらえるスペースはあるのか、とか。
これだ、って思ったんだよ。
リカルドの幼い頃の話が頭に残ってて。
息抜きとして楽しんでほしいのが半分。
きっと戸惑うけど断り切れないリカルドを見ておれが楽しみたいのが半分。
楽しけりゃいい、ってことで、さ。
祭りが本気で嫌なら、きっと誘った時にリカルドはきっぱり断ってるはずだ。
断らなかったってことは、祭りの雰囲気で少しなりとも愉快な気持ちになれる要素はあるだろう。
これでリカルドがすこぶる機嫌を損ねたら、ちょっといい感じになってたおれらの雰囲気は前より悪くなるんだろうけど。
ドキドキだよな。
でも多分、そんなことはない、って思いたい。
いよいよ祭りは明日だ。
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