23 ひまわり
仕事帰りにリカルドが見舞いに来た。
手に、小さな花束を持ってる。
あれは、ひまわりか?
に、……似合わねー!
だってさ、長身の中年が何考えてるか判らないような仏頂面で、笑顔が似合いそうな花持ってんだぞっ。
思わず笑いそうになる。
「社長、わざわざありがとうございます」
それでも、花屋に寄り道して買ってきてくれたんだろうから、その気持ちはありがたいよな。
「ひまわりのチョイスは、社長が?」
「いえ、店員に聞きました」
だろうなぁ。
「ところでひまわりって、太陽の方向を見るから名付けられたそうですが、夜は電灯の方を向くって知ってます?」
「そうなのですか?」
お、ちょっと興味あり?
「そのひまわり、花瓶に生けてもらって、朝と夕方とかに写真とってみよっか」
「その必要はありません」
あれ、実はそんなに興味なし?
「私が直接、確かめに来ればいいのですから」
……え。
今まではおれが入院しても、退院の時ぐらいしか来てなかったから今日来てくれたのも驚きなのに。
暇、ってことはなさそうだけど。
「あなたが病室で使用を禁止されている携帯電話を時々使っているとアーシェイド先生から聞きましたからね。抜きうち検査です。病院の規則が守れないならすぐに退院させて働いてもらいますよ」
あ、先生チクったなっ。
「それではまた明日。おやすみなさい。お大事に」
リカルドはにやっと笑って、病室を出ていった。
渡されたひまわりが同情するみたいにおれに花を向けていた。
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