ダブルデート

 

ダブルデート

 学校に行く途中、私はゆかりと一緒に歩いていた。


「ゆかりは、昨日の夕飯何食べたの?」


「家族みんなでステーキを食べに行ったの」


「いいなぁ。何かいいことでもあったの?」


「実はね私、大学受かったんだ」


「おめでとう。良かったね」


「ありがとう、沙樹」


「ねぇ、ゆかり。暇ならさ週末ダブルデートしない?」


「ダブルデート?私と拓也は、もう受験終わったからいいけど。沙樹と智也くんは受験まだ終わってないでしょ。いいの?」


「大丈夫、大丈夫。私たちが受ける専門学校は、書類審査だけで受かるようなところだから」


「うん、わかった。週末楽しみにしてるね」


 ゆかりはそう言うと、嬉しそうに微笑んだ。


 駅に着くと、私たちはホームで電車を待っていた。私とゆかりは、別々の高校に通っている。だから、電車は逆方向だ。だけど、私が乗る電車はゆかりが乗る電車よりもあとに来るので、いつもゆかりを見送ってから私は電車に乗っている。今日もいつもと同じように、私はベンチに座りながら、立って電車を待っているゆかりの後ろ姿を見つめていた。ゆかりの足細くていいなぁ、なんてくだらないことを考えながら。


「まもなく1番線に電車がまいります。危ないですから、黄色い線の内側までお下がりください」


 アナウンスが流れた。もうすぐ電車が来るのか。そう思っていると、ゆかりが振り返り、笑顔で私に向かって手を振った。それに釣られて、私も手を振った。それから、ゆかりは手を振るのをやめ、前を向いた。そして、向かってくる電車に躊躇することなく飛び込んだ。

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ダブルデート   @hanashiro_himeka

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