サムズアップ
mayopuro
サムズアップ
およそ1万年前、人類はとてつもない技術を持っていた。
なんでも、親指だけを使ってあらゆる事をこなしていたんだと。
会話、取引、殺人…その用途は多岐に渡るものだったようだが…
しかし親指とは、そんなものを一体どうやって活用していたのか。
先人の知恵には全く感服するばかりである。
私と言えば朝から晩まで全身を使って、端から端まで疲労感に苛まれている。
幸い「筋肉痛」なるものは無いようだが、それでもストレスは感じる。
所謂『ストレス社会』は今も尚続いているのだ。
ストレスを起因とする病の多くは死に直結するので、世界中で研究が進められている。
昔は「広い場所でおいしい空気を浴びる」事がストレス緩和に繋がると信じられていたそうだ。
全く、騙す方も騙す方だが…想像しただけで嘘だと分かる。恐ろしくてそんな事はできない。
どうにか生を豊かにする事はできないだろうか…。
そんな折、新しいガジェットの情報が入ってきた。
名前を『サムズアップ』というらしい。
どうやら太古の技術を復元したもので、親指での様々な操作を可能にするガジェットらしい。
「いいね!」と稲妻が走った。
購入確定である。
脈動を感じながら豊かになった自身を想像する。
分からない、私もそこまで詳しくは無いのだ。だがワクワクはある。
親指のある生活。
脳だけの私には想像もつかない。
サムズアップ mayopuro @mayopuro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます