オッパイ坊や(エロではありません)

 十年物にしては我ながらきれいなスーツだ。退社後は仕事でさえあまり着ないで放置してたって言う事を加味しても、珍しく金を注ぎ込んで6桁のを買った成果はあったって言う物だ。

 どんなパーティかはわからないが、少なくとも恥をかくような装束ではないつもりだ。一応軽く袖を通してズボンに足を突っ込んでみるが、問題はなかった。


 しかし僕も幸運だ。木下先生に誘われて二つ返事でオーケーしたパーティが垣山浩二と言う大作曲家の作曲家生活50周年を祝う物だったなんて。垣山さんの曲は僕も青春時代に聞きまくっていたせいでいまだに頭に残っている。暇な時に口笛として吹いて歌が数年前新米歌手にリメイクされて話題になり、そっちしか知らない後輩記者に流行に敏感ですねと言われて首を傾げたのもいい思い出だ。

 しかしなぜ木下スーザン先生が垣山さんのパーティに出向く事になったのだろう。このまま出版社に送っても一応問題ないだろうが、そのパーティに参加してからでも遅くはないだろう、まだ日にちはある。




 板野和夫 06:12

 〉津野智雄君

 僕はドMじゃなくてドSなんだよ。キミは違うけどさ、言っておくけどキミは違うけど、僕は臆病者の名無しの権兵衛君たちを嗤って遊ぶのが大好きなんだ。ま、キミもここに湧いているような人様に笑われる連中にならないようにね、おじさんからの忠告だよ。




 あるいはこの「TT(津野智雄)」と言うアカウント自体、僕が実名でなければ話を聞かないと思ってわざわざ作ったのかもしれない。でもその努力は認めていいし、何より相手と対等の立場で話をしようと言う姿勢がいいじゃないか。そういう誠意のある人間には僕は親切丁寧だ、僕は神様じゃないから誰にも彼にも笑顔だなんてできない。善には善の報い、悪には悪の報いがあってしかるべきだろう。信賞必罰は組織をコントロールする絶対的真理だ。

 ちょこっと探ってみた所、案の定普段は単に「TT」と言うアカウントでツイッターをやっていたようだ。僕はそうではなかったが新聞社時代には会社の窓口的アカウントと私用のアカウントと言う複数のアカウントを使っている人間もいた。

 同じ道具であっても用途によって分けて使うと言うのは当たり前の話だ。その点も実にいい。仲間内でしゃべるような口調で見ず知らずの他人様や地位のある人物に話しかけるような人間の事を、世間的には無礼者とか大馬鹿野郎とか言う。そんな奴がどんな運命をたどるか、少しでも考えればすぐわかりそうな事だと言うのに。




 板野和夫 06:24

 ローリスクハイリターンなんて虫のいい物は世の中にないよ、津野君。ローリスクにはローリターンしかない物だ。ハイリターンが欲しければハイリスクを覚悟すること、それが社会の決まりって奴だ。まあハイリスクローリターンなブラック企業には怒るべきだけどね。




 何事も対価って奴が必要だ。情報だってただじゃない、彼が意見を言うためのツールを買うためのお金を出したのは彼の親である。

 その親への感謝を忘れてはいけない。俺の稼いだ金で何を言おうが俺の勝手だとか抜かせるのは一人前の人間になってからだ、こんな所で好き勝手にわめいているような連中は違う。と言いたいがデパートの店員がこんな事をやっているのを見ると日本の将来は暗いかもしれない。

 



 板野和夫 06:36

 今日は特に予定なし。明日は垣山浩二さんのパーティだ、しかしなんで木下スーザン先生は僕を誘ってくれたんだろう。と言うかなんで木下スーザン先生は垣山浩二さんと言う作曲家のパーティに出る事になったんだろう。ミラクルマンシリーズのドラマの主題歌か?




 推理小説家と作曲家と言う二つの職業に、どうにもそれ以外の関係を見出すことが出来ない。

 性別も違う、年齢も二十以上違う、出身地も大阪と横浜。気に入らないが仕方がないのでインターネットの情報サイトを漁ろうかと思ったら


 俺のに就職希望な男 06:41

 垣山浩二って言えばあの名作RPGの作曲者だよ、知らなかったの

 ああああ 06:43

 世間知らずもここまで来ると芸術だよな。こいつの記事読みたくねえわ

 ハマチャン 06:45

 垣山さんのそういう功績はゲームファンでなくともご存知かと思われましたけど…

 アンチKKK@デパート勤務 水曜日は日曜日 06:47

 報道の専門家様であってもゲームの専門家様じゃねえもんな。でもさすがにあのゲームを知らないってのは不見識を疑われますぜ(爆笑)、ああ独身ならば仕方ねえかwwwwwwwww




 ………よくもまあ、朝っぱらか暇人が雁首揃えてアホ面をさらしに来た物だ。

 まだ出勤時間じゃないよなと弁護をしてやる事もできるだろうが、僕はそんなに寛容ではない。と言うか、今は機嫌が悪い。


「昨晩、繁華街の裏手で女子高生が殴打され、一か月ほどの重傷を…」


 ふざけるんじゃないよ、何様のつもりだこいつは!

 援助交際を持ち掛けて来た女子高生どもを、裏に連れ込んで棒で頭をぶん殴ると言う事件が相次いでいると地上波デジタル放送6局全て及び四紙すべてで一面に近い形で取り上げている。

 自業自得とは言え相手の弱みにつけ込んでそんな事をするとは、正義の味方様になりたいって言う幼稚な願望を満たす体のいい暴行じゃないか!

 臆面もなく被害届を出して来た人間のおかげで発覚する事になったようだが、実際の被害者は二ケタは下らないという話まである。もちろん売春を許すつもりはないが、そういうわかりやすい悪者を懲らしめてやろうという安っぽい正義感で行動するのはもっと許せない。


「黒髪で黒いサングラスにマスク姿、黒いジャンパーにジーンズ姿の中肉中背の三十歳ぐらいの男」


 日本人の99%は元から黒髪だし、サングラスとかジャンパーとかは買えば手に入る。

 中肉中背と言うのも平均的だからこその言葉であり、名無しの権兵衛たる要素を塗り固めような醜悪極まる、生ゴミの方が肥料になるだけましな存在。ああまったく、警察は何をやってるんだ!




 板野和夫 06:55

 〉俺のに就職希望な男

 俺のに就職希望?意味が分からないよ。もう少しましな日本語を使えるようになってから出直してきてちょうだいね。でないとどこも雇ってくれないよ。

 〉ああああ

 僕だってキミなんかに読んでもらいたくないね。

 板野和夫 06:59

 〉ハマチャン

 へぇー、ほぉー、ふーん…そういう知識があるって事は世の中の常識なんだねー。おじさん参っちゃったなー、キミたちの狭い世界の常識を見せつけられちゃってさあ。まあ世間で生きていく上では必要ないだろうけどね。

 板野和夫 07:02

 〉自称デパート店員君

 ゲーム!まあねえ、最近はクールジャパンの一角気取りに扱われてるけど基本的になきゃ死んじゃうって類のもんじゃないよ。あ、もしかしてキミゲーム売ってるとこの担当?じゃ顔真っ赤にして反論するのもわかるよ。でもまあ、世間的にはそういう扱いなんだから、その事をよく認識してね。

 板野和夫 07:06

 う~ん、今日も一日元気良く過ごせそうだ。ありがとう、匿名の臆病者君たち!ありがとう、女子高生襲撃犯の同類項君たち!




 もし僕がこの先やすらかに一生を終える事が出来るであろうとすれば、スマホの向こうで負け犬の遠吠えを繰り返すこの子たちのおかげだ。あの世で会ったら頭をなでてやるぐらいの事はしてやろう、僕だって人間だから。


 まあとにかく、匿名の臆病者君たちもたまにはカタルシス発散以外に役に立つって事があるのには驚いた。垣山さんがそんな仕事をしてたなんてこの子たちに言われるまで僕はちっとも知らなかった。そのゲームの名前そのものは社内でも何度か出てはいたが、僕には全然関係のない部署だったし取り上げる必要もなかったので放置していた。そして何の問題もなく過ごして来た。その程度の物だ。




 板野和夫 07:55

 まあね、木下スーザン先生が垣山浩二さんのパーティに行く事になった訳が分かったよ。木下先生なら垣山さんが担当したゲームをやってても不思議じゃないしね。明日は垣山さんのパーティに行って来ます。




 元新聞記者なんて言う肩書が通用するのはあとどれだけだかわからない。多量に頼んでおいた名刺も持って行かねばならない。

 顔も名前も知らない人間があふれ返っている場に行く事は、何よりも緊張を強いられることであると同時にチャンスを拾う好機でもある。自分の殻の中に閉じ籠り続けて他人と関わろうとしない人間には絶対に訪れないであろうチャンスだ。木下先生とのインタビューの原稿についてはいったん放置する。

 だって明日のパーティで木下先生の新しい一面が発見できるかもしれないのだ、そんな機会を見過ごして独り相撲でこの話を終えようだなんて早とちりの上に自爆ではないか。




 K2 07:59

 ああどうも昨日は失礼。板野さんも垣山先生のパーティにご出席なさるんですか?




 それにしても変態か何かか、このK2とか言う自称52歳の会社重役は。昨日の昼休みにさんざん僕に言い負かされておいて敵前逃亡しておいてまだ出て来るなんて、全くつくづく度し難い。




 板野和夫 08:12

 あっれ~、また出て来たんですか~?そんなに僕を支援してくれなくてもいいんですよ~?あなたと話していると楽しくって仕方がなくって!ああもちろん、漫談を見てる観客って言う意味で。

 K2 08:14

 それはありがとうございます。それでなぜ板野さんは垣山先生のパーティに出席する事になったんですか?木下スーザン先生とのつながりって何ですか?

 板野和夫 08:17

 匿名の臆病者君には教えてあげないよ。って言うか僕の20分前のツイートも読めないんですか~?

 K2 08:19

 もちろん読んでいますよ、私には木下スーザン先生と板野和夫さんのつながりがわからなかった物で、取材でもなさったんですか?板野さんと言えばずっと社会派の「新聞記者」だったのでこういうつながりはないかと思ったんですが…不見識をお詫び申し上げます。

 板野和夫 08:25

 みっともないですねえ、実にみっともない。もう一回聞きますけど、あなた本当に五十二歳の重役なんですか?

 K2 08:27

 まあ一応。

 板野和夫 08:32

 その重役様がこんな金曜日に暇を持て余してるだなんて、その会社は超一流企業か潰れかけかどっちかしかないですよね。あるいはあなた自身が肩書だけの閑職とか

 K2 08:35

 〉超一流企業が潰れかけか

 後者ですね。同業他社の追い上げが実に厳しくって大変ですよ本当、忙中閑ありとはよく言った物でして、あさってと今日を取り換えたいぐらいですよ。




 普通に対応してるだけのはずなのに、予想外に粘って来る。これはかなり面白いオモチャだ。もうちょっと構ってやってもいいだろう。




 板野和夫 08:39

 人生を投げてるからって僕に構わないで下さい、人生五十年の時代じゃあるまいし、まじめに会社行ってその潰れかけの会社を何とかしてください。それがキミの仕事でしょ

 K2 08:42

 まあ今日は明日のパーティとあさってのイベントに備えてゆっくりと休憩でね。これまで土日返上で十日連続勤務(まあ土日は午前中だけでしたが)だったもんで今日は一日完全オフです。

 板野和夫 08:49

 パーティ?まさかと思うけどキミ、垣山先生のパーティに出ようとか言うんじゃないだろうね?

 K2 08:51

 はいそうです

 板野和夫 08:57

 そうですか、本当にお詫びいたします。キミの事を匿名の臆病者君なんて呼んで申し訳ありませんでした。キミは匿名の大ぼら吹き君です。




 垣山浩二と言う人間が、こんな阿呆な人間を招待するはずがない。

 五十二歳だって?重役だって?はっ、証拠がない以上全ては「自称」じゃないか。ツイッターとか言う仮想空間の中では誰だって社長を名乗れるし異性すら名乗れる。どこの暇人ニートか知らないが目一杯背伸びと現実逃避をしようとした結果脳内で会社を作り上げてしまったのだろう。

 哀れだ、実に哀れだ。しかしこの家族にも見放されているであろう存在を放置しておくほど僕は冷酷ではないし、こんな面白いオモチャをあっさり壊すようなもったいない真似をするほど僕は浪費家ではない。




 板野和夫 09:00

 さて、僕はキミに買って来てあげるべき物ができたようなのでちょっと座を外すよ。ああ座を外すって言葉の意味がわからなかったらママに聞いておいでね。バイバイ。次は午後1時ぐらいにね。




 もし、もし万が一、このK2とか言うみっともない仮面をつけてうじうじぐだぐだと突っかかってくる事しかできない男が本当に垣山浩二と言う大作曲のパーティに臆面もなく出てくるようならば、思いっきり馬鹿にしてやらねばならない。

 それが親心であり、親切って言う物だ。まあできないとは思うが、万が一出て来るようならば渡してやらなければならない物ができた。


 アンチKKKとか言う卑怯者君がいない事を願いながら、僕はデパートへと足を運んだ。めったに行く事はないデパートだったが、いざ行ってみると予想外に広い。それでもいつもの場所、いつも必要としている商売道具や食料品がある所ならばさほどどうと言う事はないつもりだったが、今回目的としている場所は妻なし子なし恋愛からも十年以上遠ざかっている人間にとっては完全なアウェイである。

 まあこちとら身を張ってアウェイの場所に飛び込んで飯を食って来たのだ、この程度の壁など厚くもなんともない。


 一番覚めた物言いをするならば、人間の全ての行為は自分が得をするためである。僕にわざわざ突っかかって自滅するようなおばかさんたちだって、その方が自分になって得だと思うからやっているのだろう。

 つくづくまでに度し難い頭を持ってしまったようだが、もしそうでなければ真の大馬鹿野郎か、せいぜいただの変態だ。今僕がやっている事だってそれと変わらない。

 友人がパパになるからとか言う適当な理由を付けて買った物を受け取るだけで、顔がにやけてしまっていた。そしてさらに新たな命の誕生っていい事ですよねとか言う誰も損しない嘘を吐いて、僕はその場を去った。

 五十男がなんでそんな物をと言う視線がなかった訳ではないが、店員に向かってはっきりと口に出した、贈答用と言うありふれたケースを考えられないような短絡的な人間など相手にする必要はない。




 板野和夫 12:55

 帰って来ました。今日は一日オフなので適当に買い物。

 K2 13:01

 お疲れ様です




 おやおや、こうも律儀に対応してくれるとは思わなかった。どうやら逃げたら負けだと思って頭を火照らせながらガマンしていたらしい。

 まったく、見えない敵に向かってよくもまあここまで真剣になれる物だ。まったく、反抗期の子どもを持つって言うのはこういう事なんだろうな。あーあ、今からでも結婚してみようかな。子育てって奴も結構面白いかもしれないし。




 板野和夫 13:04

 逃げずに戻って来るだなんて思わなかったよ!いや~、キミって本当に面白いね!自称重役君!で、頭は冷えた?

 K2 13:08

 明後日のスピーチを考えてるといやでも冷えますよ。まあ慣れた事ではありますけど

 板野和夫 13:11

 明後日のスピーチ?キミみたいな腰抜けのダメ人間にスピーチをやらせるだなんてどこの物好きの集まりだい?度胸があるならば教えてくれない?ああ明後日は大安だから結婚式でもあるの?うわ~、新郎新婦に全力で同情するね。

 K2 13:16

 結婚式ですか、まあそれぐらいの人数ならばいいんですけどね。実際は何千人、いや何万人の前でです。ああ下手をすると何百万人かも…。




 何百万人だと!何百万人だなんて、大風呂敷とか大ぼらとかなんて生易しい言葉じゃ通じないほどの物言いだ。僕一人に参ったと言わせるために、よくもまあ…



 ダメだ、もう限界だ。


 平日の昼間から騒音公害の主になってしまうのは嫌だったが、もう耐えられない!




 板野和夫 13:24

 あっはっはっはっはっは!!素晴らしい、実に素晴らしいですね!この五十年間の生涯で、キミほど僕を笑わせてくれた人間はいません!!




 この程度の文字数を打つのに8分もかかったのは、その内7分は笑えて指がまともに動かなかったからだ。この前まで取材していた時代劇に交じっていたお笑い芸人の所属するコンビも含め、これまでの人生で彼ほど僕を笑わせてくれた人間は一人もいない。正直、本気で死ぬかと思ったぐらいだ。ああ、笑いすぎて喉がおかしい。



 そして僕は確信した、先ほどの買い物が間違いではなかった事を。




 板野和夫 13:30

 よしよし、いい子いい子。キミは本当に僕の人生に潤いを与えてくれる。もし、もし万が一キミと出会う事があったら、キミにふさわしい贈り物をあげよう。まあないと思うけど、その時を楽しみにしながら待ってるよ。じゃあね、二度と話しかけて来ないでね。オッパイ坊や。

 板野和夫 13:32

 じゃあねオッパイ坊や、キミの駄々っ子ぶりをみんなに教えてあげるから楽しみに待っててね~。




 オッパイ坊や。他に言いようもないだろう、こんなに馬鹿にしてるのに必死に顔を真っ赤にして自分の正当性を訴えて来るような人間は、母親のおっぱいでもしゃぶっている方がお似合いだ。

 この一撃で目を覚まさないようならばもう完全に手遅れだ、馬鹿は死んでも治らないの典型だ。


 ハマチャン 19:45

 あのーすみません、K2って人私の記憶が正しければ結構お偉いさんのはずなんですけど

 板野和夫 19:48

 〉ハマチャン

 これだから匿名は困るね、あんなママのオッパイしゃぶってるのがお似合いのような赤ちゃんにお偉いさんをやらせるような会社なんてこの世にはないよ。キミも現実を見た方がいいよ、まずはそのくだらない仮面を叩き割る事から始めた方がいいね。

 誰か三太郎 19:50

 罵倒にすら品がねえ…こいつのがよっぽど坊やだな

 ゆいLOVE 19:53

 鏡見ろよ

 くぁふじこ 19:55

 ジャーナリストって誰でもなれるんですね

 ああああ 19:57

 板野和夫に擁護されるぐらいなら、罵られた方が数万倍得だよな。

 MIKAMIKA 19:59

 やっぱり板野和夫は噂通り関わっちゃダメな人だった(呆れ)…

 FRT 20:03

 ジャーナリストの使う言葉じゃないですよ「オッパイ坊や」だなんて、ああついでに教えときますけど「俺の」ってのは会社の名前です




 と思ってたらまあなんて言うか、あのオッパイ坊やに弱みを握られているとしか思えないような傷の舐め合いの嵐、嵐。

 僕に見えないところで勝手にやってりゃいいのにまったくもう…あーあ、この国は本気でダメかもね。まあ僕は優しい男だから丁重に対処してあげるけど、まったくどこまでも甘ったれた救いがたい連中だね。




 板野和夫 20:10

 〉誰か三太郎

 キミよりは品があると思うけどね。まあキミの場合はゼロどころかマイナスだけどね、その事を認識しないとキミは一生無知蒙昧なおバカさんのまんまだよ。それでもいいの?いい訳ないよね?わかったらまず本を読もう

 板野和夫 20:13

 〉ゆいLOVE

 僕は五十歳のオッサンだけど、一応身だしなみには気を使ってるからね、キミのような世間の狭い引きこもりと違って。まあまずキミは家から出る事だね

 板野和夫 20:18

 〉くぁふじこ 

 キミみたいな自分が馬鹿と気が付かないようなナルシシストには絶対に無理だね。まずはキミが鏡を見た方がいいと思うよ

 板野和夫 20:19

 〉ああああ

 いやいや、キミの様な変態に出会えるだなんて、ツイッターは実に、実に素晴らしい娯楽ですね!まあ二度と絡んでこなくていいよ、もし変態じゃないんならば。まあそう言ってもキミは変態だろうからまた絡んで来るんだろうけど次からは無視するよ

 板野和夫 20:21

 〉MIKAMIKA

 じゃあ二度と関わって来ないでおいで。僕だってキミみたいなのに金輪際関わってもらいたくないから。僕の記事なんか二度と読まないでおくれ。その方がお互いの為だ。

 板野和夫 20:22

 〉FRT

 もちろん知ってるよ、行った事はないけど。でも例えば「アップルコンピュータに就職希望な男」とか言われてキミは首を傾げないの?だったら中学生レベルから日本語の使い方を勉強した方がいいよ

 板野和夫 20:24

 ああそれから、僕はあくまでもジャーナリストとして使うべき言葉を使ってるだけだから。オッパイ坊やはオッパイ坊やであってそれ以外の何でもないよ、ああもしかして僕がまだ手心を加えているとでも言うのかな?いやあ、僕はキミほど冷たくないよ。僕は心の温かい人間だよ

 板野和夫 20:26

 じゃなきゃキミもオッパイ坊やと同レベルのおばかさんだよ、まあ僕にとってはFRTとかいう仮面をつけてるだけでおばかさんに片足突っ込んでる存在だけど。いやなら脱ぐ事だね、まだあくまでも片足を突っ込んでるだけだから、今なら間に合うよ。頑張ってね。

 板野和夫 20:30

 にしても、どうしてこんなにおばかさんが湧き出て来るのか。何かあったのかね。ちょこっとあのオッパイ坊や君のアカウントを見てみたけどフォロワーが50000だって、50000人がこんなみっともない坊やの戯言を見たいだなんて、世の中にはドSとおばかさんが多いんだねえ。

 板野和夫 20:33

 じゃあ明日に備えて僕は寝るよ。匿名の臆病者君たちはもう一切僕に絡んで来ないでね、僕を楽しませたくないんなら。ああ、キミたちのおかげで今日もぐっすり寝られる、仕事も捗りそうだ。




 人生の先輩として、世間知らず君たちにたっぷり講義してやる事は必要じゃないか。それが僕たちの役目って言う奴だ。

 でもさすがに数が多すぎて辟易する気持ちはある。単に可視化されてるだけだと思いたいが、それにしてもあまりにもと言わざるを得ない。この子たちをこれまでとは少しだけ違ったやり方で立派に教化してあげなければいけない、僕は改めてそう感じた。

 しかしそれをタダでやってあげているなんて僕はなんと親切であり、彼らはなんと幸運なのだろう。まあ彼らは愚か者であるから一生その事には気付かないか、せいぜい恨まれるかのどちらかだろうけどね。

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