目は口ほどに物を言うと言うがわかる率少ない気がします。

前回のあらすじ

推し第2と同じ目の色をした女性に出会う!

「悪役令嬢という言葉を知っていらっしゃいますか?」


はい、めちゃくちゃ知ってます。



★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★


「悪役令嬢という言葉を知っていらっしゃいますか?」


「あ、はい。」


フローレンスさんは口元に手を添え考える様な仕草をしながら「やはり…」と呟いた後、黙ってしまった。


「あの、悪役令嬢がどうかしたんですか?」


「あ、考え込んでしまい申し訳ございません。

実は先日、聖女様から悪役令嬢と言われてしまいまして…」


「は?どういう事ですか?

詳しく教えてもらえますか。」



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皇族や貴族が通う魔術学園

フローレンスや婚約者の皇子、聖女もこの学園に通っている。


聖女は異世界からやってきた16歳の女の子、サイトウ アイリ


聖女の役目は魔獣が外から国へ侵入してこない様に結界を維持するのが1番の役目だ。


1日1回祈りを捧げる事で結界を維持し、魔獣で怪我した人を聖力で治療をし、汚染されてしまった土地や水を浄化するのが主な仕事と言われている。


しかし、聖女は異世界から召喚された女の子

こちらの世界のことも知らなければ、礼儀作法も知らない。


教育は家庭教師に依頼し、その他の精神的なサポートを年齢が近い第一皇子【カイル・モルガン】が任命された。


第一皇子は物腰柔らかく、学術、剣術、魔術、馬術等色々な面で優秀だ。

聖女のサポートもしっかりこなしていたようだ。

二人は友人の様に仲良くなっていった。


フローレンスも、婚約者を見習い学園で聖女をサポートしようと考えた。


先ずは友人になって、色々相談に乗れればと考えお茶会に誘うが聖女は緊張からかお茶を自分の服に溢してしまった。


急ぎ替えの服を用意しようとしたが、このままで大丈夫だと帰宅した。



しかし、次の日にはフローレンスが聖女の服にお茶をかけたと言う噂が回っていた。


他の日には聖女の教科書が破られていた、運動着がズタボロになっていたりと聖女の周りでどんどん事件が起こった。


今のところ、誰がやったかの証拠はない。

しかし、最初の噂が悪かったのかフローレンスが第一皇子と聖女が仲が良いことに嫉妬して虐めているという噂が流れた。


フローレンスには一つも覚えがなかった。

噂が流れて悲しいが今、一番傷ついているのは聖女だと思い、声をかけた。


「悪役令嬢の癖に、心配する素振りなんて見せないでよ!!」


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「そう、言われてしまいまして。」


「お、おう…」


「それ以降、カイル様は聖女様にべったりでお話する機会もございません。


聖女様にお心を奪われてしまったらどうしようと気が気ではないのです。」


フローレンスさんは涙を溜めながら私をまっすぐ見つめてきた。


「しかし、一番は聖女様がお心を痛めているのにも関わらずワタクシ自身の心配しかしていない事に憤りを感じます。


聖女様がワタクシを悪役令嬢と言うのであれば、先ずは悪役令嬢が何かを知り、聖女様に寄り添いたいのです。」


…天使かな?

皆さん、私の前に天使がいます。


いやいや、良い子すぎて逆に怪しい可能性も…

目は口ほどに物を言うという諺があるからな、まずは目を見てみよう。


…子供みたいな純粋な目しやがって。

分からんやないかい。


「タチバナ様、ぜひワタクシに悪役令嬢が何かをご教示ください。


あと、出来ればカイル様とさらに親密になれる様、異世界の恋愛を教えてください!」


「異世界の恋愛ですか?」


「はい!

カイル様は女性が苦手なのです。

しかし、カイル様と聖女様が仲良さそうに腕を組んでいるのを見かけたのです。


カイル様とあそこまで親密になれるなんて…

ご教示願いたいのですが、聖女様に嫌われておりますので一番話しやすそうなタチバナ様にお願いしたく思っております。」


ジョンソンもそうだが、何故私に恋愛を聞く…

ほんとやめて欲しい。


「フローレンス様、申し訳ございません。

私は生まれてこの方、婚約者がいたことも恋人がいた事もございません。


教えられる事は無いかと思います。」


「まあ、婚約者はいらっしゃらないのですか?」


「私の世界では、いる方が稀ですね。」


フローレンス様は再度考える仕草を数秒した。

今度は目をキラキラさせて此方を見た。


「では、今度カイル様とお茶会する予定なんです。


ぜひ、ご出席頂けませんか?

他の方から見たアドバイスを少しだけ欲しいんです。」


いやいやいや!

それはない!


「第一皇子とのお茶会ですよね!?

無理ですよ!作法も知らないし礼儀もないです!」


「そこは、ワタクシからカイル様に伝えておきます!」


「いや、でも!!」


「ダメでしょうか?」


フローレンス様は森を詰めた様なキレイな翠の目に涙を溜めながら上目遣いで聞いてきた。


「あ、ああー。

いや、うん…


わかりました…」


推しと似た目だぞ!

断れるか!!

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