挨拶はほどほどに、早く本題おしえてほしいですよね。
前回のあらすじ
突然の公爵家からのお茶会に参加要請
装備が足りません!!
★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★
お茶会に行く服がない。
そう、仕事に行ける服さえあれば良いって思って適当なのしか買ってない上に買い足してないんだな。これが。
悩んでいても仕方ないと思い、夜遅いが部屋を出た。
頼れるのはあの人だけだ。
きっと、まだ仕事中だ。
この世界の働き方はホワイトだ。
ホワイト企業なのだ。
騎士団は交代制でちゃんと休みはあるらしい。
しかし、一部ブラック企業も存在する。
というか、ある1人のせいでブラックにさせられている人がいる。
「課長!
お茶会に行く服を明日選んでください!」
勢いよく宰相室の扉をあける。
課長は鬼の顔をしたスミスさんに見張られながら仕事をしていた。
私の発言内容を聞いてゆっくり顔を上げた。
先程まで死にそうな顔をしていたのにキラキラと目を輝かせた。
「うっそ!!
行く行くぅー!」
「宰相!そんな事は許しませんよ!!
タチバナさんも、宰相を誘惑しないでください。」
誘惑って言い方…
最初会った時はスミスさんはマーティン様って呼んでいたのに今は宰相と呼んでいる。
これはスミスさんがキレている証拠なのだ。
また、抜け出そうとしたんだな。
「スミスさん、どうせ課長が抜け出そうとしたんですね?」
「そうなんです。
まだ、急ぎの書類があるのに抜け出そうとしたので近衛兵で阻止しました。」
ああ、あのマッチョ部隊
「最近、仕事詰めだったじゃないですか。
課長にも少しだけご褒美あげた方が良いですよ。」
「それだと急ぎの書類が…」
「明日までに提出書類だけ今から終わらせて明日の午前中だけ課長の時間ください!
服選びは午前中で終わるんで!」
「え!?少なくない?
丸一日あった方が良くない?」
「スミスさんも一度休んだ方が良いですよ。
目の下の隈、すごいです。
明日の午前中は休んで、午後から課長をしばきましょう。」
「そうですね、一理あります。」
「え?酷くない?
私、しばかれるの?怖くない?」
「タチバナさん、明日の午前中だけですよ。
いつもの近衛兵を添えておくので、時間になったら強制帰宅です。」
「構いませんよ。
よろしくお願いします。」
「え?無視?無視なの?ねえ!!」
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このやりとりをしたのが昨日の事…
そう、お茶会当日なので馬車に揺られながら現実逃避をしていました。
ルゼルたんを連れて行って構わないとの事なので着いてきてもらうことにした。
ルゼルたんは私の護衛の役割でもあるらしいからね。
しかし、お茶会作法とか分からんのだが…
大丈夫なのだろうか?
現実逃避している間に目的地についたのか馬車が止まった。
外をチラッと見たが、でっけー屋敷だな。
「フローレンス公爵家で言えば、小さい屋敷ですわよ。」
「え?そうなんだ。
あれ?私口に出してた?」
「大丈夫ですわ。
読み取っただけですわ。」
それって人の考えている事読み取ったんだよね?
いつもルゼルたんにハアハアしてることバレてるの?
「フローレンス公爵の娘が学園にいる間に使っている屋敷ですのよ。
まあ、公爵が忙しい時に寝泊まりする用の屋敷ですわ。」
ルゼルたんが説明が終わると同時に馬車のドアが開いた。
馬車から出ると執事っぽい人が出迎えてくれて、気づけば薔薇がキレイな温室にいた。
展開がついていけないんだよなぁ。
「キレイな薔薇だねぇ」
「ありがとうございます。
この温室は庭師と一緒にワタクシが管理していますの。」
少し高めの落ち着いた声が後ろから聞こえる。
振り返ると白銀の毛先が癖毛のふわふわとした髪、くりっとした可愛い目…
何より目を引くのは深い森を詰めた様なキレイな翠の目だ。
あ、あああ…
推し第2に似た目の色してるー!!!
薔薇育ててんの!?
解釈一致、ありがとうございます!!
「はじめまして。
ワタクシはルーナ・フローレンスと申します。
グロース帝国の公爵家の娘です。」
私が見惚れているとニコッと笑い綺麗な仕草で挨拶をしてくれた。
急いで立ち上がり、見様見真似で私も挨拶をす。
「マシロ タチバナと申します。」
私のあいさつを見て嬉しそうに笑い、席に座る様に促してくれた。
2人で席に座ると、フローレンスさんは口を開いた。
「突然のお呼び出し、申し訳ございません。
本日はお仕事休みとお聞きしたので、急遽開催させて頂きましたの。」
「大丈夫です。
お招き頂き、ありがとうございます。」
「本日はタチバナ様しかお呼びしておりませんので、作法などは気にしないでください。
素敵なドレスですね。
昨日、マーティン様から聞きました。
今日のために用意してくださったんですよね?
気が回らず、申し訳ございません。」
マーティンとなると、課長か。
別に言わなくて良いのに。
「気にしないでください。」
一頻り挨拶をすませると、フローレンスさんは俯いて決心をするように「よしっ」と小さく呟いた。
「タチバナ様、お聞きしたいことがございます。
悪役令嬢という言葉を知っていらっしゃいますか?」
え、ああ、はい。
よくご存知です。
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