第二章 関係ないのに巻き込まれた編
明日暇?って聞く前に用件先に言って欲しいですよね。
第二章
28
「はじめまして。
ワタクシはルーナ・フローレンスと申します。
グロース帝国の公爵家の娘です。」
毎日、家族が恋しくて手紙を認めていた私へ
異世界を受け入れたら美女に呼出されたよ!!
★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★
「マシロ、最近楽しそうね。」
仕事の休憩中、アニーに声をかけられた。
彼女は嬉しそうに笑っている。
「そう、かな?」
「そうだよ!
前は笑った顔なのに無理してます…って感じだったのに、最近は雰囲気も柔らかくなったし。
お客さんも、マシロが可愛くなったって噂してるよー!」
「何それ、恥ずかしい。」
先日の聖霊祭の後、アニーやお店の店長、奥さんとも交流をするようにした。
話の流れで自分の事を少し話しただけだが、全員はしゃいで小躍りし出した時には思わず声を上げて笑ってしまった。
私は普通に過ごしてた筈なんだが、皆んなはよそよそしい感じがしていたらしい。
少しずつだが、皆んなを知っていけたらいいなと今は思う。
「そういえば噂で聞いたんだけど、聖女様が通われている学園で虐められているとか!」
「え、聖女様って学園に通ってるの?」
「そこからだったかー!
聖女様は、皇族や貴族が通う学園でこの国の事や魔術のことを学んでるって新聞に書いてあったよ。
私の友達に男爵家の娘さんがいるんだけど、おんなじ学園に通ってるから話は聞くんだよね。」
「男爵家の友達って…
アニーすごい友達いるね。」
「そうでもないよ!
たまたま街で出会った子が男爵令嬢だっただけだよ!」
うん、凄くない?
そのまま友達になるってどう言うことよ。
「んで、聞いた話だと聖女様が皇子の婚約者にいじめられているって噂らしいよ。
でも、そう言っているのは男性陣だけで女性陣は絶対に無いって思っているみたい。」
「いじめねぇ。
正直、難しい問題だからコメントし辛い。」
「マシロらしい返答だね!
でも、マシロは聖女様と同じ世界から来たんでしょ?
もしかしたら、聖女様の件で呼び出されたりして!」
「ないない。
実際に同じ世界かは確証ないし。
聖女様に会ったことすら無いんだよ?
流石にそんな事で呼び出されたりしないでしょ。」
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なんて会話を3日前にしておりました。
私室の机には白色のキレイな封筒が1枚置かれている。
仕事終わりに部屋に戻る途中、ある女性から渡された手紙だ。
必ず今日中に中身を確認する様に言われた。
その封筒が目に入るだけでため息が出てきてしまう。
「現実逃避しても何も変わらないですわよ。」
ルゼルたんが窓枠で優雅にくつろいでいる。
月明かりに照らされて白い毛がキラキラと光ってとてもキレイだ。
「分かってるけどさー。
2日後って早くない?何の用だよ…」
封筒には封蝋印がされている。
その家紋がついている様だが、公爵家の家紋らしい。
内容は2日後にお茶会に出席してほしいから迎えに行くとの内容だ。
差出人はルーナ・フローレンス
皇子の婚約者だ。
「公爵家から呼び出しなんて、貴方何をなさったの?」
「何もしてないよー。
会ったこともないのに分かるわけない。」
机には額を打ち付ける。
ゴンっと鈍い音がした。
「それはそうとして。
貴方、お茶会に行く服は持っていますの?」
「…やべっ」
明日、仕事休ませてもらおうかな。
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