全力

持論だが、努力というのはすればするほど結果とは不釣り合いになるものだと思う。

努力するほどその努力が報われてほしいと無意識に願うからだ。


時は中間考査。次の日に数学1、その次の日に数学Aが待っている。私は全力を尽くした。

二重根号(ルートにルートつくほど複雑な状況になることある?)も興味はないが努力はしたし、平方完成(文系の職業でこんなもん使う機会ほぼないと思うのだが)だって理解した。最前は尽くしたのだ。(最善には個人差がある)

正直中学時代に比べると私のノートはより赤く染まっていた。けれどそれはそれで努力の痕が残って嬉しかった。戦地に赴いて敵を倒して赤いインクを垂らし、傷を残し帰ってくる。そんな風な誇らしさだった。


その日の帰り道は風もなく、音もなかった。

「赤点はない」それだけは確かだと私は思っていた。


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