おおぞらをとぶ!
アレックスは一瞬、何が起きたのかよく分からなかった。最後にあった記憶は魔獣使いの放った竜巻を受けて、そこから記憶はおぼろげだ。自分は一体何が起きているのか。そこまで考えたアレックスは地面の感覚がないことに気づいた。
「マスター、気がづきましたか?」
アレックスの背中から声が聞こえてきた。
「トリスタンか?」
アレックスの背面にトリスタンが両手でロックしていることに気づいた。
「マスターが竜巻で吹き飛ばされてしまいましたので、咄嗟に飛行モードでアレックス様を捕まえたのです」
「飛行……モード」
アレックスの脳裏にクランツ・フェルデナッド博士の笑顔が浮かんだ。
「そんなことよりエルフのレンジャー部隊はどうしたの!?」
「多分、みんな吹き飛ばされてしまいました」
「助けに行かないと!」
「でも、どうやって助けるのです?」
トリスタンの言葉でアレックスは頭を抱えた。どう助ければいいのかわからないのだ! 頼れるのは六王の腕輪のみ、アレックスほ迷わず六王の腕輪を回した!腕輪は黒に止まった。
空中に魔法陣が浮かび猫耳姿の魔王が飛び出してきた!
「吾輩の名はマルバス。彼方の地より盟約を果たすべく参上した!」
「マルバス! エルフのレンジャー部隊を助けて!」
「主よ、吾輩に任せろ! 来いロプロス!」
マルバスの言葉に応えるように巨大なドラゴンが出現した!
「ロプロス、エルフのレンジャーを助けて来い!」
マルバスの言葉を忠実に聞いたドラゴンはエルフのレンジャー部隊を助けるために竜巻の中に突撃していった!
「トリスタン、地上に戻ろう」
「マスター!わかりました」
アレックスとトリスタンはゆっくりと地上に降下していった!
◆◆◆◆◆
一方、邪悪な魔獣使いと対峙するアーニャとノエルは強力な風属性の魔法をぶっ放した魔獣使いに戦慄していた!
「あんた、エルフのレンジャー部隊を竜巻で吹き飛ばすなんてイカれてるわ!」
アーニャは怒りに打ち震えながら魔獣使いを睨みつけた!
「アーニャさん、怒りを抑えてください……感情的になればやつの思うつぼです」
ノエルはアーニャに怒りを抑えよと助言をした!
「ククク……邪魔なエルフのレンジャーは吹き飛ばした。次はお前たちの番だ!」
魔獣使いは邪悪な笑みを浮かべた!
「よくもマスターを!」
アスタロトは怒り心頭だ!
「おっと、お前には大人しくしてもなわないとな」
魔獣使いが何かを詠唱した!
「こ、これは召喚物封じの結界!これではアスタロト手も足も出ないわ!」
「ククク……これで邪魔する召喚物はいなくなった」
魔獣使いの熊爪が怪しく光る!
「来ます!」
ノエルとアーニャが警戒した直後、魔獣使いはアーニャに襲いかかった!
「くっ!」
アーニャは剣で魔獣使いの攻撃を受け止める!
「アーニャ!」
ノエルは急いで魔獣使いに斬りかかるも厚く硬い皮膚でダメージは低い!
「死ね!」
魔獣使いは鋭い蹴りでノエルを襲う! ノエルはとっさに回避した!
「なんて強さなの……これが外法に堕落した魔術師の力なのか」
魔獣使いの強さにアーニャは戦慄した!
「この魔獣使い……魔術で肉体改造している……隙がない」
ノエルは魔獣使いの隙を伺う。魔獣使いには油断なき視線で警戒する! ジリジリと重たい空気がシャーウッドの森に漂う!
その時、閃光のように一筋の矢が魔獣使いを襲った!完全な不意打ちで魔獣使いの膝に命中した!
ノエルはその隙を逃さず魔獣使いに近づく!
「風神斬!」
魔獣使いは断末魔の悲鳴をあげて倒れた!
「手強い相手でした……しかしあの弓矢はどこから?」
ノエルとアーニャは弓矢の主に首を傾げた。
「それはボクだよ!」
声のする方を向くとレンシアとネーブルの姿があった!
「あの竜巻からどうやって逃れたの!?」
アーニャは双子エルフに竜巻からどうやって逃れたのか尋ねた。
「実は竜巻に巻き込まれる寸前にあの魔王に助けられたの」
双子エルフの後ろからレラジェが現れた。
「レラジェ……まさか、あなたが助けたの?」
アスタロトはレラジェを見ると無言で縦に振った。
「……狩人の直感で危険を察知し、双子エルフを安全な場所に避難させました」
「レラジェさんのおかげで助かったよ」
レンシアとネーブルはほっとした表情を見せた。しかし、表情が曇る。
「でもエルフのレンジャー部隊が壊滅しちゃった」
「アレックスも飛ばされてしまったわ」
周囲に重苦しい雰囲気が漂う。しかし、レラジェだけが空を見上げて耳を澄まして何かを聞いているような様子だった。
「レラジェ?」
「みんな、空を見てください」
レラジェの言葉でパーティメンバーと双子エルフは空を見上げた。すると、空の向こうからアレックスとトリスタンがふわふわと上空を硬化している姿があったのだ!
「……あの威力の竜巻から無事だったんですね」
ノエルは安どした表情を見せた。
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