戦慄の獣たち

 凶悪なる外道魔術師集団、八本足に属する魔獣使いの指令により魔獣たちはエルフの里へ進撃を開始した。この異常事態にエルフのレンジャーたちは決死の防衛体制を構築していた!

「絶対に獣を通すな!」

「我らの故郷は我らの手で守り抜く!」

 エルフのレンジャーたちの士気はかなり高く、エルフの里を守り抜く決意に燃えていた!

 その後方でエルフのレンジャーたちの様子を観察する黒ロープの姿があった。コールドスティールである。

「……まさか、八本足が関わっているとは思わなかった」

 コールドスティールはシャーウッドの森に先回りし、アレックスを誘拐する機会が来るのを待っていたが危険な魔術テロリストが動いている以上、そちらを優先せざるを得なかった。エルフのレンジャーたちの士気は高いが相手は八本足だ。何をするのかわからない連中だ。エルフのレンジャーに勝てるとは思えなかった。コールドスティールはエルフたちに密かに助力することにしたが、アレックスたちはどう動くかが問題だった。

「……骨が折れそうだ」

 コールドスティールは激戦の予感を感じた。


◆◆◆◆◆


「……嫌な予感がする」

 マスコット形態のレラジェがポツリと呟いた。

「レラジェ……どうしたの?」

 アスタロトは思わずレラジェに聞いた。その直後である!

「ティターニア様、大変です!」

 エルフの門番がティターニアの謁見室に飛び込んできた!

 その大声にその部屋にいたものが全員振り向いた。

「落ち着いて情報を伝えてください!」

 ノエルの言葉にエルフの門番は深呼吸してから状況を説明した!

「獣の群れがエルフの里に向かっています!」

「なんてことです……自体がそこまで進展しているなんて」

 ティターニアは動揺した。

「八本足が証拠隠滅するために襲撃に来たのでしょうか……火の粉は振り払わないと」

「そうよ……わざわざこっちからやってくるなんて探す手間が省けたじゃない」

「アスタロト、レラジェ……行けるよね」

「お姉ちゃんに任せなさい!」

「……マスターの敵は狩る」

「マスター、サポートは任せてください!」

 冒険者パーティは戦場に向かって歩き出した。


◆◆◆◆◆


 フクロウとクマが融合したような異形の魔獣使いは強化した視覚でエルフの里を防衛するレンジャーたちを見た。

「流石に俺たちが襲撃に来ることに気づいたか……しかし、俺が率いる獣の群れは大量にいるんだ……エルフの里など蹂躙してやる!」

 その後ろではダイアウルフの群れが手柄を争うように駆けていた。獣の唸り声が不吉な響きで聞こえてきた。エルフの里と八本足の激突が始まろうとしていた!

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