武装馬車内での会話


 武装馬車は冒険者と傭兵とキノコ研究家を乗せてシャーウッドの森に向けて突き進んでいた。


【ノエルのムラマサブレード】


「ノエルさんは東方より伝わる剣術の使い手なんだ……アタシの剣劇術とは違う系統の剣術なのね……」

 アーニャはノエルのカタナブレードに興味津々だった。

「えぇ、このムラマサブレイドはウィロウリヴィング傭兵団の象徴……そして、私の傭兵としての誇りです」

 ノエルは穏やかな笑みでアーニャに答えた。

「それを言うならアーニャの所持している剣も旧エディンバラ王国で独自に発達したフェンサーの持つ剣ですよね?」

「やっぱりわかる人にはわかるのね……アタシは幼少期にフェンサーの名門、ローズウェスト家に養子に出されそこでフェンサー技術を磨いていたの」

「……アーニャを始めて見た時から彼女の手は剣士の手だと思っていたけどローズウェスト家のものでしたか」

 そのまま、ノエルとアーニャは剣術の話に花を咲かせるのだった。


◆◆◆◆◆


【アヴァロニアの六王について】


「ところで図書館に行ったときから気になっていたことがあるんだけど……」

「マスター、質問ならお姉ちゃんが何でも聞いてあげる。なんならスリーサイズについての質問も聞いてもいいよ」

「スリーサイズの話は別にいいよ……アスタロト以外の六王はどんな魔王なの?」

 アレックスとアスタロトは姉弟会話の延長でアヴァロニアの六王について尋ねてみた。するとアスタロトは神妙な表情をした。

「……マスター、アヴァロニアの六王について知りたいんだ。これから先彼女たちの手助けが必要だと思うからね」

 アレックスはアスタロトがすんなり教えてくれるようで安心した。

「あたし以外の魔王は……水使いの人魚、ウェパル。魔弾の狩人、レラジェ。炎の悪魔、アモン。ビーストマスター、マルバス。星詠みの占術師、オリアスの5柱よ」

 アレックスはどれも強そうな魔王だと思った。

「みんなマスターのことを気に入ってくれると思うよ」

 そう言って、アスタロトはアレックスの頬にキスをした。

「ウワーッ!」

 アレックスは思わず悲鳴を上げた!

「アレックス様、頬にキスしたぐらいで悲鳴を上げないでください」

 ノエルが怪訝な表情でアレックスを見つめたのであった。


◆◆◆◆◆


【好奇心旺盛なオートマトン】


 武装馬車の窓から見える景色に興味津々なトリスタンだった。

「トリスタンちゃん、そんなに窓からの景色は楽しいですかぁ?」

 シータはトリスタンの前のめりな姿に思わず感想を聞いてみた。

「クランツ博士の研究所の周囲から遠出するのは初めてなので、いったい外の世界には何があるのか楽しみです」

 トリスタンはニコニコ顔でシータに答えた。

「なるほど、クランツ・フェルデナット博士の作成したオートマトンでしたか。クランツ博士の名前はシャーウッドにも聞こえてくるほど著名な錬金術師ですからねぇ」

 シータはしみじみとひとりごちた。

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