冒険の始まり
クランツ博士が手配した馬車は冒険者パーティに快適であり目的地まであっという間に到着した。
「アレックス、いよいよ冒険の始まりよ!」
アーニャは好奇心に満ちた瞳で遺跡を見た。
自然の中にある古い塚のような遺跡で見るからに手つかずといった雰囲気を出していた。
「アーニャ、落ち着いて……今から軽い偵察をするから」
アレックスはアーニャを軽くたしなめるとサモン・ドローンの魔法を発動した。小さな魔法陣からぷよぷよとした気球じみた小さな魔法生物が出現する。ドローンはふわふわとアレックスの周囲に浮かんでいた。
「マスター、これはドローンですか。彼方の世界に生息する不思議な魔法生物と聞き及んでいます」
トリスタンはドローンを見て目を丸くした。
「オートマトンには珍しいのかなこの魔法生物は……さぁ行っておいで」
アレックスの呼びかけに応えるようにドローンはふわふわととびたっていった。アレックス一行もドローンのあとをついていく。それはさながらカルガモの親をついていく雛のようだった。
しばらくドローンのあとをついていくと不意にドローンの気配が消えた。
「マスター! 大変です! 私の中に内蔵する魔力センサーが魔力反応を確認しました! おそらく魔物の群れです!」
トリスタンは警告し、アーニャは剣を構え警戒した!直後!ゴブリンの群れが獲物を見つけたとばかりに襲いかかってきた!
「ゴブリンごときに遅れを取るアタシたちじゃないわよ!」
アーニャはゴブリン相手に自慢の剣技で蹴散らしてくる!
「フェアリーの群れだ! これでダメージを低減させるぞ!」
アレックスはフェアリーの群れを召喚し見かけ上の頭数を増やすことによってサポートする!
トリスタンはメイスを振り回しアレックスを護衛する!
新人冒険者パーティの猛攻に襲撃してきたゴブリンは防戦一方だ! これはビギナーズラックか!?
「くっ……このニンゲンども強いぞ!」
「早くゴブリンシャーマンを呼ぶんだ! このままではオレたちは全滅する!」
乱戦に紛れてゴブリンの一体がどこらともなく取り出した信号弾を射出した! 当然目的は戦闘への救援である! するとゴブリンシャーマンをリーダーとしたゴブリン軍団が増援として駆け付けた! 数の暴力で押し切るつもりだ!
「何人現れてもアタシたちの敵じゃないわ!」
アーニャは激戦をものともしないような顔で自信満々に宣言した! 相手はゴブリン、所詮は数だけが取り柄の弱敵だ!
しかし、トリスタンはゴブリンの群れに何か異変があることに気づいた!
「マスター! 気を付けてください! あのゴブリンからただならぬ魔力を感じます!」
直後! ゴブリンシャーマンが魔法を詠唱した! すると、地面から土が盛り上がり人型の巨人を形を成した! これはゴーレムだ! このゴブリンシャーマンはかなり高位のシャーマンだ!
「ちょっと! ゴーレムを生成するなんて聞いてないわよ!」
「これではフェアリーの群れは意味をなさないよ!」
楽勝ムードから一変、思わぬ強敵の登場に新人冒険者パーティはうろたえた! しかし、アレックスの脳内に声が響いた! これまで空気を読んで見に徹していたアスタロトだ!
(マスター、今こそお姉ちゃんを使うときだよ!)
アレックスに迷いなどなかった。パーティーのピンチの時こそ六王の腕輪の封印を破るときだ!
「来てくれ、アスタロト!」
次の瞬間、その呼び声に応えるように魔法陣からアスタロトが飛び出した!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます