クランツ博士の依頼と最新型オートマトン
「クランツ博士……遺跡の哨戒依頼と聞きましたけど、何かあるのですか?」
アレックスは単刀直入にクランツ博士に依頼の内容を確認する。
「アレックスくん……最近、未発掘の遺跡を見つけてその土地を買い取ったんだよ。しかし手つかずの遺跡だからか周囲にはモンスターがいっぱい生息して本格的な調査が難しんだよねェ」
クランツ博士は依頼内容の簡単な説明をするとアハハと笑った。
「なるほど、本格的な調査をするためにまずは周辺のモンスター退治が必要なのね」
アーニャは納得をしたような表情をした。
「そうだよ、本当はアヴァロニア騎士団を引き連れてモンスター退治をしたいんだけど……私はこの通り、フリーランスの錬金術師で冒険者を雇うのがやっとなものでね……依頼料は特別サービスで多めに出そう、それに若い新人冒険者たちにプレゼントをあげよう……」
「プレゼントですか?」
アレックスはクランツ博士のプレゼントに目を丸くした。
「ギャラハドくん……トリスタンを連れてきてくれ」
「マスター、了解しました」
ギャラハドは静かに応接室を退室し、しばらくするとツインテールのかわいらしいオートマトンを連れて戻ってきた。
「これは私が作った最新の汎用性オートマトンで名前はトリスタンという……キミたちは新人冒険者で冒険の経験も浅い。そこで私はキミたちの冒険のサポートをしてくれる存在が必要だと思った。なのでこのトリスタンをキミたちの冒険者パーティの一員することを推薦することにしたのだよ」
「クランツ博士……すいません、最新のオートマトンをプレゼントしてくれるなんて……」
「別にいいんだよ……新人冒険者パーティの門出なんだからねェ」
(クランツ博士、いいところあるんじゃない)
アーニャはクランツ博士の認識を改めた。
「トリスタンくん……キミも挨拶したまえ」
「こんにちは、マスター……私の名前はトリスタン、クランツ博士によって造られた汎用性オートマトンです。以後よろしくお願いします」
トリスタンも挨拶した。
「さて、さっそくクランツ博士の購入した遺跡に向かいましょう……アタシは早く冒険をしたくてうずうずしてるわ」
アーニャは冒険心を抑えきれないでいた。
「そうだねェ……善は急げということわざもあるから早速遺跡に向かおうかねェ」
アレックスとアーニャは出発の準備をし始めた。そこにクランツ博士がアレックスを呼び止めた。
「ところで、アレックスくん……この腕輪はどうしたんだい?」
「実はユージンさんからパーティ追放時の餞別としてもらったんです」
「なるほどねェ……ユージンくんも粋な真似をするねェ。これはいいアーティファクトだ」
そう言ってクランツ博士は笑った。
(クランツ博士……ただものじゃないわ……六王の腕輪をアーティファクトだと見抜くだなんて)
アスタロトはクランツ博士の瞳に宿る鋭い知性に戦慄した。
こうして冒険者パーティの初仕事が始まるのであった。
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