お姉ちゃん無双

突如、魔法陣から出現した女魔王の存在にゴブリンたち戦慄した!

「アレックス……これは一体なんなの! この強大な魔力、まるで魔王じゃない!」

 アーニャは思わずアレックスに質問した。

「ごめん、詳しい説明は後でするから許して……」

 アレックスはアーニャの質問に陳謝した。

「お姉ちゃんとして、マスターを危険に晒そうとするゴブリンは許さない! 覚悟しなさい!」

 アスタロトはびしっとゴブリンに向けて指差しをした!

「この魔力、明らかに魔王だ! あのサモナー、とんでもない隠し玉を持っていやがった!」

「お前たち、急いで撤退しろ! 俺のゴーレムで逃げ道と時間を確保する!」

 ゴブリンシャーマンはゴブリンたちに撤退を指示し、自ら搭乗したゴーレムをゴブリンたちの盾になるように前に出す!

「あのゴブリンシャーマンは私とやり合う気のようだね……魔王の力を見せてやる!」

 アスタロトの手には眩ゆい光が浮かび上がる!

「先手必勝!」

 ゴブリンシャーマンはゴーレムを操作し鉄拳をアスタロトに浴びせようとする!

 しかし、アスタロトは最低限の動きで鉄拳を回避!

「やはり、魔王は簡単には倒せないか……しかしこれならどうだ」

 ゴーレムの胸が開き発射孔が露出した! そこから魔力がチャージされ魔力弾が発射される!

「マスター!あの魔力弾の狙いは私たちです! 今すぐ緊急回避を!」

 トリスタンはゴブリンシャーマンの意図に気づき回避を進言する! アレックスは防壁を召喚し魔力弾を受け止める!防壁の耐久力と引き換えに魔力弾は消滅! アレックスたちはノーダメージだ!

「さすがはわたしのマスター、バリアを貼る手間が省けた!今度はこっちからいくよ」

 アスタロトの手中にある光が破壊光線としてゴーレムに放った! ゴーレムは巨体故に回避が難しい!光線に命中!だがゴーレムは耐え凌いだ!

「やはりゴーレムは硬い!僕たちもアスタロトを支援しよう!」

「でもアタシの剣はゴーレムに届きそうにないわ!」

「マスター、防壁を召喚できるのなら、ゴーレムに効果がありそうな武器も召喚できるのでは?」

「その手があったか!」

 アレックスは即座にゴーレムに効果がありそうな武器はないか考えた!

 アスタロトは魔王の力でゴーレムと渡り逢うがゴーレム特有の耐久力で魔王の猛攻を耐えていく! これは長期戦は必至だ!

「よし投石機を召喚しよう!」

 アレックスは魔法陣から大きな投石機を召喚した!

「マスター! ゴブリンシャーマンを狙ってください! ゴブリンシャーマンを墜とせばゴーレムのパフォーマンスは著しく低下します!」

「アドバイスをありがとうトリスタン!」

「まずはゴブリンシャーマンに向けて陽動が必要ね」

 そう言うとアーニャは懐から何か魔法薬を取り出した! この魔法薬は移動速度を一時的にアップする効果があるヘイストポーションだ! アーニャはヘイストポーションを一息に飲み干した! そしてアーニャはすぐさまゴーレムに近づきゴーレムによじ登った!

「この人間、俺のゴーレムによじ登ってくるぞ!」

 ゴブリンシャーマンはゴーレムを荒馬のように操ってアーニャを振り落とそうとするがアーニャはゴーレムを掴んで放さない!

「油断大敵!」

 その隙に乗じてアスタロトは光刃でゴーレムの脚部に斬り付けた! 流石にこの攻撃でゴーレムの体勢が崩れた!

「今です、マスター!」

 体勢を崩れた隙を逃さずアレックスは投石機を作動! 岩がゴブリンシャーマン目掛けて飛んでくる!

「グワーッ!」

 ゴブリンシャーマンに命中! ゴブリンシャーマンはゴーレムから投げ出された! するとゴーレムのパフォーマンスが悪くなった!

「上手く行ったわね」

 アーニャはゴーレムからゴブリンシャーマンから引き剥がしたことを確認するとゴーレムから手を離し地面に着地!

「この絶好のタイミングを逃さないよ!イシュタルスパーク!」

 アスタロトは光を急速圧縮収束した破壊レーザーをゴーレムに向けて放射! 破壊レーザーはゴーレムの硬い装甲を貫通しゴーレムは爆発四散! ゴーレムの残骸が周辺に散らばった!

「これで仲間のゴブリンがほぼ逃げ切れるだけの十分すぎる時間を稼げだ……ぐふっ」

 そう捨て台詞を言い残すとゴブリンシャーマンは意識を失った!

「なんとか勝てたけど……ゴーレム相手にこんなに苦戦しているとは思わなかったよ……やはりブランクが長かったせいかな」

 アスタロトは警戒姿勢を短時間とるとアレックスの元へ急いで駆けつけギュッと抱きしめた!

「アスタロト、なんで僕は抱きしめられているの?」

「マスター分の補給だからだよ」

 そういう問題ではないとアレックスは思った。

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