第26話 接敵………!!


それは……マンドラゴラ達を設置し終え………防壁まで戻ってから数時間………。

すでに日が真上に登った……そんな時………。

僕はふっと……あることに気づく………。


森が異様に静かだ………。


いつもなら……遠くからでも感じる生き物の気配を……全く感じない……。

周りの冒険者の話だと、〝常夜の森〟は奥に入るほど強力な魔物、魔獣が住んでいるそうだ。

それらが……二日酔いフィッシュドラゴンによって縄張りを追われ……ここに来る。

弱い生き物達はすでに逃げ出しているとのこと………。


そんな説明を受けていると………斥候職の冒険者達が地面に耳をつけた。


来る!?


………。

…………。

……………うん? じ、地面が揺れてる?


近くに落ちていた石が……カタカタと揺れ始める……。

シャベルを持つ手に自然と力が入る。


そんな時、そっと頭を撫でられた。

僕は視線を上に向けると………覗き込んでいたドラゴさんと視線が合った。



「ぬぅぼぉ〜。」



自称僕の保護者の幼女が微笑んでいる。

〝大丈夫!!〟……そう言われたような気がした。

僕は大きく深呼吸を数度繰り返す。


うん。大丈夫……僕には100株以上のマンドラゴラさん達がついている。


いい感じに力が抜けた。

いつのまにか、横にスキンヘッドの冒険者さんが立っていた。



終えたら祝杯? ………それ……いいですね。いっぱい飲みましょう!!


新しい英雄? ………僕がですか? はははは………。


だから生き残れ!? ………はい。皆んなで帰りましょう!



僕は頭の中で作戦を繰り返す。


マンドラゴラトラップは……全部で5列。

列と列の間に立てられた旗に群れが到達したら……トラップを発動………。

今回は、手前まで引き付けずに順次発動。

足を止め後続に巻き込ませて………討伐もしくは手傷を負わせる………。


ふぅ…………はぁ……………もう一度深呼吸。


よし! いける!!



〝ドドドドドドドドドドドド!!!〟

〝ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!〟


激しい振動と轟音と共に魔物、魔獣の群れが森から出てくる。

パン屋ローラーゴブリン抱きつき魔ハギングウルフ蹴り魔ローキックラビット豚串スキュアーオーク等々……多種多様だった。



《備考》

・ローキックラビット

 冒険者が付けた渾名は〝蹴り魔〟。〝常夜の森〟おいて最弱の魔物。普段は四足歩行しているが、接敵すると立ち上がり半身に構え、必要以上に下腿に蹴りを入れてくる。相手を動けなくし、とどめを刺すか逃走を図る。昔、舐め切った冒険者が足周りの防備を固めて戦いに挑んだ際、垂直跳びからのローキックを頭に受け、一撃で撃破された話がある。肉はパサパサしているが美味しい。


・スキュアーオーク

 冒険者が付けた渾名は〝豚串〟。歩く豚。肉は脂が乗ってとてもおいしい。何故か種族を通して先端が尖った棒を使うのが好き。冒険者が好んで討伐をする。その際、串(おもに投擲用)を使っていると、討伐後に串で肉が焼けるので当たりと冒険者は喜ぶ。また、その串は出来が良いので街でも売れる。

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