第22話 僕は………武器が欲しかったのに……
こんにちは。
ルークです。
トボトボと街に帰ってきました……。
そのまま武器屋へ。
ちょうどいいので、防具も一新しようと思っています。
中に入ると待っていたのは、いかにも偏屈そうで………しかめっ面のドワーフさん。
いかにも武器屋っぽい店員に、一気にテンションが上がってしまう。
何が欲しい? ……武器をください!
武器屋なんだから、そんなのわかってる? ……すみません。
剣? 槍? ………どっちも使ったことがないのですが………。
普段、何を使ってる? ………鎌ですが………。
大鎌? ……いえ、普通の草を刈る鎌です……。
三件隣にいいのが売ってる? ………へ? わかりました。ありがとうございます。
武器屋を出て三件隣へ………。
………。
…………。
……………農具屋さんじゃん!!
あのクソ親父!!!
っと思いつつ……中に入る僕も僕だけど………。
あれ……何故にノリノリ? ドラゴさん?
ドラゴさんが髪の毛を引っ張って僕を誘導。
その先にあったのは………シャベル?
匙部が細長く、T字の柄………ちょっと形が変わってる。
店員さんに説明を受ける。
………芋掘り用? ………これを使えと………。
頭上のドラゴさんがウンウンと頷く。
結局、購入しました………今度からこれで戦うの?
他の冒険者には見られたくない………。
とりあえず……鉈も買っておく。
………解体用だから! 文句ないから! ………髪の毛引っ張んないで!!
なんとかドラゴさんを宥めて……防具屋さんへ移動しよう………って、えっ! いいのがある?
ここって農具屋さんじゃないの?
試着? わ、わかりました。
店員さんに連れられて試着室へ……次々と渡された物へ着替える。
流石にドラゴさんには降りてもらって……試着室の前で待ってもらう。
………。
…………。
……………うん。農家さんだ……。
店員さんが持ってきた姿見に映っていたのは………どこからどう見ても農家さん。
ドラゴさんが嬉しそうに手を叩いている………。
なになに……?
耐久性と防御力があるのに通気性が抜群の上下繋がった作業服?
蜘蛛の魔物の糸を使ってる?
その上に掛けているのは……矢も通さないエプロンと手袋?
………こっちは蛇の魔物の革? 火にも強い?
靴はガード付きのブーツ? 刃を立てた剣を踏んでも大丈夫?
これは………四足魔獣の革………もういいです………。
買うか………いや流石に………いえ、買います………。
ドラゴさんが喜んでるので…………。
なんでも店長が、大金を掛けて趣味で作ったのはいいけど………売れる気配もなかったそうだ。
売れたことで歓喜乱舞する店員さん。
その後、ヤケクソになった僕は一式を身につけたまま宿屋に帰った。
作業服にエプロン、シャベルを片手に……幼女を肩車して帰った僕を見て……宿屋の女将さんは何故か慰めてくれたのだった……。
ぼ、冒険者やめてませんから!!
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