第十四話

 豆腐がムロトから声をかけられた時点で、ニラヤマは次の行動に移っていました。


「こっちで知っている人を見つけたら、何か事情を知らないか聞いてみます。なるべく早く合流できるようにしますから、あんたも無茶なことはしないように」


 豆腐にだけ聞こえるように言い置いてから『知恵の実』の音声発信を切り、同じワールドの『弾かれインスタンス』に点在している、恐らくは知り合い同士で集まっているアバターの輪を見渡します。

 そしてカーペットの敷かれたホール中央に陣取った比較的大きな集まりに、ニラヤマは見覚えのあるユーザー達を見つけます。その中心に居るアバターとユーザー名を見て、ニラヤマは、おっ、と思った後にマイクをオフにして何度か深呼吸をします。


「……こんばんは」


 ニラヤマは初対面の相手、つまり今どういう経緯でこの場に居合わせることになったのか、お互いが何者であるかが明らかでない相手との話し方をある程度決めていました。

 まずは無理に愛想よくしようとはせずとも、相手の存在を認識していて会話が可能であるという意志表示として自分から手を振って挨拶します。


 相手の方がどこまで考えているかはともかく「おぅ、こんばんは。君がニラヤマくんか」とニラヤマに気付いて男らしい口調の美少女声で応じる、男装の麗人のような出で立ちをしたアバターが歩いてきます。


「須藤さんですよね、ムロトさんからお噂はかねがね」

「なぁによ噂って」


 須藤と呼ばれた男装の麗人アバターは笑いながら、腰をかがめて顔をニラヤマの眼前に近づけてきます。


――来た、


 一瞬呆気に取られたニラヤマでしたが、ムロトに言われたことを思い出して、つま先立ちになって唇を合わせます。

 数秒にも渡る音を立てたキスが交わされる中、周りに集まっている人はその光景が当たり前のように雑談を続けていました。


「……ともかく、初めまして」


 キスを終えたニラヤマが言うと、須藤は「ん、ようこそ『ソドム』の一行へ」と返します。ニラヤマは最初に“ソドム”に訪れる前にムロトから、須藤への挨拶は忘れないようにと聞かされていました。


「まさか“挨拶”がキスのことだったなんて」と後々でニラヤマが感想を言った時、須藤に「いや、普通によろしくって言葉で言ってくれれば良かったんだよ。キスは別にしなくても良かったけど、反応したってことは“そういうこと”の心得はあるって周りにも伝わって良かったんじゃない?」と言われたのはまた別の話ですが。


「そういえば今日は須藤’s roomじゃないんですね」


 ニラヤマが須藤の姿を目にして最初に思ったのは、何故ここに訪れたのかという疑問でした。言うなればコミュニティとは特定のワールドと『この人に参加すれば、いつもの人たちの集まる場所に行ける』という信頼で成り立つ実体のないものです。

 なので友人限定などの固定メンバーで大所帯になったコミュニティほど、そのインスタンス主が別のコミュニティと混ざり合う場所に訪れることは少なくなるものです。


 ですが今後も付き合いがある予定の相手に、いきなり意図を問い質して警戒させるのも得策ではありません。

 まずは世間話、つまり誰にとっても差し障りのない自明の話題で、今日の天気の代わりにVRSNSでは今居るワールドや互いのアバターという便利なものがあるのです。


「まぁね、たまには“ソドム”の面子でワールド巡りをするのも悪くないかなと思ってさ」

「へえ!私はこのワールド作るの手伝って欲しいって知り合いに頼まれて、大体できたからフレンド達に見てもらおうって友人交流を開いただけなんですけど、予想外に人が集まってて『弾かれインスタンス』に飛ばされちゃったんですよね。

 でも他のSNSで須藤さんのアバター見た時から格好いいなって思ってたんで、ここで偶然会えて良かったです」


 辺鄙な酒場で隣の席に居合わせた客と話すように、ニラヤマは『そのインスタンス』に来た経緯――どのフレンドに参加してきたか、どういうコミュニティであったりワールドに興味を持ったとか――を自分から話して相手にも聞いてみたり、そこで共通の話題として掘り下げられそうな何かしらを『自分の話』として振ってみて、相手が食いついてくるのを待ちます。

 というのは相手の素性を詮索するような聞き方で話題を押し付けてしまうと相手を警戒させてしまうからで、と会話の流れをニラヤマは総ざらいしながら「……へえ、このワールド作るのに関わった人なんだ?」と、須藤が興味を持ったように身を乗り出してくるのを見て、ニラヤマは話題の一つが“当たった”かと内心で思います。


「じゃあムロトくんから何か聞いてないかな?」

「えっ、ムロトさんですか」


 製作したワールドと関わりの薄い、そして今まさに真意を探ろうとしていた相手の名前が出てきたことで、ニラヤマは話し方を忘れて思わず聞き返してしまいます。ですが、その後に続けられた『噂』はもっと予想のつかないものでした。


「じきに始まる正式サービスで“ソドム”も続けられるか心配だったんだけどさ。運営に配られた『知恵の実』ってアイテムを持ってる人だけは、フレンド登録とか製作物を引き継いで正式サービスに行けるって聞いたんだ。それで創作してるユーザーや有名人をかき集めて、正式サービス開始後に楽しいものコンテンツを独占しようとしてるカルト団体の噂があって」


 その話を聞いたニラヤマはすぐに『知恵の実』で連絡を取ろうとして、目の前の須藤がそれに注目していることに気付いて心の中で舌打ちをします。


「……あれ?ムロトくんと同じイヤリングをしてたから、それが『知恵の実』なのかと思ったけど知らないんだ」


 期待外れそうな須藤は、つまるところニラヤマが関係者であるのなら『知恵の実』を分けるようにと紹介してくれることを期待していたのでしょう。けれどニラヤマは本会場に居る豆腐に『噂』を伝えて、すぐにでも合流しなければいけませんでした。



 一方、豆腐はニラヤマから『知恵の実』の通話を切られた時点で、不慣れな相手のムロトと会話を続けるよりミズナラを見つけ出すことを選びました。

 満足な言い訳も思いつかないままムロトから離れ、ミズナラを探して当たり判定のないアバター達をすり抜けていく中で、周囲に居るユーザーのほとんど全員が『知恵の実』を着けていることに気付きます。


 確かに豆腐はニラヤマに秘密で『知恵の実』を分け与えていると聞いてはいましたが、それを『気の合う人間と過ごす』ためだけにインスタンスが埋まるほどの規模で広めているとは思えませんでした。

 そして豆腐は、人だかりの中心近くにミズナラの姿を見つけます。


「ミズナラよ、これは一体どういうことだ!?」


 その時、ミズナラは祭壇の隅っこにコタツが置かれて、そこに何人かのユーザーが座っているという奇妙な光景の中に居ました。


「お久しぶりです~ミズナラさん、前に配信の視聴部屋でお会いした時以来ですね」


 コタツに足を入れたまま挨拶したその一行を見て、豆腐が感じたのは『ニラヤマと似ている』という印象でした。

 アバター全体が黒髪や銀髪に石膏のような灰色の肌といった彩度の低い色で統一されていて、瞳やアクセサリーに衣装の模様としてだけ各々の色を持っているのです。そうした、ある種の洗練された雰囲気のアバター達が、誰かのアバターであるらしいコタツを囲んで座っているのは奇妙なシュールさがありました。


「それにしても、あなた達に“カナン”以外で会うなんて」


 ミズナラが出した名前を『知恵の実』で聞いていた、ニラヤマも思わず息を呑むことになります。


 ニラヤマが“カナン”の破壊を目論んでいると知った時、ミズナラは正面切って問い質したり、その目論見を否定しようとは考えませんでした。

 好きな場所、好きな相手のところに行くことができるEDENでは、協力的でなかったり口うるさい相手とは別の場所に行く自由があるから、ニラヤマが自分を避けるようになるのが一番怖かったのです。


 代わりにミズナラが考えたのは『知恵の実』を使って“カナン”のみならず、ニラヤマがEDENで行きたいと思った全ての場所に行けるようにすることでした。

 豆腐の“お告げ”ワールドを紹介するため、多くの視聴者や有名人との『知恵の実』の繋がりを増やしていった今、彼らの属する様々なコミュニティにニラヤマが訪れることができれば、わざわざ今ある場所を破壊しようとしなくなるだろう、と考えたのは確かです。


「ニラヤマさんは僕ばかりが遠慮する必要はないと言ってくれて、僕が失いそうになっていた何かを豆腐さんと協力して創り直してくれました。だから今度は僕がニラヤマさんの持っている何かを、ニラヤマさん自身の手で奪わせないようにする番なんです」


 『知恵の実』を分け与えられたユーザー達は、異なるインスタンスからお互いが見ているものを共有して言葉を交わし、誰かが面白そうなワールドに居ればそこに集まり、或いは一緒に過ごしていて楽しいと思える相手と集まれるようになりました。


 そしてニラヤマ以外で『知恵の実』という“便利なツール”を使い続けられるのは、共有された視覚や話している内容からニラヤマに会わせても大丈夫とミズナラが判断したユーザーだけです。

 つまりEDENに元からあったフレンド登録機能の上に、より密接な『知恵の実を共有する者』という繋がりを作るようなものでした。


 そして『知恵の実』の繋がりに限った話ではなく、大きくなったコミュニティは例外なくコンテンツとしての側面も持つようになります。

 つまり身内にだけ見せる製作途中のワールドや、コミュニティ内で行われるイベントなどの知名度が上がれば、それ目当てで参加したい人が増えていきます。

 けれどインスタンスの参加上限を越えた人数が常時そこに行こうとして、インスタンスへの参加が満員になるまでの早い者勝ちになれば、常連同士で集まる『コミュニティ』としての側面を維持することは難しくなってしまうのです。


「私たちが『知恵の実』の繋がりの中で楽しい時間を過ごせば、結果としてEDENを良くしていくことに繋がるんです。全体公開の治安の悪さや別コミュニティの人間関係に不満を感じている人に、そうではない場所もあると証明することになりますから」


 そう言ってミズナラは『知恵の実』を会員制にして、一つのインスタンスに収まる人数より多くのユーザーに分配しないようにしました。


 いずれ訪れることになるニラヤマや『知恵の実』による集まりを主催する自分、そして既に参加している有名人や創作者たちにとって、気が合う人たちと時間を過ごせる『コミュニティ』としての側面を守るためです。

 そして口外無用だったはずの『知恵の実』の噂をどこかから聞きつけ、自分にも分けてくれと頼んでくるユーザーが増えてから、ミズナラは『知恵の実』を持つユーザー以外は来ることのできない友人限定や招待限定で過ごす時間が増えていきました。


 一方でミズナラは特別な技術を持っている人や面白いコンテンツを提供できる人には、自分とムロトの交友関係を駆使して『知恵の実』の繋がりに勧誘して行きました。そうすれば既に会員になっている人たちは、わざわざ外に出なくとも気心の知れた常連の人たちと一緒に、新しい出し物コンテンツを見ることができるからです。

 言うなれば帰り道のコンビニや誰も居ない教室の代わりに、色んなワールドやイベントを開催しているインスタンスがあり、気心の知れた相手とそれを楽しむことができる『終わらない放課後』だとミズナラが理想を語れば、疑問を唱える人は『知恵の実』の繋がりの中には居ませんでした。


――それが嘘っぱちであると、誰よりもミズナラ自身が『知恵の実』でニラヤマを繋ぎ留めておけないことに気付いていました。


 最初のうちはミズナラも『知恵の実』による繋がりで特別な扱いを受けることを悪くない気分だと思っていました。

 コミュニティの管理をムロトに手伝ってもらいながら自分はアイドルとして振る舞うことで、それが理想的な場所だと自他に思わせることにも繋がりました。


 ですが正式サービスの開始が近づくうち、それも豆腐から与えられた『契約の箱』という特別な機能ありきでの賞賛で、正式サービスが開始された後の自分に残るものなど何一つとして無いと焦り始めます。

 豆腐が来なくなってからは友人限定のインスタンスで交流会を行う頻度も下がり、ミズナラは『知恵の実』を持つユーザーの集まる招待限定の中に閉じ籠るようになりました。それでも豆腐を受け容れてくれるユーザー達、という形でどうにか『知恵の実』の繋がりをニラヤマに紹介できないかと思っていたのです。


そんな矢先、豆腐がワールド製作を通して『頭の中の世界』を見せ合えることがEDENの全てのように言うのを聞いてしまいました。そして、ついにミズナラは豆腐という特別な権限と使命を与えられたユーザーのことや、ニラヤマが“カナン”の破壊を目論んでいることまでムロトに話してしまったのです。


「ニラヤマさんは“カナン”の破壊っていう考えを捨てるどころか、その豆腐っていう人とのワールド製作が僕と会うのより楽しいみたいで」


 愚痴を経由して本題に戻って来たミズナラの相談事に、ムロトはあっけらかんと答えます。


「ああ、それは簡単じゃない?どう考えたってVR-EDENのシステムで“カナン”を破壊することはできないし、それ以外の能力を持つかもしれない方はEDENのことを何も分からない。だからニラヤマくんと豆腐って人を引き離してしまえば良いんだよ」


 だから二人と別々のところで会うことが難しいのだというのに。

 二人は創作によって自分たちの望む世界を作ろうとしていて、それ以外の場所に行く理由も時間もないのだから。

 内心でそんな風に考えているミズナラに、ムロトは言います。


「ニラヤマくんは特定の人間じゃなくて、自分が行ったことのない場所にしか興味がないからさ。新しく出会った豆腐って人から引き離したいなら『知恵の実』の繋がりに、その豆腐くんって人が参加できないようなコンテンツを用意すれば良いんだよ」

「そのコンテンツって“メス堕ち”のことじゃないですよね?」


 美少女アバターに身体を同期トラッキングさせて可愛い動きをしたりボイスチェンジャーによる可愛い声で振る舞い、周囲からも美少女として扱われるうちに精神まで染められる現象を“メス堕ち”と言います。

 そしてメス堕ちというのは一人ではできません。何故かというと自分のことをメス、つまり美少女として扱ってくれる男役が居て、それに美少女として反応することで初めてメスになれるからです。

 そして男性をメスとして扱う人のことを一般的にホモと呼び、ムロトが有名人なのは“メス堕ち”したい人にとって理想のホモであるからでした。


「うーん、ちょっと違うかな?むしろ“ソドム”に居る人だとできないことでさ」


 ムロトは煮え切らない返答をして、じれったさを感じていたミズナラは予想外の言葉を聞きます。


「……ミズナラくん、俺とお砂糖してみない?」

「へ?」


 お砂糖とは『砂糖を吐く』という比喩を語源としてVRSNS内におけるカップルや、ユーザー同士でそういう関係になる行為を表した言葉です。

 そして誰もが美少女になれるVRSNSでそれがメインコンテンツだという風潮は、ずっと昔から一大勢力として存在していました。


「ニラヤマくんを好きなのも知ってるけど、お砂糖なんて本当の恋愛じゃないんだからさ」


 ムロトが言うように、実生活に関わりのない相手と現実のしがらみ抜きで繋がれる仮初めバーチャルな気軽さも、新しい文化として後押しされる一因であったのでしょう。


 一方で『お砂糖』は関係を結んだ当人同士だけでなく、それをコンテンツとして受容できる者だけを周囲に呼び寄せるのです。

 時として学友のように『お砂糖』の成立を嗅ぎ付け冷やかして、或いは『お砂糖』の片割れに親しく接することで嫉妬というスパイスを提供する。

 現実社会では決して一般的でない『お砂糖』という文化と、それが善いことであるという価値観を共有できている者だけが、たとえ当事者でなくとも同じ時間を過ごすことができます。


 それは、そこで展開される価値観に参加できる役割を持っていなければ、その場所には居られないということでした。

 けれど、そうした繋がり方を好まない人はこの場所に来なければ良い、皆が好きな場所に行くことができるのがEDENという世界なのですから。

 そんなお題目を掲げながら、興味がなくとも相手や場所に合わせた振る舞いができるニラヤマと違って、そこに居る誰かに豆腐は会いに来れないからこその提案だとミズナラも分かっていました。


 そしてムロトは、ミズナラが語った創作に対するコンプレックスを引き継ぐ形で、それが『インスタンス』という仕組みにおいても同じなのだと話します。


「考えてごらんよ。そもそもEDENは『何もしていない人』が大半を占めてるけど、俺たちはそこで楽しく過ごすことができている。この場所を成り立たせているのは創作なんかじゃなくて、同じものが好きな人だけで集まることのできる『インスタンスの壁』なんだよ」


 それはニラヤマが別のインスタンスで『知恵の実』のカルト的な繋がりという噂を聞いたのと、ほとんど同じタイミングでした。

 だから豆腐はまだ『知恵の実』による繋がりがどれだけ大きくなっているかも、そこに入れる者が選り分けられていることも知らずに、ある意味ミズナラを呑気なまでに信頼したまま、その姿を見つけたことに安心していました。


 ミズナラの『知恵の実』による繋がりに“カナン”の一行が接触を図っているなら、あとはニラヤマの話を伝えるだけで条件を達成できると豆腐は思います。

 それを中断したのは「あっ、あん」とミズナラの手元の方から聞こえる喘ぎ声で、というのも自分の胸元に寄り掛かるように座っていた美少女アバターの肌に、ミズナラが手を這わせて愛撫していたからです。


「ここが気持ちいいんですか?次は、ここを撫でますよ?」


 そして存在しない触覚を想起させるために告げながら、現実世界での虚空を撫で続けるミズナラの姿を“カナン”の一行は少しだけ見た後に、コタツごと別の場所へと遠ざかって行きます。

 それは挨拶に対して返事をすることはあっても、既に継続している会話や行為を中断するほどではない、という大人数の集まる場で優先順位を付ける珍しくもない光景ではありました。


 ですが豆腐は、その姿にかつて自分たちを“カナン”に連れて行くと言った言葉と辻褄の合わないものを感じて、もう少し近くに寄ってミズナラの名を呼びます。


「……ミズナラよ、」


 もし“カナン”の一行が先程のやり取りで再びここに来ようと思わなかったとすれば、ニラヤマの言っていた条件を満たすことは限りなく難しくなってしまうのです。


「「ミズナラ」」


 声のした方に、ミズナラは顔を上げます。


「あっ、遅かったじゃないですか!待ってたんですよ」


 そう言ってミズナラが駆け寄っていった相手は、同じ位置に『知恵の実』のネックレスを着けたムロトの姿でした。


「もー、また俺以外の人とイチャついて」

「だってムロトさん遅かったから……」と言いながらも、隣り合って座る姿勢に自然に移行した頃にようやく、豆腐は自分にも優先順位が付けられていることを悟ったのでした。

 気付けば豆腐の周囲には『知恵の実』を同じ意匠のアクセサリーで揃えた二人組のユーザー達と、それを祝福しながら自分も相方を探すような“お砂糖”の輪が広がっていて、その中心にはミズナラとムロトが居ました。


 魔境という風評と共にEDENの外まで聞こえていた『お砂糖』という文化や、今ここで自分や“カナン”の一行に入り込む余地のないことは豆腐でも知っていました。

 そうしているうちミズナラ達にとっての『いつものメンバー』が集まり、豆腐がひときわ賑やかになっていく場から挨拶することもなく去って行こうとした時、その進行方向にムロトが立ち塞がります。

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