第五話
ワールドのロード画面が明けた時、ニラヤマ達は旅館のような座卓と四つの座椅子が並んでいる、昭和風の木造住宅に立っていました。
縁側に大きく開いた障子の向こうは見渡す限りに波立つ水面が広がっていて、どうやら家は遠浅の海のただなかにポツンと建てられているようでした。
鴨居にかけられた風鈴のチリン、チリンという音に顔を上げると朱塗りの鳥居が遠くの海に浮かんでいます。その脇には半分ほど水面に沈んだ廃ビル群が立ち並んでいて、縁側を降りれば水に漬かりながら鳥居まで歩いていくこともできます。
「あ、あー。それで、お告げとやらをするために必要な祭司ってのは、あんたを紹介したり発表の場を用意してくれる交友関係が広い人ってことですね」
ニラヤマは自分の肉声がボイスに反映されていることを確かめると、そのまま自分のイヤリングに扮している四角いアバターに話しかけます。
ワールド内のユーザー達はほとんどが、室内に置いてある大きな鏡の前に座っています。鏡の前に並ぶと自分のアバターの挙動と相手を一緒に見ることができるので、ワールドの景観よりも鏡を眺めている時間が長いユーザーも珍しくないのです。
そして豆腐がイヤリングを揺らして器用に頷いたのと同じタイミングで、鏡の前に居たユーザーの一人がニラヤマに気付いて鏡の前から歩いてきました。
「誰もがなりたい姿になることができ、好きなものを創って交流できるのが仮想現実だ。そして何を創るのも自由であるということは、何も創らない自由も存在している。貴様が“何もしていない人”と称した者こそ、まさに我の探している人材なのムグッ」
「あっ、ニラヤマさん」
ニラヤマが豆腐を握りつぶして黙らせた直後、競泳水着のようにぴったりとした白い衣装に豊満なボディを押し込んだ、赤い髪の美少女アバターが駆け寄ってきます。
鼻がくっつくほどの距離に近付いて「こんばんはー」と言いながら顔に手を伸ばしてくる美少女を、ニラヤマはなおざりに撫で返しながら「ミズナラ、VRヴァルハラはもういいの?」と言いました。
ちなみにVRヴァルハラとは有名なファンタジーMMOのVR版で、夜中までVREDEN内で知り合った人とパーティを組んで一緒にゲームをした後、夜更けまで同じ人とVREDENで雑談しているようなコミュニティも珍しくありません。
「真夜中までゲームはしないよ、みんなが集まってる時間はお話ししてたいから。そういえばニラヤマさんが行ってたUDON毛刈りのワールド、どうだった?」
「あー……ギミックもだけど普通に景色が良かったね。草を食べてる羊の鳴き声聞きながら、高原の芝生を眺めてるだけで何時間でも過ごせそうだった」
もっともニラヤマは、毛刈りをしていたら妙な豆腐に絡まれて、あまりゆっくりすることはできなかったのですが。
そうして会話している間もミズナラは自分の乳をニラヤマの顔面に押し付けて、「わー」とか「よしよし」とか言いながらニラヤマの頭上で手を動かしています。
顔が良いアバターを相手に近づけて、現実の身体に追従する両手で相手のアバターと触れ合う『撫でる』という行為は、両手以外の触覚がないVRSNSだからこそ気軽なスキンシップとして行う人も居ます。
そしてニラヤマが視界を顔と乳で埋め尽くされているうちに、ミズナラが「あれ、耳にピアス開けたんだ?」と豆腐に手を伸ばします。
ニラヤマが「イヤリングだよ」と言うより早く、豆腐が叫びました。
「ぬァっっっ!!!!!」
「うひょあぁ!」
聞き覚えのない声に驚いたミズナラがひっくり返るのと、ニラヤマは豆腐を握りつぶすのが同時でした。
「ねえニラヤマ、今の何っすか!?」
「オーディオのスイッチだね、BGMのon/offを切り替えたりする時によくあるでしょ」
起き上がったミズナラが目を輝かせながら質問してきたので、ニラヤマはなるべく表情を変えないようにしながら答えます。
ワールド間はSDKという共通言語で繋がっているだけの、全くシステムの違うゲームのようなものなので、別ワールドからオブジェクトを持ってくるなんてことはできません。
全くゲーム制作ソフトを触ったことがないユーザーでもなければ騙されない嘘八百です。そして相変わらず豆腐の視界は、ミズナラの乳で覆いつくされています。
「ん貴様ァ!貴様はゴボボボボッ」
ニラヤマは皆の集まっている家屋から離れた浅瀬に移動すると、耳たぶから豆腐を外して水底に沈めました。叫んでいる途中で水中に沈められた豆腐は、声の代わりに白い直方体のパーティクルをぶくぶくと吐き出しました。
しかし豆腐が叫んだのは決して、ミズナラの迫りくる乳とアニメ顔の恐怖に負けたからではありません。
例えボイスチェンジャーを通した女性のような声で、裏アカウントに自撮りが上がらなくなってから長い期間が空いていようが、彼女――彼を見間違えるはずがないのです。
そのアバターの自撮りを見て豆腐はVREDENに興味を持ち、その自撮りを投稿している裏アカウントの呟きを見てVREDENを始める決心をしたのですから。
「そうそう、それでこれがUDON毛刈りから持ってきた毛刈り器ね。あの豆腐……キューブスイッチが大きくなったり、虹色に光ってきたら押し当てて刈るんだ」
ニラヤマは自分でそう言いながらも、いつの間にか豆腐に与えられた権限である『契約の箱』の毛刈り器を
その隙に水中から脱出した豆腐が虹色に輝き始めたので、ニラヤマは毛刈り器を押し当ててブブブブとコントローラーの振動を感じながら豆腐を削り取りました。
「あーそう、こんな風に……」
もう騙しようもないというか、むしろ説明通りならば自分が演出過剰なオブジェクトを持ち込んできた迷惑プレイヤーでしかないことに気付いて、ニラヤマは墜落した豆腐を捕獲しながら意気消沈ぎみに言いました。
「そういうオブジェクトって、別のワールドに持ち出したりできるんですか!?」とミズナラが驚いたように言うと、ニラヤマは「できないよ、さっきのは嘘」と即答しながら、小さくなった豆腐を再びイヤリングとして装着しました。
「……いや、流石に気付いておるだろう。我は厳密にはユーザーではないが、ニラヤマと独立した存在だ」
豆腐はそう言うと自分がEDENの善悪を見定めるために降り立って、ニラヤマに能力を貸し与える代わりにインスタンスを案内してもらっていることを語りました。
ニラヤマが使命を手伝う対価としてEDENに災厄を起こそうとしていると、例えニラヤマの居ない場所で言ったとしても突飛すぎて信じてもらえないだろうと豆腐は話しませんでした。
代わりに本当はミズナラが今VRで元同級生と出会っているのだと教えるべきかと迷いましたが、今の豆腐はニラヤマのアクセサリーに扮することを条件に
これ以上ニラヤマの前で迂闊なことを言うよりは、とりあえず“
「うーん、つまりVREDENがどんな場所か知りたいってこと?」
「先にも言ったように、我は心や記憶を読むことができる。ミズナラよ、貴様と出会った時に我が叫んだのは、我の見るべき景色を貴様が知っていると見通したからなのだ」
荘厳なる建造物に満天の星々や花火のように光が舞い散る中、敬虔さに満ちた衣装のアバターがともに集った者たちと、言葉を交わすことすら必要とせず美しい景色や音色を楽しむような場所に心当たりはないか、と豆腐はミズナラに尋ねます。
無論、豆腐が語った景色とはミズナラから読み取った記憶などではなく、自分がEDENを始めた切っ掛けである裏アカウントの自撮りだったのですが。
「えー奇遇ですね、僕もそういうワールドすっごい好きなんですよ!多分だけど、今言ったのは僕が見たい景色を読み取ってくれたんじゃないですか?僕って語彙力あんまり無いんで、そんな風に分かりやすく言葉にしてくれると凄いなーって思います!」
「いや……しかし、そんなはずはないぞ。我は実際に貴様の……」裏アカウントでその写真を見たのだ、とは言えずに豆腐は押し黙ります。
「随分と消極的じゃん、ミズナラのことが怖いの?」
ニラヤマは少しだけミズナラから距離を取ると、耳元で揺れている豆腐にだけ聞こえる小声でそう言いました。
「怖いという感情とは違う。なんだ……この未知の感情は」
豆腐は自らの中に渦巻いているものに混乱して、ニラヤマの言葉に怒るどころではありませんでした。豆腐はミズナラ、つまり現実での姿を知っている元同期生のことを――
(――“可愛い”と思ってしまっているのか?)
豆腐が話してる時もミズナラは手を伸ばせば触れられるくらいの距離で、満面の笑みで自分を見ながら聞いてくれていました。
それが同性となら珍しくないくらいの距離感であったとしても、豆腐の視界を埋め尽くしているのは美少女のアバターです。
「EDENに来るような人間なんて大体が、現実でおっぱいの大きな美少女とまともに会話した経験がないからさ。普通の初心者ユーザーが“中身入りの美少女アバター”に怯えるのは、仕方ないことだとは思うよ」
そう言いながらも笑いをこらえるような声に「貴様……我の狼狽える姿が見たくて、ここに連れてきたのか!?」と豆腐はようやくニラヤマの意図を理解しました。
「でも、あんたが言ってた“人々の声”って、こういうことじゃない?」
「ぬう……」
返す言葉もなくなった豆腐が押し黙っていると、その沈黙を勘違いしたミズナラがこんな提案をしました。
「どこか他に行くあてがないのなら、このインスタンスで少しゆっくりしていったらどうですか?」
「うーん、私は同じ場所でじっとしてるのが苦手だから……」
悩むそぶりを見せるニラヤマに、豆腐は「ならば我をミズナラに預けて、その間にやりたいことをやれば良かろう」と言いました。
「じゃあミズナラ、少しの間だけこいつ預かっておいてもらって良いかな?」
このインスタンスで他にも会いに行く相手が居たニラヤマに、豆腐の提案を断る理由はありませんでした。
ニラヤマは「私が居ない間も、目立つようなことしないでね?」と念を押しながら、ピックアップしていた豆腐をミズナラに手渡します。ミズナラが手に持った立方体を人差し指トリガーで『使用』すると、今度はミズナラのネックレスに変化しました。
「ミズナラ、世話かけるね」と、ニラヤマは手触りを確かめるようにネックレスの表面にそっと指をかざして、すぐに興味を失ったように手を引きました。
そしてニラヤマがインスタンス内の誰かと話しに行った後、少し残念そうなミズナラと豆腐の二人だけが残されました。
「……懸想の相手はニラヤマだな」
「えっ、え!?」
そして豆腐が唐突に言い放った言葉に、ミズナラは驚きのあまり硬直します。
「ミズナラよ、許せ。あれがニラヤマを引き留めるための提案だとは分かっていたが、この話をするために貴様と二人きりになる時間が必要だったのだ」
「……心が読めるって本当なんですか?」
「本当だ」
もちろん嘘でした。
仕事の愚痴も減ったミズナラの裏アカウントは、恐らくVREDENでの知り合いにフォローされていない想定で今も細々と呟かれています。
その内容はもっぱら誰かへの思いを綴った、何かしらの関係性を匂わせるような投稿ばかりでした。
そして、その中にあった“会いたい人が居るから毎日EDENに通っているのに、根無し草なその人には中々会うことができない”という呟きから「もしや“この二人”がそういう関係なのか」と思い至った豆腐の考えは当たっていました、半分だけ。
「そう、僕の片想いなんです」
豆腐はミズナラの想いを叶えることに協力する代わりに、自分と契約するように持ち掛けるつもりでしたが、ミズナラは想いを明かす気はないのだと続けました。
「好きだと言ってしまえば、僕と同じ場所に居ることで気まずい思いをさせてしまう。僕がニラヤマさんを好きで居ることで、あの人から何一つとして奪いたくないんです」
アバターの表情はコントローラーで認識されるハンドサインに連動して、設定された組み合わせから呼び出されているもので、ユーザーの実際の表情を読み取っているわけではありません。
しかし豆腐はミズナラの今までにない断言の口調と、苦しくても満たされているような不思議な声音から彼女――彼の本当の表情を想像して、それ以上は踏み込めませんでした。
「そんなことよりも豆腐さん、初対面で僕が好きな相手を当てられたってことは、もしかしてニラヤマさんが僕をどう思ってるかも分かるってことですか?」
「ぬッ!?」
今までのやりとりで豆腐は、ミズナラが本当に元同期生と同じ人物として接しても良いものか、ボイスチェンジャーを介した声も相まって分からなくなっていました。
ですがニラヤマへの想いを胸の内に秘めたままでも、ミズナラがEDENという場所を楽しんでいるのは確かなように見えました。
だからニラヤマのような求める対価のない彼女――彼の願いを叶える代わりに、一度は全体公開インスタンスで失敗した預言を手伝わせて、大勢の集まる中で晒しものにされる危険を負わせたくないと豆腐は思ったのです。
豆腐が返答に困って沈黙していると、ミズナラはさっきまでの明るい表情に戻って「あはは、冗談ですよ」と言いました。
「ただ我は、美少女のアバターに胸を押し付けられるのが、その……慣れていないので怖いのだ。ニラヤマに目立たぬようアクセサリーで居ろと強制されて自由に動くことができず、かといって逃げようとすれば先程のようにひどい目に遭わされるから余計にな」
そして豆腐の建前に「そんな理由で暴れていたのか」とツッコむこともなく、ミズナラが答えました。
「うん、知ってますよ!フレプラに顔見知りじゃない人が来たら警戒されちゃうだから、ニラヤマさんがイヤリングに擬態させて連れてきたんでしょ?」
「そうそう、奴は横暴で……何?」
「それって凄く良い案だと思いますよ!アクセサリーが叫んだ時はびっくりしたけど、そのお陰で今こうやってお話してるわけですし。誰かに自分を知ってもらいたいと思うなら、最初は目と耳のほんの隅っこを『貸して』もらうだけでいいんです」
今度は豆腐もしばし無言になりました。
「例えるなら『テレビを見ていたいだけで、どんな番組を見ていても構わない』ような時間に、ちょっとチャンネルを変えてもらうんですよ。どんなに拡散力のある有名人にだってそんな時間があるし、そういう時間の人だけが僕のインスタンスに集まってくるんです」
「ミズナラじゃん、なにやってんのー?」
と、そこに新しくジョインしたユーザーがやってきて、ミズナラは「ほらね」とでも言うように小首を傾げました。
ミズナラ達が戻ったミラーの前には重武装のロボットや二足歩行するケモノのアバターだとか、人型であっても実写映画さながらのリアルなものからアニメ調のデフォルメをかけた色合いや体型のものまで集まっていて、それでも豆腐のように幾何学的な形をしたものは居ませんでした。
そして豆腐はミズナラの言動や振る舞いの中に、学生時代クラスの人気者として沢山の人に囲まれていた“彼”の姿を見ていました。
そこに仕事を始めて呟きの内容が荒れていく前の元同級生の姿を重ね合わせて、豆腐は“彼”のVRでの姿がミズナラであると再び確信することができたのです。
「……でも、豆腐さんはEDENの善悪を見定めるために来たんだから、この場所にずっと居るってわけにもいかないんですよね」
周りに人が居なくなってから、ミズナラは少しだけ残念そうに言いました。
豆腐が返答に困っていると、ミズナラはさっきまでの明るい表情に戻って「豆腐さんが探してる場所のこと、本当は心当たりあるんです。僕がそういう景色の中に居るのを見たって言ってたでしょう?」と言います。
豆腐はそれが自分のEDENを始めるきっかけとなった、ミズナラの自撮りしていた場所であることを思い出しました。
「本当はニラヤマさんに見せてあげたいんですけど、最近あの人のことを口説いてる人が居るみたいなんです。豆腐さんが言った場所に連れて行っても、その人がジョインしてきてトラブルを起こされたりしたら、ニラヤマさんまで行きづらくならないか心配で」
「だからニラヤマの前では知らないと言ったのか。しかし、ニラヤマのように粗暴な……」
とミズナラの前で口走りかけてから、豆腐は「可愛く振る舞う気がないやつを誘うのは、一体どのような人間なのだ?」と言いなおします。
豆腐の質問にミズナラは「ええっとEDENっていう場所の中には、こことは全然違う遊び方をしているコミュニティも沢山あって、その一つに……」とそこで急に声を小さくします。
その後に続いた説明を聞いて、豆腐は「ああ、美少女のアバターで性行為の真似事をするコミュニティか?それなら実際にEDENを訪れる前より聞いたことがあるぞ」と納得しました。
「ちょっと!声大きいですよ……ともかくムロトさんっていう人は自分が可愛いって気付いてない人をナンパして、そういうコミュニティに連れ込むので有名なんです。
もともとEDENを始めたのも同性の友達みたいな距離感で、性行為もさせてくれる美少女と会いたいって理由の人ですから。それで最近その人がニラヤマさんとよく会っていて、口説いてるみたいなんですけど……」
そこで黙り込んでしまったミズナラの様子を見て、豆腐は「成る程、それで“ニラヤマの心を読んでほしい”などと言ったわけか」と器用に頷きました。
「ニラヤマと同じ場所に居ることができる今の状況を失いたくはないが、このままでは奴がムロトという人間のものになってしまうかもしれない。
しかしニラヤマの想いがはっきりしないままでは、自分から奴やムロトという人間に対して不用意に手を出すのは怖いのだな。ならば本当に貴様の片想いであるか、ニラヤマの感情を読んでやろうではないか」
豆腐の変身したペンダントの表面が白く輝いて、契約が完了したことを示します。そして豆腐は両手で抱えられる大きさになると、ミズナラに「ニラヤマの動向を知りたくば、我の内側をその目で覗き込むが良い」と言いました。
アバター同士に
そして言われた通りにミズナラが豆腐の中に顔を突っ込むと、視界を取り囲んでいる正六面体の裏側が白く点滅して別の場所の景色を映し始めます。
そして顔を突っ込まれている自分の視界に、ミズナラの胸元が大写しになることに気付いた豆腐は「ムグッ……」と呻きました。
「……これは?」
「ニラヤマが着けたイヤリングから見える景色を、即席のVRゴーグルのように映し出している。このインスタンスを訪れる直前、ニラヤマと話していて思いついたのだ。どうして全知全能の神が、他人のヘッドセットの中を覗けないことがある?」
確かにニラヤマは豆腐の本体をミズナラに預けましたが、分裂した片割れをイヤリングとして着けたままで居るのでした。
「うぇっ!?豆腐さん、本当にそんなことできるんですね……」
と驚くミズナラに、豆腐は「我ではない、我と契約した貴様なればこそだ。ニラヤマのような自分自身にしか興味がない者では、その願いを反映しても今のような“契約の箱”は与えられなかっただろう」と言いました。
とはいえ実際に豆腐が映し出しているのは、ニラヤマのイヤリングを通した視界でしかないのですが。
そしてミズナラと豆腐が見たのは、少年にも見える中性的なアバターがニラヤマと唇を触れ合わせている光景でした。そして豆腐は、そのアバターの主の名前を言いました。
「まさかムロトというのは、今ニラヤマの前に居るユーザーのことか?」
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