110-2
1時間ほどすると話がまとまったのか2国の者達が戻ってきた
「マアグリは賛成させていただこう。一妻多夫の町もある故見込みはあると判断する。同行した者の中に未亡人の娘を持つ者もいる故、その町が実現するなら住まわせてやりたいそうだ」
「ブロンシュも同じく賛成だ。女性騎士団に同性愛者がおるらしい。その者達をその町の警備に回してやりたいのだが…」
「願ってもないことだ。実はこの話のきっかけは我が国の女性騎士の言葉だったんだが…」
モーヴはこのタイミングで初めてオナグルに手籠めにされたメイドの話をした
「その2人が安心できる場所があればとその騎士が申してな…」
「それが理由で亡命を諦めるとは…」
「頼る者もおらず未来に絶望しかなかった2人は、助けられてからも笑顔さえ見せないという。蔑まれ、白い目で見られるなら囲われていた方がましだと」
「何と…」
この場にいる者がそう言った声を直接聞くことはまずない
既に自分事と捉えている者たちはやりきれない思いを感じていた
「同じような経験をした者同士なら互いに理解し合えることもあるだろう。最初は傷のなめ合いかもしれんが、その先に希望を持ってくれたらと思わずにおれんのだ」
「ではその町を作る方向で話を進めよう」
レンヌが言うと皆が頷いた
「更地に戻した後、奴らには引き続きその町の土台作りをさせるのはどうだろうか?」
「ほう」
「これまで権力に胡坐をかいていた者に肉体労働を続けさせるか?」
「ふんぞり返って下の者にさせてきたことを自ら体験してもらうとは…いいかもしれませんな。多少食費がかかろうと肉体労働する労働者を雇うより遥かに安く済む」
「財産が没収された上に亡命は出来ないとなれば働かざるを得ないしな」
耐えがたい屈辱に耐え続けることが出来るかが見ものだと、言葉がどんどん飛び出してくる
「奴らには倉庫のような大きな小屋を提供してやるとして…女子供には畑を作らせよう」
「男手にはまず住む場所を建てさせることになるな」
「複数人で住める家はどうだろうか。1人にしておくのは心配で…」
そう言ったのは未亡人の娘を持つ男だった
「なるほど。ではプライバシーが確保できる部屋と複数人で共有できる部屋を持った家のようなものならどうだ?」
「それはいいですね。一人になることも出来るし誰かとつながることも出来る」
「では4~5名ずつ住める建物にして、それとは別に食堂のような建物を一つ作ってもいいかもしれませんな」
「バイキング形式にすればある程度好きなものを選べる」
「食べる場所はその場でも自分の部屋でも可能にすれば気持ち的にも楽かもしれませんな」
「それならトレイを渡す時に支払いをして、食べ終えたトレイの返却口も必要だ」
「先のメイド達もいるなら食器洗いや公共の場の掃除を仕事として提供してもいいかもしれませんな」
部屋に閉じこもっているだけよりも、何かしていた方が気分転換にもなるかもしれない
誰かの意見を引き金にどんどん意見が広がっていく
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