106.料理教室

106-1

料理教室の話はかなり好意的に受け入れられた

カプシーヌ達は勿論、マーシェリーとエメルを中心に常連客からの反応も上々だ

「問題は店がそれほど広くないってことよね」

どう考えても大勢は入れない

元々席数もテーブルを繋げたとしても12しかないから当然だけどね

むしろテラスコーナーの方が広々としてるくらいだ


「テラスでしたら?」

マーシェリーが言う

「テラスコーナーなら確かにテーブルもそれなりのサイズだし中よりはいいかな」

「それでも申し込み殺到するだろうし足りないかも」

「怖いこと言わないでよエメル」

「事実だと思うけど?」

「テーブルの数考えたら定員は多くても8だよ」

最初の頃は丸テーブルを使っていたテラスコーナーも、今は長方形の大きめのテーブルに変えて4人掛けセットを4つ置いてある

かといって1テーブル4人だと作業するスペースが殆ど確保できないと考えると、1テーブルに2人が限界だろうなと思う


「じゃぁ早い者勝ち?」

「それは発表するタイミングによって不公平すぎるわ」

「確かに…」

エメルの言葉に他のお客さんも頷いてい

これは彼女たちも候補者ということだろうか?


「申込期限決めて抽選にすればいいんじゃないか?」

「それいい!ロキたまにしかしゃべらないのにいいこと言うわね?」

「…」

ロキはマーシェリーをジト目で見た


「あはは、ごめんって。でも抽選はいいと思うな。申し込む期間は1週間くらい取って欲しいけど」

「それでもたくさん集まりそうよね~」

「1日2開催にしてくれれば倍の人数当選できるのに」

「午前と午後?」

それなら有だろうか


「それなら大丈夫かな。多分」

「やった。当選確率倍になるわ」

カフェ内が湧いた

そこまでなの?


今は8の月の1週目だから…

「じゃぁ来週申込期間にして3週目の水の日に開催でどう?」

「賛成。毎月固定でやって欲しいわ」

「言えてる。毎月2週目を申込期間で3週目に開催。それなら他の予定も立てやすいもの」


継続開催が決定してる?

1人驚いているとロキが下を向いたまま肩を震わせていた

あれは絶対笑ってるわ


「…まぁいいけど。ところでメニューの希望ってあるのかしら?」

「私はスープ系がいいかな」

「スイーツもいいわよね?」

「フルーツの飾り切り?も楽しそうだけど…」

「サイドメニューのものを作れるようになったら楽しそうなんだけど…」

様々な意見が飛び交った


結構な時間お客さん同士で盛り上がった後まとまったのは最初の内はサイドメニュー、次がメインとなるスープ系、そしてスイーツという順番らしい

慣れなども考えれば丁度いいのかもしれない


「サイドメニューか…何がいいかなぁ…」

サイドメニューの入ったケースを見る

サンドイッチやおにぎり、唐揚げやオニオンリング、ポテトの揚げ物系、気まぐれで作った串焼きも入っている


「私サンドイッチがいいと思うの。食事にもおやつにも使えるし、主人のお弁当にも出来そうだし…」

「でもサンドイッチなんて具を挟んでるだけよ?」

「その具のバリエーションとかサンドイッチ自体のバリエーションを紹介すりゃ受けはいいんじゃないか?」

「バリエーション?」

「あの固めのパンに挟んだのもサンドイッチの一種だろ?」

ごくたまにしか出していないけど、それを敢えて言ってくるってことは相当気に入ってるのかな?

そう思いながらロキを見るとニヤリと笑われた


「それは素敵」

「同じ作り方で色々出来るのは有り難いものね」

「サンドイッチなら家で子供と一緒に作れそうだわ」

「じゃぁ1回目はサンドイッチでいい?」

改めて尋ねると思い思いの同意が返ってきた

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