104-2

「どうかした?」

「いや…相変わらずそういう発想は凄いと思っただけだ。影の領主と言われるだけの事はあるな」

”影の領主”って前もどこかで言われたような気が…?


「…それ、どこから言われてるのか謎なんだけど?」

「タマリもモーヴもお前に相談に来てる時点で否定はできないだろ」

「…」

確かに良く相談されるけど、別に好きで相談を引き受けてるわけじゃないんだけど?


「元々俺達の中では亡命者は保護する者という固定概念があるからな」

「まぁ…通常ならそれでいいんだと思うよ?」

「ああ。でもそのせいで大量に亡命者を受け入れることになった3国は身動きが取れていない」

「1国の民が単純に1/3ずつ亡命してるってことだもんね…」

大量どころではないだろう

3国で1国の平民を養おうとしてるのだから簡単なことじゃない

その為の予算が組まれていても、それはあくまで有事の際のこと

せいぜい町1つ分程度の想定でしかない

どう考えてもそれで賄える人数ではないだろう


「国としてはどう保護していくかを考えてるみたいだが…お前は自立させる方法を考えるんだな」

「え?」

「お前のスキル『統率』の意味が何となく分かった気がする。『覇王』は未だにわかんねぇけど…」

「何言って…フジェをここまで支えてきたのはタマリ達だよ?それに色んな案だって私だけが出したわけじゃないし」

「それでもお前がいなかったら俺達は動いてなかった。多分これからもな」

ロキの言葉に戸惑いしか生まれない


私のスキルの事はよくロキと討議してきたけどその意味は未だに解明できていない

元々持っていた『統率』はともかくとして、召喚されて追加された『覇王』と『ミルトゥの鍵』という称号

モーヴを通じて3国の文献にも目を通させてもらっているけどそのスキルも称号もどこにも記載されていないのだ

ミルトゥは元の世界の名前だけに元の世界でなら何かが分かったのかもしれない

でも、当時はラ・ミルトゥの名も、称号も一切表示されていなかった

この世界と元の世界に何らかのつながりがあるのか、それさえも今はまだわからない

結局いつもそこでお手上げになってしまうのだ

いつか判明する日が来るのかさえ分からない


「まぁそのうち分かるだろう」

ロキはそう言いながら合図を出した

その途端シャドウが一人姿を現した


「今の会話は聞いてたな?」

「はい」

「モーヴに伝えてくれ。集めた情報は共有して欲しい」

「承知しました」

シャドウは答えるなり消えた

ロキも私もシャドウに聞かせたくない時は防音の魔道具を使う

逆に言えばそれを使ってない時は聞いててもらった方が楽とさえ思ってる

私達だけの時はそのままシャドウに話を振って会話することもあるくらいだしね

お陰で情報の伝達がスムーズでいい

それが正しいシャドウとの関わり方かと言われれば何とも言えないけど…

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