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「180世帯600人として…1世帯一律10万シア、そこに1人当たり10万シアを乗せたとしても7800万シア、1億シア以上が残る」
「4人家族で50万シア、半年分弱の臨時収入ってことね。勿論それより少なくても多くてもいいだろうし金額を決めるのはタマリ次第だけど」
「受け取った金をどう使うかは自由だ。さっき言ったみたいなリフレッシュに使うもよし、この先も冒険者もどきで暮らさなきゃならないなら、近隣の町で少しでもマシな装備を整えることも出来る」
「中には無駄に使う人もいるかもしれないけどね」
それは一定数必ず現れるだろうけど自己責任としか言いようがない
「残りは…」
「町の資産とするなら、公共の場の整備だな。人が増えた分、広場を拡張してベンチを増やすとか、王都と行き来する馬車の乗り降りや待合の場所、これから迷宮目当ての冒険者が増えるだろうから宿を増やすのも手か」
「それは確かに手を回す必要があるな」
タマリは大きく頷いている
「学習用の家みたいなのも作ってもいいかも。今は計算や読み書きの勉強も戦い方の講習も、教会の隅とかその時に空いてる場所でやってるんでしょう?」
「ああ、たまに俺の屋敷を使うこともある。そういう意味では場所を固定することで参加しやすくなるか」
「ギルドの隣に3部屋ほどの平屋を建てればいい」
「3部屋?」
「一部屋は戦い方の基礎を教える部屋。あとは計算、読み書きかな?」
「そういうこと」
「そっちに予算が回せるならもう一人雇って、それぞれの部屋で計算か読み書きを教えるために常にいてもらえばいいかもね」
「みんなそれぞれに事情があるだろうし、いつでも聞きに行けるなら大人も参加するんじゃないか?それぞれの部屋に学習に使える本を置いておくのもいいかもな」
「それいいね。戦い方の基礎なら魔物や薬草図鑑も役立つよね」
「相変わらず次から次へと…」
タマリがため息交じりに呟いた
「別に一気に使い切らなきゃいけないわけじゃないだろ。町をよくするために必要なタイミングで使えばいいと思うぞ」
「そうなのか…?ソンシティヴュに属してた時は使い切らなかった分は取り上げられてたらしいからてっきり…」
「取り上げられてた?」
「ああ。だから過去の領主は持ち越しを残さなかったし、非常時用にためておくことも出来なかったらしいんだ」
その事は領主が受け継ぐ書類で分かったことなのだという
「そんな規則は無かったはずだけどな…まぁ今更どうこう言ったところで機能してない国の事だが、普通は各領地でプールできるぞ」
「それならいいんだが…」
「ギルドで領主用の口座開いてそこにおいとけばいい。屋敷に置いとくより安全だ」
「わかった。明日の朝すぐに入れておくよ。復興支援金はすぐに手配しようと思う。屋敷の者に手伝ってもらえば今週中には配れるだろう」
どうやら1軒ずつ回って配布するらしい
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