75-2

「継承権は放棄してるけどな。フジェのことに関してはそれなりの権限は貰ってる」

それはモーヴから言い出したことだった

召喚された私への待遇も含めて柔軟に動けるようにと言うことらしい


「カトリックと精鋭に関しては騎士団に話を通してある。いつからでも任務についてくれと言ってたよ」

「それは助かる」

「精鋭は全員家族がいないと聞いてるから騎士団の宿舎に住めるように手配した。もし一緒に連れてくる者がいたら相談に乗る。問題はお前らなんだけどな」

「宿くらいあるんだろ?」

「宿はまだ空きがないと思う。職人が優先されてるから」

「まじか…」

フロックスがため息をつく


「安心しろ。家には空き部屋が大量にある」

「ひょっとして…」

「1部屋1か月6万シア。飯付きなら8万シア」

「ロキ?」

宿がわりにしようとすることに驚いた


「飯付きで頼む」

フロックスは即答だった


「私もお願いしてもいいですか?食事付きで」

「俺も」

2人もすぐに決断した


「ちなみにここの飯は住人がそろって取るから」

「ああ。問題ない」

王宮にいたなら慣れたものだろう

特に嫌な顔もされなかった


「戻った。オリビエ何か食うもんくれ」

そう言って入ってきたのはマロニエだった


「お帰りマロニエ。3人来てるよ」

「え?マジ?」

突然しゃきっとしてテーブルを見るマロニエに皆が苦笑する


「久しぶりだな」

「元気そうで何より。いつ着いたんです?」

「さっきだよ。昼飯ご馳走になって色々話してた」


「マロニエ何食べる?」

「おにぎりと唐揚げ」

「了解」

ケースから出してマロニエに渡すとカウンターに座って食べ始めた


「そういやカトリックは騎士団だよな?フロックスは仕事どうすんの?」

「お前はどうしてるんだ?」

「俺?俺はダビアとここの子守しながら冒険者」

「子守?」

フロックスが唖然とする


「ここ、成人前のチビが4人いる。そいつらにオリビエがとんでもない玩具与えてんだよ」

「とんでもない玩具?」

ロリエがキョトンとした顔で訪ねた


「迷宮品の1個50万シアのボールを1人1個与えてる」

「「「…」」」

3人の目が突き刺さる


「知らなかったのよ?ただのボールだと思ってたらとんでもない代物で、ちょうど2人が来た時だったから交渉してみたの。子守と…庭師やこのカフェの手伝いする代わりに食事付きでここに住んでいいって」

「…ダビアが子守」

フロックスはつぶやいてから噴き出した


「でも流石にそれでただで住ませてもらうのも申し訳ないからさ、こうして食料を提供してる」

マロニエがそう言いながらマジックバッグから取り出したのは木の葉に包まれた大きな白身の魚だ

どうやら迷宮に行っていたらしい


「あら、今日は魚の煮つけに決まりね」

「それは楽しみだ。シュロも後で持ってくる」

大きな白身魚は煮付けるととても美味しいのだ

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