75-3

「そう言えばシュロと一緒に行ってたんだっけ?」

「ああ。帰りに本屋に寄るって言うから先に帰ってきた」

「そうなのね。じゃぁ本棚の本も増えそうね。楽しみだわ」

シュロはソンシティヴュの本に興味がある様でよく買ってくるのだ

そして読み終えると当然のようにみんなの本棚に並べていく


「…クロキュス」

「ん?」

「お前何か…すごい嫁さん貰ったな?」

「ああ、日々規格外さに驚かされてる。おかげで退屈はしないな」

「…決めた。俺も冒険者するわ。人一倍食う分は食材で払えばいいんだろう?」

フロックスは心得たとばかりにそう言ってきた


「ここには迷宮狂いが3人いますからよかったらご一緒にどうぞ」

「3人?」

「ダビアとマロニエ、あと俺のいとこ」

「お前のいとこって…」

「王族。でも俺と一緒で継承権は放棄して今は冒険者だ。ちなみにSランク」

「マジか。それは楽しみだな」

どうやら迷宮狂いが1人増えたようだ


「お前はゆっくり考えればいい。金が足りなければ俺が出してやる」

少し困惑したロリエにカトリックが声をかける


「ありがと兄さん。甘えさせてもらうね。当分は大丈夫だと思うけど」

「その事なんだけど、もうすぐ騎士団の宿舎が完成する。希望するならそこの手伝いに推薦するぞ」

「いいんですか?」

「ああ。ちなみに住み込みだ。料理人や手伝いに関しては両国から取りたいと言ってたから丁度いいだろ」

騎士に身内がいるなら安心して働けるだろう


「それ、俺も入れますか?」

「騎士だから当然だろ。元々頭数に入ってる」

ロキが当然のように言ったのを見て宿がわりに提供した理由が始めたわかった

家族がいないと聞いている精鋭が誰かを連れてきたとしても、同じようにそっちに推薦するつもりなのだろう

突然3人もなんてロキにしたらありえないことだと思ったけど2人が一時的だとわかっていたからの提案だったのだろう


「オリビエおやつー」

リラが飛び込んできたのを見て時計を確認すると3時を回ったところだった


「お、無事到着したか」

コルザを肩車したダビアが入ってくるなりそう言った


「…本当にダビアが子守してる」

「うっせ。意外と楽しいんだぞ?騎士を相手にするより疲れるけどな」

「そうそう。予想外の行動ばっかだからなー。おかげで体力づくりにはなる」

マロニエも苦笑しながら言う


「みんな、今日から一緒に住む人達よ。フロックスにカトリックとロリエ」

「僕コルザ」

「ロベリだよ!」

「リラ!」

3人は我先にと名乗りながらも目線はショーケースに向いている


「ふふ…よろしくね」

ロリエが言うとリラはロリエの膝によじ登ろうとする


「抱き上げても大丈夫?」

「大丈夫よ」

応えると嬉しそうに膝にのせていた

コルザとロベリはデザートを選ぶと外に持って行く

サンドイッチを食べ終えたマロニエがその後を追う


「リラはプリンでいいの?」

「うん。プリン!」

それ以外にあり得ないとでも言うように肯定した

目の前に置いてやると嬉しそうに夢中で食べていた

もちろんロリエの膝の上で


その後もジョン達が入れ替わり立ち代わり食べに来たり、お客さんが来たりととても賑やかな時間になった

それから数日の間に精鋭達も到着して騎士団に迎えられていた

先に来ていた特攻の4人と再会したこともあり、上手くなじむことが出来たようだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る