72-2
「カトリック、ちょっといいか」
「フロックス?珍しいなこんなところに」
カトリックは驚きながらも団長室に迎え入れた
「精鋭をここに集めてくれ。称号持ちは除いて」
「今称号があるのは俺だけだよ。尤も俺も妹も妾の子供だし家から勘当されてるがな」
カトリックは苦笑しながら精鋭を呼んだ
入ってきたのは10人、比較的若いものが揃っている
「今から話すことは一部の人間しか知らないことだ。特に称号持ちには漏らさないと誓ってくれ」
フロックスがそう言うと精鋭たちは姿勢を正し頷いた
「みんな知ってる通り今この国は非常に危うい。町では既に3国から職人の引き抜きが始まっている」
「知ってます。俺も出て行こうと思ったんですけど…」
一人が言葉を濁す
「通常なら退職願を書けば出ていける。でも上層部が緊急事態と判断した今それは叶わないだろう。特に精鋭ならなおさらだ」
「…」
「特攻が既に抜けてしまっている今、少しでも手駒を置いておきたいということですよね?」
「その通りだ」
フロックスが断言すると皆の顔が険しくなる
「だが、君達精鋭をクロキュスがフジェに招きたいと言っている。カトリックと君の妹に関しては称号持ちだがクロキュスが手を回してくれるそうだ。勿論俺もな」
「クロキュスが?」
「カトリックはダビアから少しは聞いているんだろう?」
「あ、ああ。どうにもならなくなったら精鋭なら受け入れてもらえると…」
でもまさかクロキュスの名前まで出て来るとは思わなかったのだろう
「ありがたいけど…そんなことが可能なんでしょうか?」
「その辺はクロキュスと俺がいるからな」
ニヤリと笑い薬を渡していく
「これは?」
「感染病を作る元だ」
「感染症を作る?」
「この薬を飲めば新種の感染症の症状を引き出すことが出来る。と言っても5時間ほどで効果は無くなるがな」
「…わかるように説明して欲しいんだが?」
カトリックが困惑した顔をフロックスに向ける
「体のどこかに白い斑点が現れるという感染症を作り出す。その最初の感染者として魔物狩りから帰って来たばかりの君たちは適任だろう?」
「…そんなことが?」
「医局長のジルコット殿も抱き込み済みだ」
フロックスはそう言いながら人数分の等身大の人形を出現させた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます