63-2
「業者さん来たよ」
コルザが呼びに来てくれたのはそんな時だった
「ありがとうコルザ。じゃぁみんなで行きましょう」
オリゴンとブラシュも一旦小屋の事は後にして一緒にカフェの方に向かう
「カフェの外に作るのか?」
「ええ。混んでる時の暇つぶしにもなると思って」
入り口の横に奥行きは浅く横長で作る予定だと伝える
ただ待ってるだけだと苦痛だからね
「すみませんお待たせして」
業者の男性に頭を下げると大丈夫だと笑顔で返された
その手元には既に色々書き込まれた大きな紙がある
「みんなもう伝えてるのね?」
「まだまだあるがな」
ジョンが得意げに言う
「今のうちにしっかり伝えておかなきゃね。彼らは薬師で、薬草や薬を置く予定なの」
「なるほど。本当に色んなものが並ぶことになるんですねぇ」
感心しながら彼は言う
ブラシュは身振り手振りで籠の大きさを説明しながら、どんな風に並べたいのかを説明していく
それに続いてオリゴンも乾燥させた薬草の並べ方を相談する
1時間ほどかけて皆が要望を伝えると彼はそれを図に落とし込んでいった
その際にもそれぞれに確認しながらメモを書き入れていく
形になっていく図を思わず見入ってしまうのは私だけではなかったようで、皆が自分からは口を挟まずにじっと形になっていく図を見ていた
「こんな感じでしょうか」
彼がそう言った途端ちょっとした歓声が上がったのは仕方がないことだと思う
それくらい素敵な図だったのだ
「皆これでいい?」
尋ねるとただ首を縦に振る
「だそうです」
「承知しました。ではこれを持ち帰りすぐに取り掛かります。お店が終わるころに魔術師が外壁を作りに来ますので」
「魔術師とは贅沢だな?」
「カモミ様が改装するなら手伝ってこいと。元の業者には話を通して相応の代金をお支払いすることでご納得いただきました」
彼の言葉に絶句する
シャドウが報告したのだろうけどまさかの人物が関わっていたらしい
相応の代金というのが少し気になるけど、カモミが言い出したことなら元の業者に損は出ていないだろうと、それ以上考えるのを諦めた
「…こりゃ今日中に出来上がるパターンだな」
ロキが諦めたように言う
「ありがたいことではあるけどね」
「ご納得いただけたようで何よりです。では、私は一旦失礼しますね」
彼はにっこり微笑んでから帰って行った
「カモミ様って?」
ウーが興味津々という感じで尋ねて来る
「カモミは…ロキのおばあ様よ」
「…それって…」
ジョンは分かったものの口に出来ない
「前皇后さまね」
代わりに言うと皆が固まった
「気にしたら負けのような気がするのは私だけかしら?」
カメリアがボソっと呟くように言った
「…俺もそう思う」
「そうだな」
「オリビエとロキの側にいる以上、仕方ないと諦めるしかなさそうだ」
皆から口々に零される言葉にロキと顔を見合わせる
そこまで酷いだろうか?
「ま、その辺はもう諦めてくれ。今さら生まれを変えることは出来ないからな」
ロキが苦笑しながら言うと皆も諦めたように笑った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます