62-3
「何でそうなる?」
「そうだよ。オリビエのアイデアで俺らが儲けるとかあり得ないし」
「別にいいと思うんだけど…」
「「よくない」」
声をそろえて言われるとどうしようもない
「…どうしようかロキ」
「そうだなぁ…ならレシピを売るか、もしくは売値からマージンを貰うかくらいか」
「レシピってもう聞いちゃったし。何なら一緒に作ってるし…」
「だよね」
ブラシュの即答に苦笑する
「いくらで売ることになるかは分からんがその5割をオリビエに渡す。勿論こっちの畑で作った分だけだがな。預かってる畑の分は容器を分けて管理する。そっちは全額オリビエのものだ」
「5割は多すぎだって」
「多くない」
「多い。2割」
「少なすぎだ。話にならん」
「…じゃぁ3割。それ以上は受け取らない」
言い切るとオリゴンは諦めたように大きく息を吐きだした
「分かった。それで手を打とう」
「…マージン上げろってごねる奴はよく見るけど、下げろってごねんのお前くらいだろうな」
ロキが呆れたように言う
「いいでしょ。別にお金には困ってないし、そんなの貰わなくてもオリゴン達が張り切ってくれればそれだけで売上上がるんだから」
「まぁそれは間違いないな。それよりそろそろ15分経つぞ」
「あ、ほんとだ。ブラシュ」
「うん。次は?」
「ざるを使ってオイルと分離」
「了解」
目の細かめのざるを渡すと別の入れ物の上で容器をひっくり返す
「できたよ」
「じゃぁもう一度熱湯を用意して、このオイルの中にミツロウを入れて湯煎する。ミツロウの量はオイルの15~20%くらいかな。好みの固さになる様にミツロウの量を調節すればOKよ」
「なるほど。軟膏の固さが色々あるのはそのせいなんだ?」
「そういうこと。湯煎してミツロウが解けたら容器に入れて固まるのを待つだけよ。今回はこれを使ってみましょう」
「これは?」
「迷宮の香辛料や顆粒出汁が入ってた容器よ。大きな容器に移しちゃうから大量に余るのよね。おかげで容器代はタダよ」
「平べったいのが軟膏かな?」
「そうね。使いやすさから考えたらその方がいいかな」
2人でせっせと容器に入れていく
「あとは中身が分かる様に蓋にラインを引くとかして区別するくらいかしらね」
「オリビエ、この薬もスイーツみたいにタグ管理していい?」
「別にいいけどそんなに種類は無いでしょう?」
「そうなんだけど、きれいに並べたりすると不公平な気がするんだよね」
「不公平?」
「うん。オリビエの事だから俺達のも一緒に並べるだろ?」
ブラシュの言葉に何となく言いたいことは理解した
「お客様向けにはラインの色で種類を区別して、俺と親父とオリビエの分の区別はタグでって思って。並べるんじゃなくて籠に入れておけばお客さんが好きに選べるし」
「私は別に構わないわよ。でもどうしてそんな風に思ったのかは興味があるわ」
成人したての子がここまで考えてしまう理由の方に興味がわいた
でもその答えはブラシュじゃなくオリゴンがもたらしてくれた
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