61-2

「うわ、ダビアさん!」

「うわって何だよ?」

「…何かヤバイ。クロキュスさんとダビアさんが揃ってるとかレアすぎる…」

ハンスがおどおどしながらつぶやいた


「すんません。こいつクロキュスさんとダビアさんに憧れて騎士団に入ったんで」

「憧れで入ってその歳で特攻騎士なったなら大したもんだ」

ロキがそう言った時ジョンとウーが入ってきた


「随分多いな?」

「マロニエが呼んだ騎士さんよ。マシモとトマスのお父さんのコニー、ルチアとミーアのお兄さんでハンス、ラピスのお父さんのセルト、それにホーズ」

サラッと紹介すると彼らは順に頭を軽く下げていた


「おー着いたのか?これから頼むぞ。俺は庭師のジョンだ。こっちは息子のウー。削り節を作ってるナハマもいるが今は手が離せないらしい」

ジョンは笑いながら言う


「ここの庭は自由に走り回れるように作ってるからいつでもチビどもを寄越せばいい」

「助かります」

「賑やかな庭はいい。それにここならダビアかマロニエがついてる。2人がいない時はロキがいるし安心して遊ばせれる」

「元騎士団長が子守…」

「結婚のけの字もなかった人が子守…」

「特定の恋人がいるって話も聞いたことが無いのに…」

「いや、恋人はいなくても遊び相手は多かったはずだろ?」

「…お前らそれなりに覚悟して吐いてんだよな?そのセリフ」

ダビアが2人の首を背後から掴んだ


「いや、あの…そんなつもりは…」

「そのくらいにしとけダビア。チビが怖がってるぞ」

ロキの言葉にコルザたち3人を見ると固まっていた

そういえばダビアがこの子たちの前で冗談とは言え声を荒げるのを見たことがない

こう見えて意外と気の使える人なのだ


「…オリビエ、こういう時はどうしたらいいんだ?」

困惑気味のダビアに苦笑する

その姿からは元騎士団長だなんてとても想像できないもの


「そうねぇ…3人にスイーツでもご馳走してあげたら?緑のタグなら大喜びでしょう」

「「「緑!」」」

3人が笑顔になった


「緑とは…?」

「カフェのスイーツやサイドメニューのタグの色です。青が400シア、黄色が500シア、緑が600シアになってます」

「緑はね、ママが特別な時だけにしなさいって。だからいつもは青なんだよ」

リルが言う


「なるほど。わかりやすくていいですね」

「皆さんも是非いらしてくださいね」

「家族で寄らせてもらいます」

「うちはテイクアウトかな。乳飲み子と一緒に外食は厳しいので」

「確かに」

みんなが口々に言いあっている姿は楽しそうだ


「お前らの仕事は明日からか?」

「いえ、明後日からですね」

「なら丁度いい。迷宮行くから付き合え」

「迷宮!」

「行ったことない迷宮とか最高っす」

ダビアが誘うと4人は目を輝かせている


「マロニエ、今日と明日頼むな」

「了解」

「…騎士って迷宮好きなの?」

「単にあいつらのストレスが溜まってるだけだろ。昨日まであの王宮にいたからな」

「なるほど…」

現状を考えれば騎士団への当りは強そうだ

軽く打ち合わせをして5人は出かけて行った

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