60-3

「ママ!」

そう呼びながら駈け込んで来たのは2人の少女


「ミーア、ルチアも楽しかった?」

「「うん!」」

2人とも満足そうに頷いた

飛びついてきた2人の後から皆も走ってきたらしい


「みんなありがとう。これからもこの子たちをよろしくね?」

「こちらこそ。僕たちも楽しかったからいつでも来て?」

コルザが得意げに言う

今までは主に兄弟で遊んでたけどこれからは違う

人数が増えればこれまでとは違った遊びもできるだろう

子供達はやっぱり元気で遊んでる姿が一番いいなと思う


「俺はラピスを送り届けるよ」

マロニエがそう言いながらラピスに”帰ろうか”と声をかけていた


「あぁ、ついでにギルド案内してやってくれ」

「住民登録か?丁度通り道だから構わないけど…台車は?」

「台車なら持って来たぞ」

ジョンが背後からそう言った


「流石ジョン。ありがとう」

「4回目になりゃなれたもんだろ?」

ジョンは得意げに言いながらミュゲに台車を渡す


「ミュゲ、陶器の器が造れるなら花瓶なんかも作れるのか?」

「今まで皿しか作ったことないな…でも大きさや形によるけど大丈夫だと思うぞ?」

「よし、じゃぁおいおい頼む。勿論金は払う」

「なら俺は鉢植えがいいな。部屋で薬草を育てたいんだ」

ブラシュも便乗した


「部屋でか…なら水の受け皿も必要になるのか?そうなると…」

ブツブツ言い始めたミュゲに皆が苦笑する

完成するのはそう遠くない未来になりそうだわ


「面白そうではあるが、俺は花瓶も鉢植えも作ったことはないんだが…」

「いいじゃないあなた。お仕事の幅が広がるのはいい事よ」

ラミアが一通り考えてから少ししり込みするミュゲの背を押した


「確かにそうかもしれないな…とりあえずやってみるよ」

「やりぃ」

ブラシュは嬉しそうに言いオリゴンを見る

オリゴンも満足げに頷いていた




「まさか仕事の斡旋までするとはな」

部屋に戻るとロキが呆れたように言った


「たまたまだよ?そんなつもりなかったし」

「分かってるけどな」

ソファに座るなりロキに抱き寄せられる

もう慣れた行為だとそのまま体を預けてしまう


「ほんとに、お前といると退屈しないな」

「そうかなぁ?」

「そうだよ。そのうち空き部屋も埋まるんじゃねぇ?」

「流石にそれは無いと思うんだけど…3階に28部屋あってまだ5部屋だよ?子供たちが大きくなった時に1人部屋がいいとか言っても9部屋だし…」

「そうなんだけどな?」

ロキは話しながら服の中に手を入れてきた


「どうしたの?」

ベッド以外で手を出されるのは珍しい

「イヤか?」

少し心配そうに聞くロキに苦笑する


「イヤなわけじゃないけどちょっと恥ずかしい」

そう答えるとそのまま押し倒された


「ロキ?」

「…」

無言のまま敏感な場所ばかり責めてくる

たまにこうして縋るように求められることがある

前に、”何の前触れもなく突然暗闇に引き込まれるような感覚に陥る”と聞いたことがある

大切な人たちを失ってきたロキの孤独が関係しているのだろうかとそのままのロキを受け入れる

こういう時は例外なく抱きつぶされるのだけど…

そのままロキに翻弄されたまま夜が更けていった

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