60-2
「オリビエ」
「何?コルザ」
話に割って入ってきたコルザは遠慮気味に私の手を引っ張っていた
「まだ遊んでてもいい?」
「ええ。いいわよ。マロニエお願い」
「了解。でもちょっと人数増えたからダビアも来てくれよ」
「確かに一人じゃ大変な数だな」
ダビアは笑いながらマロニエと共に子供たちの後を追って行った
「カメリア、お店ちょっと間お願いしてもいい?ミュゲと一緒に窯を見て来るわ」
「いいわよ。行ってらっしゃい」
笑顔で送り出されて私とロキ、ミュゲとジョンで窯に向かう
「こんな方入ったことないな」
ロキが驚きながら言う
「わしらでもめったに行かん場所だからな。ほれ、その小屋の横だ」
「小屋の裏にまだ小屋があったのね?」
今まで全く気付かなかった
「立派な窯だ…見たところヒビもないし多分問題ないだろう」
ミュゲは念入りに確認しながらそう答えた
「良かったわ。こっちの小屋は?カギは…かかってないわね」
押してみたらドアが開いた
「おお…ろくろまであるのか…」
ミュゲが感動したようにろくろに近づいていく
そして慣れた手つきで魔石を起動させた
「こっちも問題なさそうだ。これは…誰かが陶芸してたってことなんだろうけど…薪も積んであったし土も数種類そのまま残ってるからいつからでも始められる」
「まぁ今はだれも使ってないからミュゲが使ってくれていいわよ。勿論この小屋も含めてね」
「ありがたい…本当に感謝する」
「気にしないで。その代わり、食器はお願いしますね」
「ああ。任せてくれ」
ミュゲが力強く頷いた
窯の確認も出来たためカフェに戻る
「あ、窯はどうだった?」
カメリアと話していたラミアが尋ねる
「大丈夫そうだ。実際火を入れてみないと何とも言えないが…」
「まぁ、何かあっても修理で事足りるなら大丈夫だろ」
ロキが言う
「この先の仕事の目処も立った
「じゃぁマロニエたち呼んでくるよ」
「ロキ、私が行ってくるわ」
カメリアが出て行こうとしたロキを引き留め庭の方に走って行った
「今からだったら住民登録の時間にも間に合うでしょうから先にそちらへ」
「ん?ああ」
「そこに寄せ集められた物資が置いてあるので必要なものがあればお持ちください」
「え…と?」
「住人の急増で店の商品が足りてないから、町のみんなが家に眠ってるものを持ち寄ってるんです」
「そこにあるのはただで持ち帰れるから当面のつなぎにはなると思う」
「それは助かるな」
「そうね。荷物を減らすために全部向こうで売り払ってしまったから…しばらく不便なのは覚悟してたんだけどね」
「先に来てた3家も同じことおっしゃってましたよ。台車お貸ししますから使ってください。次に窯に来るときにでも持ってきてもらえればそれでいいですから」
「あぁ、ありがたいな」
「ありがとうオリビエ。感謝するわ」
「困った時はお互い様ですから。またいつでもここに来てください。水の日は定休日ですけど屋敷の方には誰かがいると思うので」
「分かったわ」
ラミアが微笑んでそう言った
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