59-2

「オリビエ、お客さん到着したよ。騎士さんの家族だって」

そう言いながら入ってきたのはコルザとロベリだ


「あら、丁度いいタイミングかもしれないわねお店にお通ししてくれる?」

「分かった」

「あ、あとみんなも呼んでね」

「はーい」

2人は答えて走って行った


「ほかの騎士さんのご家族も丁度来られたみたいです」

「それはいい。新参者同士親交を深めたいものだ」

「本当ですねぇ」

2人はそう言って微笑み合っている

とても穏やかな空気を醸し出していた



少しすると中年の夫婦と女の子がコルザと一緒に入ってきた

「この人たちだよ」

「すみません、お言葉に甘えて来てしまいました」

「歓迎しますよ。ちょうど別の騎士さんのご両親もおられるのでどうぞご一緒に」

「まぁそうなんですか?」

夫人が店内をのぞき込む


「セルトの母でリアナと申します。こちらは主人のエイブ、この子は孫のラピスです」

「ホーズの父親でベランド、こっちは妻のメリルです。今朝到着して俺らもどうしていいかわからず取り合えずここに来させた貰ったところなんだ」

ベランドはそう言って苦笑する


「申し遅れました、私はここの店主のオリビエです。エイブたちは朝食は済まされました?」

「実はまだなんだ」

「お腹すいたー」

エイブの言葉にラピスが訴える


「じゃぁ3人も試食していただけます?」

「試食?」

「このサンドイッチだ。美味いぞ」

ベランドが自分の食べかけのサンドイッチを見せると…


「私欲しい!」

「あらうれしい。その代わり食べたら感想を聞かせてくれるかしら?」

「いいよ!」

ラピスは大きく頷いた


「コルザ、ジュース入れてあげてくれる?」

「うん。僕も飲んでいい?」

「勿論よ」

応えるとコルザは奥に用意しに行った

サンドイッチとコーヒーを用意しているとみんなが続々と集まってきた


「みんな呼んできたよー」

「ありがとうロベリ」

お礼を言うと嬉しそうに頷いた


「騎士の家族が到着したって?」

そう言ったのはダビアだった


「ええ。ホーズとセルトのご家族みたいよ」

「あとはハンスの家族だけか。あ、俺はダビア、元騎士団長だ」

「おお、あんたがそうか?セルトからよく聞いてたんだ6つも下のくせにやたらと強いってな」

「確かに強さだけは1級品ですよね。声を掛けさせた貰ったマロニエです」

マロニエはそう言って頭を下げる


「大まかな状況は聞いたわ。息子に声をかけていただいて本当に感謝しています」

「パパ喜んでたよ?」

ラピスも言う

その後しばらく自己紹介で盛り上がっていた


「さぁ召し上がれ」

サンドイッチをテーブルに置くとラピスは真っ先に手を伸ばす


「みんなも試食してみてね。今日から出す予定なの」

皆には小さめに切ったものを用意して回してもらう


「変わったパン?」

「そう。ちょっと固めね」

「でも美味しい!これなら野菜いっぱい食べれるよ」

ラピスはリアナに向かってそう言った


「ホントねぇ。今度試してみましょうか」

「あぁ、そういやセルトの嫁さんは病気でなくなってたんだっけ?確か嫁さん自身が孤児だったって…」

「ええ。5年前に。それ以来この子は引きこもってしまって中々友達も出来なくて…」

「ラピスは何歳なの?」

「7歳」

「僕と一緒だ」

コルザが嬉しそうに声を上げた


「食べ終わったら一緒に遊ぶ?」

ロベリがラピスに尋ねた

「…いいの?」

「もちろん。皆で遊んだほうが楽しいよ?」

「うん!」

ラピスが嬉しそうに頷いた


「良かったわねコルザ。同じ年のお友達は初めてでしょう?」

「うん!」

年の近いお友達は何人かいても同じ年というのは何か特別なものがあるようだ

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