52-3

「なるほど。それでも30分で出るのは可能か?1階の迷路はそう簡単に…」

「ですよね。それも召喚による影響だと思うんですけど…元々持ってたスキルが進化したというか…」

「進化?」

ロキから発せられた言葉にそう言えばこのことは伝え忘れていたと思い出す


「鑑定の説明が辞書並みに詳細表示されるようになった上に、空間認識まで入ったみたいで…ステータス同様見たい範囲の3Dマップが表示されます」

「…」

黙り込んだ皆を見て、それに自分の任意のメモが残せることはとりあえず置いておくことにした

「それで確認したら2階に繋がる階段が入口の真横にあったので壁を壊したってだけで…」

「そんな簡単に壊れる壁じゃないはずよ?まして属性に土が無いなら余計に」

くいついたのはカミルだ


「魔力を込めた水球に風を纏わせて放ったら簡単に壊れましたよ?」

「ちょっとまて、お前の魔法は火と風と闇、水球って何だよ?」

「そっか、それも言ってなかったっけ?」

伝えるべきことが多くてロキにも伝え忘れていたらしい

他にも伝え忘れてることが出て来そうでちょっと不安になった


「えっと…元の世界でも生活魔法の火や水・風、光というか灯り?の微力な魔法はかなりの人が使えたの。それを使って食器を洗ったり、洗濯したり、濡れたものを乾かしたりしてたんだけど…」

「それはこっちでも半分以上のものが使える。しかしあくまで生活の補助でしかないのでは?」

「確かに元の世界では私もそうでした」

「元の世界では…ってことはまさか…?」

ロキが驚きと呆れをないまぜにしたような目を向けて来る


「うん。その生活魔法が魔力調整できるようになったみたい」

私はそう言いながら手のひらの上に水球を出し少しずつ魔力を込めていく


「こんな感じでもっと魔力込めた状態で風魔法を纏わせれば…あれ?」

呆然とする面々に首を傾げる


「オリビエ、魔法の多重発動は普通出来ないから」

「え?元の世界じゃ結構やってたんだけど…風魔法に火を纏わせれば大抵の魔物は倒せたし…」

「少なくともこの目で見たことは無いな」

「魔術師団の者も研究してる者はおるようだが成功したという話は聞いたことが無い」

これも世界の差というものなかな?

魔法とひとくくりに考えて当然のように同じものだと思ってたけど、それ自体が間違いなのかもしれない

魔法そのものの発動の仕方が一緒なのかどうかも疑問に思えて来る

同じだったら多重発動が出来ないなんてことはないはずだもの


魔物の強さや得られる経験値は元の世界とさほど変わらない

そう考えると元の世界は随分レベルが上げやすかったのかもしれない

逆にこっちでSランクになっているこの人たちが元の世界に行けばどうなるのか…

そんなことを考えてしまう自分に呆れてしまった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る