48-3
「あの…その条件を教えていただけませんか?」
「やめろオリビエ」
「ロキお願い」
ロキの手を握って懇願する
「あら。中々見込みのあるお嬢さんだ事。ヴィオレット、教えて差し上げなさいな」
カモミの言葉にヴィオレットは頷いた
ロキが何かを言い返そうとしたのを握る手に力を加えて止める
「条件は3つ。知略があること、力があること、魔力があること。それを図るために王族の持つ迷宮を一人でクリアする必要があります」
「さぁオリビエ、あなたはどうしますか?クロキュスはこの国を捨てる覚悟を持っているようだけど…」
「母さん流石にそれは酷だろう?冒険者の経験があっても今はカフェの経営者だ。そんな彼女に突然あの迷宮なんて無理だって」
止めに入ったのはアネモンだ
「迷宮がクリアできるとされるのは冒険者のレベルにしてSランク、これは王族としてわが身を守れるという証明でもあるの。もっとも迷宮と言っても3階層。広さはさほどなく早い人で3時間ほどで出てくることが出来るわ」
「…その迷宮をクリアすれば私をロキの妻だと認めていただけますか?」
「オリビエやめとけ。お前には…」
「大丈夫」
私は止めようとするロキに微笑んで返す
「母さんも意地が悪い…そんなことを強要すればクロキュスに嫌われますよ?」
「たとえそうなっても王族としての務めと理解しています。それに王族になった以上身を守るすべは必要ですからね」
言い切るカモミに私は覚悟を決めた
カモミには言葉以上の意味がある様に思える
言葉に出来ないのか、あえてしないのか、そこまでは分からない
でも悪意で言っているのでないことだけは確かだ
「分かりました。挑戦させてください」
「オリビエ!」
ロキは心配そうに私を見ている
「必要なものがあれば用意しますよ?」
「大丈夫です。ロキ、私を信じて」
「オリビエ…」
「ロキにもまだ話してない秘密があるの。戻ってきたら必ず話すわ」
抱きしめてくれるロキの耳元でロキにだけ聞こえるようにそっと囁いた
驚いた顔をしたロキを置いて私はカモミの後をついて部屋を出た
「…イヤな祖母だと思ったでしょう?」
「いいえ」
キッパリ言ったからか驚いた顔が返ってきた
「それは…どうしてかしら?」
「あなたにとってはずっと見守り続けてきたお孫さんですもの。側にいる私のせいで命を落とすなんてことがあってはならない」
私の答えにカモミは自嘲気味な笑みを浮かべた
この人はとてもやさしい人なのだろう
「それに…私にもシャドウをつけられていますよね?あの3人はロキのシャドウより上位の者でしょう?」
「あなた一体…」
驚くカモミに微笑みだけを返す
「…ここよ」
大きな扉の前で立ち止まる
「3層目にいるボスを倒せば先ほどの部屋に転移します。どうしても無理だと思った時はこのリングにリタイアと唱えなさい。一度リタイアしてもまた挑みなおすことは出来ます」
「ありがとうございます。行ってきますね」
私はそう言ってリングを受け取ると扉を開いた
身を滑り込ませると扉はすぐに閉じてしまった
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