48-2

「王の側近を続けていたのは、母親の死の真相と家族を奪った事故の真相を探る為、か?」

王の言葉は私が何度も想像したことだった

「ああ。真相は見つけた。復讐も…それはあんたにも報告がいったはずだ」

ロキの言葉に王は静かに頷いた


「その話は別の機会にしておこう。どちらにしても今は材料がそろうのを待ってる段階だからな」

「…ああ」

王からもロキからもわずかに殺気が溢れ出ていた

でもそれは少しの間の事で霧散するように消えていった


「それにしてもなぜフジェの町を助けようとした?思いのほか居心地がよかったか?」

「確かに居心地はいいけどちょっと違うな。こいつが気に入った街だから助けたかった。そのために一番手っ取り早い方法を考えただけだ」

「なるほど。今回の条件がなくてもそのうちこちらに戻ってくるつもりだったということか」

まさかの言葉に私は唖然とするしかできなかった


「大切なもん守るためには手段を選ばない主義なんで」

「なるほど。その辺は母親の血をしっかり引いたらしいな」

王の声は少し弾んでいた


その時ドアがノックされ沢山の人が入ってきた

「順に紹介しようジャスマン前王とカモミ前王妃、お前にとっては祖父母に当たる」

「ようやく会えたな。そのまなざしはシティスにそっくりだ」

シティスはロキの母の名前だ

嬉しそうに笑うジャスマンの横でカモミは涙を浮かべている


「俺がモーヴ、今の王で、妻のヴィオレット、俺同様お前の叔父にあたるヴォルビリスとアネモン、叔母に当たるラミ、こいつらの配偶者や子供達も会いたがってるが…それは今日の晩餐の時でいいだろう」

「…クロキュス・トゥルネソルです。彼女は妻のオリビエ、俺のソル エ ユニークでもあります」

「初めまして!」

私は反射的に頭を下げていた


「なんて素敵な女性なの。シティスも喜んでるでしょうね…」

ラミが言う

「カフェをしていると聞いたわ。今度お邪魔してもいいかしら?」

「勿論歓迎します」

そんな会話から始まり、暫く他愛のない話が続いた

皆がロキに会いたかったというのが心からの気持ちなのだと、その表情が雄弁に語っていた


区切りがついたタイミングで、カモミが態度を改めてから訊ねた

「オリビエ、あなたはカクテュスの王族と結婚する際の条件を知っているかしら?」

「条件…」

突然の穏やかでない言葉にうまく言葉が出ない


「仮に条件があっても俺達には関係のない話だ。この国のしきたりを押し付けるなら、俺はオリビエと共にこの国とのかかわりを切る」

「そんなこと許されないわ」

カモミの顔は強張っていた

ようやく会えた孫だから当然だろう


「俺は既に継承権を放棄してる。あんたたちの協力がなくても生きていける」

「ロキ…」

そう言ってくれるのは嬉しいけどそんなことさせていいはずがない

家族を失ったロキにこれ以上、ロキを想う血族を失わせるなんて私がイヤだった

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