42-2

「ささやかですがこれまで助けていただいた皆様へのお礼です」

ロキと示し合わせて別室に案内する

そこには丸いテーブルが8つ、その上に所狭しとスイーツが並べてある

ロキと2人で1週間かけて作ったものだ


「あなた達いつの間に?」

カメリアが驚いていた

数十種類のスイーツは見ているだけでも楽しいようで、食べるのが苦手な人も目で楽しんでくれたらしい


「オリビエおめでとう!」

「ローズ!ありがとう」

「けしかけてから一瞬だったわね?」

からかうように言われて苦笑する


「あのおかげだね。本当にありがとう」

「ふふ…実を言うとあのおかげで私もマロニエと親しくなったのよ?屋台に来てくれたのは計画の協力者になってくれって言いに来たからだもの」

「そうだったの?」

もう驚きでしかない


「だから私も感謝してるの。オリビエがくすぶってなかったらマロニエとの今はなかったかもしれないから。ね?」

ローズは隣に立つマロニエに向かって言う


「はは…そうかもしれないな」

苦笑しながら言うマロニエに悪いとは思いながらも笑ってしまう


「おめでとうオリビエ!ロキも!」

「ありがとうカプシーヌ」

「…俺はついでか?」

ボソッというロキの言葉を聞かなかったことにする


「すっごい綺麗!元から美人さんだけど年下とは思えないほど大人っぽいじゃない…」

カプシーヌは何故か涙ぐむ


「ロキ」

「?」

「オリビエを悲しませたら許さないからね?」

「分かってるよ」

あまりの剣幕にロキは苦笑しながら答える


「ならよし!オリビエ、これからも色んなスイーツ作りましょうね」

「勿論」

それは私の希望でもあるのだから


親しい人も顔見知り程度の人も関係なく笑いあっている

この空間がすごく好きだと思った


「どうかしたのか?」

「この感じ、すごくいいなって」

「元々陽気なお国柄だけどこの町は王都と比べ物にならないくらい陽気で人が暖かい」

「そうなの?」

「ああ。ここが忘れられた町と言われるのが不思議なくらいだ」

そうだった

ここはスタンピードの時ですら支援がなかった町だ


「…そうだね」

でも私も今ではこの町が大好きになっていた

元の世界よりもここの方がしっくりくるくらいには…

その後も皆の笑顔に包まれながら楽しい時間が続いた




「…ん……ロキ…」

今日から一緒に住むロキの部屋だったマスタースイートに入るなり、ロキに口づけられていた

深く煽るようなキスにしがみ付くとそのまま抱き上げられベッドにおろされる


「…悪い」

「え?」

「止める自信がない。無理させると思う」

熱を孕んだ目でささやくように言う


「いいよ…どんなロキでも受け入れるから…ありのままのロキに愛されたい」

ロキの頬に触れてそう返す

自信がないと言いながらも初めての私の為に必死で時間をかけてくれたロキは、その反動もあってか私が意識を手放すまで求め続けてくれた

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