39-3
「え?」
一瞬火花のような光が飛んで蝶が地面に落ちていく
「それ魔物」
ロキが言う
どうやら魔法で倒したらしい
「お前の右手の側に生えてる植物の花粉を体に着けてまき散らす」
「受粉の要領?」
「ああ。ただしそいつの腹の部分に神経毒の効果があるから、そこからまき散らされた花粉を吸ったらしばらく体が動かなくなる。それもけっこう珍しいから高く売れる」
「こんなにきれいな蝶が魔物…」
「魔物と思わず見過ごされる方が多いらしいけどな」
「俺も気付かなかった。遠くで飛んでるのは見たことあるけど…」
ブラシュが言う
「それはたぶんお前らが纏ってる虫よけのせいだな」
「え?ひょっとして蝶だから虫よけ苦手ってこと?」
魔物なのに?
「その虫よけ魔物除けの効果も多少あるだろ?」
「あぁ。流石に丸腰で来るのは怖いからな」
「何か不思議なフロアなのね」
私は風魔法で持ち上げしばらく眺めてからロキの方に運ぶ
「別にお前が持っててもいいのに」
律儀なものだと笑うロキに一応けじめは必要だと返す
「ひょっとしてこの動いてる草が眠らせるって言ってたやつ」
「ん?ああ。下手に攻撃すると威嚇するみたいに茎にある穴から霧状の睡眠成分を吹き出すんだ。眠るだけだからさほど問題ないけど物理も魔法もあんま効かないからある意味厄介…のはずなんだけど?」
ロキが説明している間に根元を焼いてしまうと動きが止まった
「根本焼いたら死んだ?みたいだけど…」
「マジか…根本切っても死なないのに焼いたら死ぬとか…電気も氷も効かなかったのに?上から火魔法ぶちまけた奴もいたはず…」
「…ドンマイ」
思わずその背をなでる
「それダビアに教えてやって」
「え?」
「あいつその草に大量に囲まれて一回泣き見てるから」
「そうなの?」
「最終的には大量の水で押し流したらしいけど何度も眠って大変だったらしい」
ロキは笑いながらそう言った
***
大量の薬草を仕入れて迷宮から戻ってくるとみんなに2人を紹介する
「庭師のジョンとその息子のウー、ウーは野菜畑がメインかな」
「どうも」
「はじめまして」
「彼女は掃除をお願いしてるカメリア」
「こんにちは」
「この子たちは私の子供達で上からコルザ、ロベリ、リラです」
「「「よろしくー」」」
3人は嬉しそうに声をそろえる
「で、元王宮騎士団の2人でダビアとマロニエ。交代で子供たちを見てもらってるの。彼らもオリゴン達と一緒でそれを対価にここに住んでるのよ」
「どうも」
「よろしく」
2人は会釈する
「部屋は空いてる部屋を自由に使ってくれていいから」
「自由にって…」
「2階にスイート、3階に個室があるから空いてる部屋ならどこでも。使う部屋にはこれに名前書いて扉の金具に下げといてくれる?」
「僕が案内するよ」
ウーがそう言って上に向かって行った
結果、3階の個室をそれぞれ選んだようである
ジョンとオリゴンはやたらと意気投合して薬草の畑をどうするか意見を出し合い、翌日の夕方には畑の形が整っていた
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