37-2
「この町で若い冒険者が多いのは…」
「それ以外に生きる道が無かったからよ。弱い魔物でもその日の食料くらいにはなるから」
「そういえば弱い魔物、特にレッドシープの倒し方を教えて回ったのもタマリだったわよね」
「ええ。決してそれ以外の強い魔物には手を出すなってことも添えてね。強い魔物は本来の冒険者に任せて自分たちは生活の事だけ考えろって」
「賢い考え方だな」
ロキが言うとマーシェリーとエメルもロキを見た
「レッドシープは肉も取れるが、皮も魔石も売ることが出来る。しかもこの町付近でしか生息しないから弱いわりに高値が付くんだよ」
「レッドシープってウーくらいの子供でも倒せるわよね?」
「ああ。タマリはそのことを知ってたんだろう」
「そうだったのね…」
そんな事情は知らなかったわと2人は顔を見合わせる
思ってた以上に頭の切れる男だったようだ
「タマリが領主になったことに反対する人はいなかったわ」
「これまでの事を考えれば当然の事よね」
2人はそう言いながら強く頷いた
「ねぇ、せっかくダビアとマロニエがいるんだし…子供たちに指導してあげたら喜ぶんじゃないかな?」
「指導って…戦い方のか?」
「そう。私のいたところでは結構人気あったのよ。高ランク冒険者や騎士が子供たちに指導するイベントみたいなのがね」
「親から苦情は出ないのか?」
「子どもってなんにでも興味を持つでしょう?だから下手に何も知らないまま魔物に向かって行くより安心できるって言って、反対どころか定期的に教室開いてくれって要望もあったみたいよ」
様々な世界の冒険者がいる場所だった
興味を持つなという方が難しかっただけに自然な流れだったのだろう
その流れで子供騎士団が出来たときには流石に驚いたけど
「戦い方もだけど、罠の作り方なんかも人気あったかな。母親に人気があったのは魔物の解体だったけど」
「「解体!」」
マーシェリーとエメルが同時に叫ぶ
「ど…うしたの2人とも?」
「解体の仕方教えれたりする?」
「そりゃぁ…大半の騎士や冒険者は教えれるんじゃない?」
この世界がどうかが分からないだけにロキを見る
「出来るだろうな。皮なんかは解体の仕方一つで売値が変わる。インベントリやマジックバックを持ってる奴ならともかく、それがない奴は自分で解体して必要な部分だけを持ち帰る」
「なるほど」
だとすれば解体のスキルは自分の収入を左右するというわけか
「ダビア達にお願いしたら引き受けてくれると思う?」
「まぁ…大丈夫だと思うけど?」
一体誰に教えるのだろうか?
「みんな試行錯誤しながら解体してるの。だから誰かに教えてもらえるならみんな喜ぶわ」
「あぁ、タマリは元々そういう専門じゃないから知る由もないってことか?」
「そうなのよ」
マーシェリーが頷いた
「ダビアならあんたらから頼めば二つ返事で引き受けると思うぞ」
「ダビアなら?」
「あいつ重度の女好きだ」
そう言えばそうだった
「女の頼み事は見返りがなくても大抵引き受ける。倒し方から解体の仕方まで1日講習頼めば行けるだろ」
「なるほど。元々騎士団長だし教えるのも慣れてる?」
「そう言うことだ。教えながら自分の食い扶持も稼ぐだろうから報酬の問題もないだろうしな」
ロキの言葉に2人は顔を見合わせた
おそらく数日中にダビアに依頼が行くだろう
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