24-3

「2人とも勉強がしたいの?」

「ん-とね、ウーが本読んでるでしょ?それ見てたら僕も自分で読みたいなって」

「兄ちゃんが100まで数えれたら、母さんが褒めてくれるって言ったから」

とても可愛らしい理由だった


「分かったわ。今日頑張ってくれたから練習帳買っておくわね」

「「うん」」

「オリビエ本当にいいの?」

「もちろん。さっきも言ったけど、この子たちがしたのはお店のお手伝いだし、その対価としても問題ないものだと思うしね」

それほど高額なものでもなく、この子たちの人生に役立つものでもある


「じゃぁ俺達にも何かあるのか?」

ダビアがからかうように尋ねて来た


「もちろん考えてるわよ。大人の皆さまには、元の世界のお酒を提供するっていうのでどうかしら?」

大人たちは皆酒が好きなのでこれで文句はないはず

だって元の世界のお酒なんてこっちでは絶対に入手できないから


「…そんなもんどうやって?」

「何かインベントリに入ってたものは、そのままになってるみたいなのよね。大半の荷物をインベントリに入れてたから結構な量が揃ってるわよ」

ロキの言葉にそう返すと乾いた笑いが返ってきた


「ウーはまだお酒飲めないから何がいいか希望を聞くわよ?」

「本当?じゃぁまた野菜の種が欲しい」

「野菜の種は迷宮で入手したら全部ウーに渡すつもりだしね…それ以外の希望はない?」

「ん…なら小説かな?」

「小説ね?じゃぁ今度一緒に買いに行こうか。その時に好きなのを選ぶっていうのはどう?」

「最高!」

ウーは嬉しそうに笑った

多分私やロキと同じくらいウーは本が好きなんだと思う

でも娯楽品は高いからウーくらいの年では、簡単に手が出せる物じゃないんだよね


「看板娘をしてくれたリラは何がいいかな~?」

「ぷりん!」

リラはそう言ってにっこり笑う


「リラ、プリンはいつでも食べれるわよ?」

「や、ぷりん!!」

今にも泣きそうなリラに、カメリアを見ると苦笑していた

この様子じゃ他のものは出てこないだろうなぁ…


「わかった。じゃぁリラのお駄賃はプリンね」

「うん!」

「…この子いつの間にこんなにプリンが好きになったのかしら?」

カメリアまでもが首を傾げる中、本人が満足しているならいいかと結論付ける


「すみませーん」

「はい、ただいま」

客席からの声に立ち上がる


「お待たせしました」

席に行くと食事を終えたところのようだ


「600シアのスイーツセットを3つお願いします」

「ドリンクは何になさいますか?」

「ホットコーヒー2つとレモンティー1つ」

「承知しました。スイーツはショーケースの青いタグのものからお選びください」

そう伝えると3人の女性が嬉しそうにショーケースに向かう


400シア、500シア、600シアの3つの料金設定をしたスイーツは3色のタグで値段を表している

ドリンクは単品なら350シア、食事かスイーツとセットなら200シアに割引になる


彼女たちの選んだスイーツとドリンクを準備しテーブルに運ぶと、少しずつシェアしながら食べていた

機会があればケーキバイキングみたいな事をするのもいいかもしれない

開店初日、14時ごろまでドタバタだったものの、閉店間際の16時にはテイクアウトが多かった


これが数日続いてその後は落ち着いていくだろう

まずまずの滑り出しに胸をなでおろした

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