24-2
開店と同時に店内はすぐに埋まった
席が少ないためテーブル席は、間を繋いだうえで相席をお願いすることにしている
「本当においしいわ。香草焼きなんて初めてだけどクセになりそう」
カウンター席で食べていた女性がそう言ってくれる
「ありがとうございます。メニューは日替わりになってますので色々と試してみてくださいね」
「そうね。時々寄せてもらうわ」
彼女はスイーツまで堪能して帰っていった
「テイクアウト専用の列があってよかったわ。食事が終わるのを待つととんでもない時間になりそうだから」
「こいつの言うとおりだな。わしはコーヒーだけしか頼むつもりがないのに、どれだけ待つのかと冷や冷やしたわ」
老夫婦が笑いながらそう言っている
半分くらいがスイーツ狙いだったようで、コルザたちにチラシを配ってもらった後からランチ目当ての列は一気に減った
それでも店内で食べるのをテイクアウトに切り替えた人もいたようだ
ショーケースの中身は随時補充しているのにかなりのペースで減っていく
嬉しい悲鳴とはこういうことを言うのかしらね?
大量にストックしといてよかったわ
昼時が過ぎ、外の列がなくなると裏で食事を取ることにした
そのタイミングで色んな情報が出てきた
「意外とスイーツ目的も多いのね?」
「そりゃそうですよ。町にスイーツのお店なんてないんですから。あっても屋台で1軒だけ出てるだけです」
カメリアが言う
スイーツの店がないことに驚きである
しかも屋台の1軒のみとは…カフェを開いて正解だったのかもしれない
「スイーツがテイクアウトですぐに買えるならって、飯は今度にする人もいたな」
「逆もいたよ?テイクアウトするつもりだったけど、出てきた人が話してるのを聞いて食事の方に並び替える人もいたから」
「あら、コルザもしっかり見ててくれたのね?」
「へへ」
照れ臭そうに笑う姿がものすごく可愛い
「そうだ。コルザとロベリはお駄賃何がいい?」
「お駄賃?」
2人は何それと首を傾げる
「お手伝いしてくれてるお礼に好きなものを買ってあげるわ」
「オリビエそれは悪いわ…」
カメリアがすかさず止めに入る
「ダメよカメリア。これは私のお店の問題だからね。本当なら私一人でするところを手伝ってもらってるんだから、その報酬はちゃんと払わないと」
「…そういうことなら…」
私の性格が分かってきているのか、それ以上止めることはしなかった
だから好きなものを選んでいいのよと改めて言うと…
「…じゃぁ僕は文字の練習帳がいい」
「僕は数の練習帳!」
2人の言葉にカメリアと顔を見合わせた
まさかの学習道具に驚くしかない
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