閑話4-3
「ソラセナを正妃の部屋へ。教師には婚姻の儀でソラセナが失態を犯す事の無いよう改めて申し付けろ」
「承知しました」
「ソラセナ、婚姻の儀までは6日しかない。せめて婚姻の儀で恥をかかない程度の礼節は身につけろ。そなたがやらかした場合恥をかくのは王族だけでなくそなたの一族もだということを忘れるな」
「…分かりました」
とても正妃になるものに向けられる言葉とは思えなかった
でもオナグル様が望んでいたのが紹介状の通りの人物なら当然のことでもある
偽ったのはオーティ家なのだから
王族の立場を考えれば当然で、仕方ないと頭で理解しても感情はそうはいかない
憧れていたオナグル様に嫁げると思い、浮かれていた幸せな時間は儚く消えてしまったのだから
「あぁ、後…王宮のメイドや護衛にそなたの家と同じ扱いをすることは禁ずる」
「どういう…意味でしょうか?」
「オーティ家の使用人は随分入れ替わりが激しいらしい。一部の者は暴力により日常生活さえ不自由する体にされていると報告があった」
何その報告…裏切者がいるとお父様に報告しないといけないわね
だいたい我が家で働けることを光栄に思いこそすれ、逆らうからお仕置きをしただけじゃない
其れの何がいけないって言うのよ?
「そなたから彼らへの暴力や暴言は、王族に対するそれと同等の罰を与える」
「同等の罰…」
「軽くて鞭打ち、重ければ処刑。正妃となった者を下らん理由で処刑することにならなければよいがな」
オナグルはそう言ってソラセナを置いて部屋を出た
メイドや護衛に対する暴言や暴力は王族に対する者と同等?
ただの召使なのに?
じゃぁ私のこの苛立ちは誰にぶつければいいのよ!?
そう心の中で叫びながら正妃の部屋に向かった
「こちらです」
扉を開けて飛び込んできたのは広く、きれいに整えられた空間だった
それを堪能する間もなく教師たちが入ってきた
「これからソラセナ様を指導される教師の皆さまです」
「初めましてソラセナ様、一般常識を担当するシプレ・シャードンです」
「アシレ・アリストロシュ、礼儀作法・マナーを担当します」
「ルー・ソヴァージュ、健康管理を担当します」
3人がそれぞれ名乗り淑女の礼を取る
「ソラセナ様、教師の方々はオナグル様の命で来られています。同時にソラセナ様より上位の権限を与えられておりますので逆らうことは許されません」
「…わかったわ」
そう答えるしかないじゃない…
「我々3人は基礎の確認を担います。学園で優秀な成績を収められていたソラセナ様にはその程度の指導は不要でしょうが、王族に嫁ぐ際の決まりですのでご辛抱ください」
「え、ええ」
「勿論十分習得されていると判断した部分は飛ばしながら進めます。そして一般常識をクリアされれば王宮知識、礼儀作法・マナーをクリアされれば近隣主要領土独自の知識とマナー、健康管理をクリアされれば護身術へと進みます」
「そんなに?」
「心配には及びません。歴代の正妃様、側妃様も最初は驚かれますが皆ソラセナ様同様、優秀な成績を収められていましたので、一様に1月もかからず全て合格されております」
その成績が偽りなのよ…
私は項垂れるしかなかった
お父様に文句を言いたいのにそれも叶わない
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