14-2

歩きながら倒しドロップアイテムは風魔法でかき集める

「まさか風魔法をそんな使い方するとはな…」

「知り合いには魔力の無駄遣いって言われてたけど、慣れるとやめられないんだよね。これくらいなら大した魔力消費でもないからよけいかな」

「そう考えると俺も風欲しくなるな。水では流れていくだけだからなぁ…」

「もしくは水浸し?」

「そうなるな…っとそれレアだな」

「これ?」

手にしたものをまじまじと眺める


どこにでもありそうな魔石と思っていたもののよく見ると何か違う

「それ、2属性設定できる魔石だ」

「変わった物があるのね?初めて聞いたわ」

ついでに鑑定してみるとこの世界独自のものらしい


「売らずにとってた方がいいかもな。屋敷の改装の時なんかに重宝する」

「なるほど…」

「めったに出回らないからいざ探そうと思うと時間も金もかかる」

「…置いとくわ」

頷きインベントリに格納する

本当にロキといると助かるわなんて思いながら進んでいく


「ボス、俺が倒してもいいか?」

「いいよ」

ロキの動きを見れるならその方がいいかもしれない


と思ったものの一瞬で終わってしまい関係なかった

「…何かつまんない」

「は?」

「ロキの動きが見れると思ったのに1太刀で終わりとか…」

「もっと上に行きゃ多少は見れんじゃねぇの?」

ロキは笑いながら進んでいく


なんだかんだ言いながらも30階くらいまでは散歩程度ですんなり上がってしまった

「ちょっと休憩しよ。お腹すいちゃった」

ボスを倒してそのまま座り込む


「疲れたじゃなく腹減った?」

呆れたように言うロキに笑って誤魔化す

実際たいして疲れてはいない


「ロキは食べない?」

「食う」

即答したのを見て笑ってしまう

ロキとのこんなやり取りはかなり気に入っている


「今日はここまでかな?」

時計を見るともう夜の8時を回っていた


「そうだな。ここで寝て朝から再開ってとこか」

「何か久々に動くと気持ちいいかも」

「屋敷の中の動きと違って全身だからな」

「だねー。私もロキと一緒に毎朝鍛錬しようかなぁ…」

そう言った途端ロキが固まった


「ん?」

「…知ってたのか?」

「うん。気配には敏感なの。毎朝庭に出てやってるでしょ?」

そう答えると何故か唸り出す


「ロキ?」

「…まさか見られてるとは思ってなかった」

心なしかその耳が赤いような気がする

ひょっとして照れてるのだろうか…?

でも突っ込むと大変なことになりそうなのでやめておく


「そういえばウーが身体鍛えたいって言ってたよ」

「ウーが?」

「そ。何かね、ジョンに体力負けるのが悔しいみたい」

「ぶっ…」

「ちょっと吹き出さないでよ…」

「悪い」

ロキは謝りながら飛ばしたものを生活魔法で綺麗にする


「あいつまだ10才だろ?流石に庭師続けてる親父には勝てないって」

「そうなんだけどね。まぁ鍛えること自体は悪い事じゃないし」

「…ま、気が向いたら見てやるよ」

言いたいことを察してくれたようだ


そんな話をしばらくしていると、私は気づかないうちにうとうとしていたらしい

「…ぃ…おい」

「ん…?」

「寝るならちゃんと準備して寝ろ」

「ん…」

そんな成立したようなしていないような会話がなされていた記憶すらない

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