11-2

「次は食材を見に行きましょう」

これは私が一番楽しみにしていたところだ


「そっちに野菜と果物、その隣が肉と魚、向こうの通りに香辛料があるよ」

ウーがすかさず説明する


「じゃぁ野菜からね」

屋台のようなお店には所狭しと食材が並んでいた


「これは初めて見たわ…」

青い皮の塊を手に取ると結構な重さがあった


「それはカボチャの一種ですよ。この町でしか出回ってないんじゃないかな」

店主がすかさず答えてくれる


「カボチャの一種…中はどんな色?」

「そうだねぇ…その薄い黄色くらいの色かね。甘みが普通のカボチャより高いから子供が喜ぶんだ」

「そうなんですね。じゃぁこのカボチャと…」

私は定番食材は勿論これまで見た事の無い食材を次々と伝えていく


「こんなに買って大丈夫なのか?

「大丈夫です。荷物持ちも大勢いますから」

背後に控えている皆の方を見る


「はは。確かに食う量もありそうだ」

店主が笑いながらそう言って沢山おまけをつけてくれた


同じように肉や魚も見て回りついでに調理法も聞いてくるという至れり尽くせりの買い物は進む

気付いてみれば荷台はかなりの量になっていた


「あら、何かいい匂い」

「屋台だな」

「屋台?それは見ないといけないわね。でもこの荷台引いては迷惑かしら?」

「俺はここで待ってるよ」

「私もリラと一緒にここで待ってるわ」

ジョンに続きカメリアも言う


「じゃぁお言葉に甘えてみんなで色々調達してくるわね」

ロキと子供たちと一緒に屋台を回る


「さぁ、何食べたい?」

「肉!」

すかさず言ったのはコルザだ


「僕あれがいい」

ロベリはフライドポテトを指さした


「あとねぇ…あのパンにソーセージはさんだやつ」

ホットドッグを指して言う


「ふふ…色々買ってみようか」

とりあえず子供たちの指したものを購入し、それ以外にもみんなでつまめそうなものを何種類か選ぶ


「随分沢山買ってきたのね?」

カメリアがギョッとした顔をする


「みんなでつまんだら楽しそうでしょ?」

壁際のベンチと荷台でみんなが輪になって座ると子供たちは我先にと食べ始める

ウーは自ら選んだハンバーガーにかぶりついていた


「美味いな」

ロキは色々とつまみながらぼそっと言う


「唐揚げがジューシーだわ」

火傷しそうなほど肉汁が溢れてきて驚いた


「この屋台は毎日やってるの?」

「日によって店が変わったりしてるけど屋台自体は毎日出てるよ」

「ウーはよく来るの?」

「俺らの食事は大体屋台だったよ。親父も俺も料理できないから」

「なるほど」

「うちは子供が小さいから大体家で作ってたけどたまに屋台で買って帰ることもあったわ。買う方が安いものもあるしね」

カメリアは言う

大量に仕入れる屋台は割安になるものも多いのだろう


「じゃぁ時々みんなでこうやって屋台で食べるのもいいかもしれないね」

「賛成!」

「僕も!」

やはり小さい子はこういう場が好きらしい

コルザとロベリははしゃいでいる


この後香辛料などを揃えてみんなで屋敷に戻った

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