11.買い物

11-1

金物屋の前ではコルザとロベリが荷台に1人ずつ乗り、じゃんけんして遊んでいた

「おまえらは中に入らないのか?」

「うん。欲しいもの無いって言ったら荷台を見張っとけって」

だから1台に1人乗ってるということか

でもこの子たち2人でってちょっと心配かも


「あぁ、なるほど。オリビエ、俺はここにいるから中見て来いよ」

「そうする。じゃぁまた後でね」

2人の頭をなでてから店の中に入った

ロキがいてくれるなら問題ないし安心も出来る


「ジョン、決まった?」

既に受付台の側には数種類の道具が立てかけてある


「ああ。とりあえず今はこれくらいだ。でもこんなに一度にいいのか?まだ使えるものもあるからそれは今度に回しても…」

「いい仕事してもらうための先行投資だから気にしないで。その代わりいい仕事してもらわないとだけどね」

そう言って笑うとジョンも笑い出す


「そりゃ気張らないとな」

「期待してるわ。カメリアはどう?」

「…一つ欲しいのが…でも無くても支障はないんだけど…」

「どういうもの?」

「これなんだけど…」

そう言って指さしたのは窓を掃除するための道具だ

磁石が仕込まれていて外側と内側を同時に掃除できるタイプのもの


「…今までどうしてたの?」

「今までは窓枠に乗って体を乗り出して…」

何その危ない掃除の仕方

もし3階から足を滑らせたりしたらと考えただけでも怖いわ


「買いましょう」

説明を遮って断言した

「え?」

「そんなの危なすぎる。子ども達だってマネするかもしれないじゃない。それに掃除にかかる時間、短縮できるんでしょう?」

「それは勿論…」

「だったら買うべきものよ。予備を含めて2つかな」

そう言って道具を手に取ると店主に渡す


「これ全部でいくら?」

「12万5千シアだな。結構な大金だが大丈夫かい?」

「問題ないわ」

「即答か。現金で払うかい?それとも…」

「ギルドカードからの支払いも可能?」

「ああ。大丈夫だ」

「じゃぁこのカードで」

私は作ったばかりのカードを店主に渡す


「な…あんたAランクって…」

「「え?」」

店主の言葉にカメリアとジョンにまで凝視される


「嘘じゃなかったでしょう?」

「こりゃやられたな」

「本当に」

どうだと言わんばかりに言うと2人は顔を見合わせ笑い出した


「これで支払いは完了だ。荷物はどうする取り置きも可能だが…」

「大丈夫だ。荷台を持ってきてるからな」

「準備がいいな。外まで運ぶくらいは手伝おう」

店主は気前よく荷物を運んでくれる


「坊主たちも手伝え」

荷台に乗っていた子供たちに声をかけると中に駈け込んでいく

中ではカメリアが指示を出して2人が小さなものを一生懸命運んでいた


「結構な量だな?」

「まだ増えるわよ」

当然のように言うとロキは黙ってしまった

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