閑話1-3
ジョンとウーに荷物を運んでもらって屋敷に着くと、新しい持ち主の2人が出迎えてくれた
随分若い2人に驚くしか出来ない
「あの、ジョンが私達もここに住まわせてもらえると…仕事も…」
ジョンが嘘をついたとは思ってないけど本当に大丈夫か心配になる
このまま追い返されたらどうしようかと思うと声まで震えてしまった
「ええ。私はオリビア・グラヨール。今日からこの屋敷の持ち主になりました。彼はクロキュス・トゥルネソル。ここで一緒に暮らします」
「あ、カメリア・オーチデです。この子たちは上からコルザ7歳、ロベリ5歳、リラ3歳です。よろしくお願いします」
「「お願いします」」
コルザとロベリが揃って頭を下げるのを見てオリビエ様は2人に笑顔を見せて褒めてくれる
前にこの子たちがジョン以外の人に褒められたのはいつだっただろうか…
そう思っていると2人は嬉しそうに笑っていた
そして同時に少し困惑の色も浮かべてる
「部屋は後で案内しましょう。外は寒かったでしょう?先にみんなでお食事にしましょう」
「ご飯?ボクのもあるの?」
「もちろんよ。これからは皆で一緒に食べましょう」
当たり前のようにそう言うオリビエ様に逆に申し訳なくなってしまいためらっていると、それを悟ったのか2人を促して先に動き出してしまった
子供の扱いにも慣れているような感じが見て取れた
「うわぁ…」
テーブルに並んだ料理を見てコルザとロベリが目を丸くしている
「見たことないのが並んでる」
ウーがボソッと呟いた
私もジョンも3人と同意という感じで呆けてしまった
そんな私たちにオリビエ様は料理の簡単な説明をしてくれた
温かい作りたての料理をお腹いっぱい食べたのは随分久しぶりな気がする
子供達のこんな嬉しそうな顔を見たのも…
「一人で頑張らなくていいんだ。ここで一緒に頑張ろう」
ジョンが私だけに聞こえるようにボソっとそう言った
その言葉が胸に染みていくのが分かる
大切な、思い出の詰まった荷物を沢山手放してあの長屋に入ってからはいつも、子供達にわびしい思いをさせて来た
子供を見てもらえない以上、他の仕事が見つからなくて、3万シアでなんとか親子4人何とか食いつないできたけど、子供達も私もいつも空腹と戦ってた
今朝ここの仕事が打ち切られると聞いたときは絶望さえしたのに…
でも今は希望さえ見える
少なくともここで働いているうちは子供達にお腹いっぱい食べさせてやれる
住む場所も食事も心配しなくていいのだと思えることが何よりうれしかった
「オリビエ様、このとろみはどうやってつけるのでしょう?」
そう尋ねると小麦粉を使うと返ってきた
スープに小麦粉など聞いたこともないけどこのとろみはクセになる
オリビエ様が料理を教えてくれるというのもすごく嬉しい
こんなおいしい料理が私も作れるようになるのかと考えると自然と笑みがこぼれた
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