閑話1-4

食事の中でオリビエ様とクロキュス様は色んな話をしてくれた

オリビエ様は王家の召喚に巻き込まれてこの世界に来たこと

クロキュス様は王の側近だったこと

そんな信じられない話をされて私たちは驚くばかりだったけど、この料理を見れば納得も出来てしまう


そしてオリビエ様のことはオリビエと、クロキュス様のことはロキと呼ぶよう頼まれた

恐れ多いけどお願いされてしまうと断れず、何度か呼ぶと不思議とその方がしっくりくる気がした


ご馳走と呼べる料理を子供たちと共にお腹いっぱい食べて、くつろぐ前に片づけてしまうわと言ったオリビエに頼み込む形で、片付けは私たちがさせてもらえることになった

さすがにこんな食事を御馳走になって何もしないなんてありえないわ

出来ることは少しでもやらせて欲しいと本当に思ってしまう


「母さん、ご飯全部美味しかったね」

「見たことないのばっかりだった」

「また食べれる?」

子供達もオリビエの料理が気に入ったらしい


「住み込みで食事つきなんですって。だからこれからも食べれるわよ。オリビエに感謝しないとね」

「「「うん」」」

「お手伝いいっぱいする!」

「僕も」

コルザの言葉にロベリも主張する

我が子ながらいい子たちだと思うのは親バカかしら?

リラはまだわかってないかな?


「ジョンもウーも近くにいるの嬉しいね」

「そうね。とても安心だわ」

それは正直な気持ちだ

長屋は争いごとも多く決して安全な場所とは言えなかった

夜中の喧嘩や怒鳴り合いで子供たちが泣き出すこともあったから


「お片付け終わったらローカの奥に来てって言ってたね?」

片付いたのをいてコルザが訊ねてきた


「そこが私たちが使ってもいいお部屋なんですって」

「でも普通のお部屋は3階だよね?」

コルザの言葉に私は固まった

確かにコルザの言う通りで1階にあるのはサロンや応接室、ホールや食堂といったとても居室と呼べる場所ではない


「…行ってみればわかるでしょ」

ここで悩んでても仕方ないのでそう自分を納得させてリラを抱き上げる

それをみて2人は走って行った


「ここが僕たちのお部屋?」

ロベリが飛び込んでいったのは応接室だったはずの部屋

その中に足を踏み入れて驚いてしまった

応接セットが取り払われて大きなベッドが2つ入ったせいで、すっかり居室になっている

よく見れば3階の居室で見た家具もいくつか運ばれているのが分かった


「とりあえず必要そうなものは揃えたつもりなんだけど足りなければ言ってね」

充分すぎるのにまだそう言ってくれるオリビエは凄いと思う


「荷物は全部ここに積んであるからゆっくり整理して頂戴ね。手が必要ならいつでも声をかけてくれればいいから」

ここまで気を使ってくれる雇い主が一体どれくらいいるだろう?

呼びに来てくれたジョンが強めに引っ張ってくれたことに心から感謝した

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