6-3

「家の称号を売ったおかげで金はある。地位に興味はないしあてがわれた女には触れる気にもならない。王が提示した金と女には一切魅力を感じなかったから保留にしてた」

「なるほどね…家の称号って?」

「王都に本家を構えるのに必要なもの。ランクによって定数が決まっててゴールドが4で100億シア、シルバーが10で30億シア、ブロンズが30で10億シア。それぞれの金額で王家に登録することが出来る。新たに称号を得たい場合は既に称号を持ってる家に譲ってもらうしかない」※1シア=1円

「…それって譲ってもらえるものなの?」

あえてその金額で登録した人たちが果たして手放すものだろうか?


「家を継ぐ者がいなくて隠居したいとか、支払う金を維持できないとか…理由はまちまちだけどそれなりに入れ替わってはいる」

「ロキが売ったのはどういう理由だったの?」

「うちは代々ゴールドを継いできたけど、5年前に両親が死んで血縁が俺だけになったんだ。俺自身は王宮に住んでるし、称号にも興味はないから屋敷の維持費が無駄と思っただけだ。基本的に登録と同額程度の金が毎年必要になるから」

1億シアを毎年払う…確かに無駄かな?


「シルバーの10家に話を持ち掛けてオークションの最終価格が1兆シア。一生遊んで暮らせる額だから金の心配はいらないぞ」

「…そういう問題じゃないと思うんだけど」

「そうか?」

「そうだよ。だって私がロキにお金出してもらう理由がないもの」

「理由ねぇ…」

ロキは何かを考えているようだ


「余ってる金を生活費に回すだけのことで理由なんて必要ないと思うけど…じゃぁ代わりに飯作ってくれ」

「ご飯?」

「料理はしたことがない」

「なるほど…じゃぁ家の中の事は全部引き受ける。それで手を打つわ」

「家の中の事?」

「そうだよ。掃除とか?」

そう言うとロキは黙ってしまった

何か変なこと言ったかな?


「ロキ?」

「いや、お前の言い方だと一緒に住むように聞こえるんだが?」

「そのつもりだけど…ちがった?」

「流石にそこまで図々しくないぞ?俺は町で宿を取るつもりだ」

「そんなのお金の無駄遣いだよ。別荘の権利書確認したけどかなり広そうだし…」

「お前な…襲われるとか思わないのかよ?」

「ロキに?」

「ああ」

「ロキは絶対無理矢理襲ったりしないよ」

「何で言い切れる?」

「だって、ロキにとって私はソル エ ユニークなんでしょ?」

大切なものといったロキが私をあえて傷つけることはない

それは何故か確信が持てた


「…お前には負けた」

「じゃぁ一緒に住んでくれるのね?」

「ああ。正直その方が守りやすいしな」

ため息交じりに吐き出される言葉に笑ってしまう


「まぁ気が変わったらいつでも言え。宿に移るのは簡単だからな」

「わかった。そうさせてもらうね」

そんな日は来ないだろうけど、ロキはそう言った方が気が楽になるだろうと思いそう告げた

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