第13話 最終決戦!

 目の前には、増えに増えて…数十万の軍勢になっていた。

 それに引き換え、此方は1人…な訳ないだろう!

 あの軍勢に対抗する為には、此方もそれなりの召喚をしなければならなくて…魔力を練り上げている最中だった。

 

 「どう見ても…20万ぐらいはいるよな? さてと…異世界召喚で契約した魔物達を見せてやるよ! 数は…劣るだろうが、戦力なら申し分ないからな‼」


 魔力の…半分以上を使うよな?

 半分で足りるかな?

 異世界召喚時の全勢力を出現させると…八割は持って行かれそうだな?

 やるか…!


 「デュラハン・ヴェルナルド! ノーライフキング・シェルザード! ダークプリースト・マイヤネート出ろ!」


 俺の呼びかけに、三人は現れた。


 「俺がお前達に命令する事は…いや、寧ろ命令なんて聞くな! 皆殺しだ‼」

 「主様よ…オレはあんたの事は好きだぜ! あんたはオレの理想の環境で呼んでくれるからな!」

 「主様! 大規模魔法を行使しても宜しいですか?」

 「あの樹も含めて殲滅して良し!」

 「それは…壊し概がありますね‼」

 「マイヤネートには…デスナイトを100体用意する。 奴等の心を折れ…いや、砕け!」

 「そう言ってくれる盟主様…本当に大好き♡」

 

 俺は続けてデスナイトを100体召喚した。

 ヴェルナルドもシェルザードの自前の軍勢がいる…がやはり数が1万程度にしかならなかった。

 俺は息を吸ってから続けて召喚した。


 「炎の魔神イフリート! 海の海龍リヴァイアサン! 大地の魔獣ベヒモス! 風の魔神ジン=ルク! 雷の聖獣イクシオン! 氷の魔神セルシウス! 光のヴァルキリー・ソルブライト! 闇の騎士ルナシェイド…出ろ‼」


 八つの属性の魔獣や魔神が姿を現した。

 これで俺の魔力は2割を持って行かれた。

 だが…これでも戦力差はあり過ぎる。

 俺は更に追加する事にするが…多分奴等を呼ぶと、魔力の6割は持って行かれる。

 俺は新たに呼ぼうとしたが、デヴァルダムツリーは地面に枝を叩き付けると、魔獣達は一斉に向かって来たのだった。


 「おいおい…こっちの準備はまだ済んでないのによぉ…?」


 こちらも合図をして向かわせるように命じた。

 両者が激突して…草原は大混戦になった。

 なのだが…数の振りが否めなくて、俺は召喚をひとまず置いてから、魔法で応戦した。


 「天空に散らばりし星々の子らよ…天と地の楔を解き放ち、大地に降り注げ! 極大魔法…メテオスウォーム‼」


 100mクラスの無数の隕石を振らせて、相手側の軍勢を幾らか葬った…が、デヴァルダムツリーはまだまだ魔物や魔獣を生み落としている。

 その勢いは俺の方まで迫る勢いだった。

 ヴェルナルドも応戦をしているが、やはり数が違い過ぎて劣勢だった。


 「クソ…やはり数では不利か?」 

 「主様…我等の参加の許可を‼」


 振り向くと、ディライトウォーカーズとナイトストーカーズが集合していた。

 俺は断る理由がないので命令をすると、奴等に向かって行った。

 俺も…聖剣と魔剣を手にしてから、黄金の鎧を身に付けると…敵陣の中に突っ込んで行った。

 斬撃を展開しながら相手を斬りまくる…が、数が減っている気がしない。

 やはり、元を絶たないと意味が無いのだが…そこまでに向かうまでに敵が多すぎる。

 デスナイトもシェルザードの不死兵も敵の数に押されて徐々に数が減って行った。

 本来ならマイヤネートが癒しで復活している筈だが、敵側の勢いに回復が間に合っていなかった。


 「これは不味いな…数が減らなさすぎる!」

 「主様! 空を見て下さい‼」


 デヴァルダムツリーは、巨大なドラゴンを生み出していた。

 そのドラゴンのブレスで、此方の陣営の兵力が失われて行った。


 「皆、聞け‼ こちらも戦力を召喚するが…時間を要する! 辛いと思うが、何とか堪えてくれ‼」

 「「「「「おぉ‼」」」」


 俺は魔力を練り上げた。

 もう…出し惜しみをしている場合ではない!

 奴等に賭けようと思った…が、魔力が持つかが解らない。

 先程のメテオスウォームもかなりの魔力を消費したからだ。

 俺は奴等とは第二の異世界召喚で契約をしたが…あまり呼び出した事は無かった。

 奴等を呼べば、この戦況をひっくり返せるが…あまりにも巨大で召喚がとは言っていられないな!


 「我が召喚に応じよ! 幻竜ミドガルズオルム! 聖竜フレーズヴェルグ! 邪竜ニーズヘッグ! 詩竜ラタトスク! 光竜バハムート! 闇竜ティアマット! 星竜ヴリトラ! 月竜アジュダヤ! 氷竜ヨルムンガンド! 黒竜ファヴニール!」

 

 俺の背後から10個の召喚陣が空中に現れると、10匹のエンシェントドラゴンが姿を現した。

 俺はあまりの魔力の消費量に酷い頭痛が発生した。

 ほとんど全ての魔力を消費し、更には魔力の過剰使用により頭が割れそうになっていた。

 

 『主はやっと我等を呼んでくれたか…』

 「のんびりと話をしたい所だが…やる事は解っているか?」

 『無論だ! 行くぞ…我が子らよ‼』

 

 10匹のエンシェントドラゴンたちは空に向かって飛び立って行った。

 あとは俺が意識を失わないかに掛かっている。

 俺の場合、召喚を行った場合…意識を失うと呼び出した者達が勝手に送還されてしまう。

 俺はジョブが召喚士では無いので、何も無いも代償なしには呼び出せない。

 ただこの状態だと、ほぼ無防備になる。

 今の俺はレベルが2000近くはあるが、体力的にはそう残されてはいない。

 過剰使用は体力を削られるからだ。

 そんな俺の身を案じてか、護衛にはディライトストーカーズが守ってくれていた。


 「やはり…呼んで正解だったな! 戦況がひっくり返った。」


 エンシェントドラゴン達は、その圧倒的な強さで魔物や魔獣達を蹴散らして行った。

 そしてデヴァルダムツリーの枝を焼き払い、更にはデヴァルダムツリー本体にブレスを浴びせると、デヴァルダムツリーは徐々に形を変化していき小さくなっていった。

 俺はそれを見届けると…全て召喚した者達を解除した。

 ただし…以前に呼んでいたディライトストーカーズとナイトストーカーズは別でその場に留まっていた。


 「あとは…アイツを処理するだけだな?」


 俺はナイトストーカーズの数人に肩を借りて近付くと、俺と同じ高さのデヴァルダムツリーがあった。

 俺は聖剣でトドメを刺そうとすると、デヴァルダムツリーはマサギの姿に形を変えた。


 「何の真似だ?」

 「サクヤ! 俺達は親友だろ? 俺の攻撃をしたりしないよな? しないよな?」

 「あぁ…一番斬りたい顔だよ‼」


 俺はデヴァルダムツリーを聖剣で切り裂くと、デヴァルダムツリーはまた別な姿に変化した。

 それは…セルリアの姿だった。


 「サクヤ殿…私を攻撃したりはしないよな?」

 「貴様…マジでいい加減にしろ‼」


 俺は聖剣と魔剣で滅多切りにすると、デヴァルダムツリーのコアが転がっていた。

 俺は聖剣を突き刺すと、コアは粉々に砕け散った。


 「これで…終わりだよな?」

 

 俺はナイトストーカーズに尋ねると、頷いたので…空を見上げて終わりを実感する事が出来た。

 過去の魔王の中には、何度か進化をする個体もいたが…コアを砕いたのだから、他にはもういない。

 そう思っていたが、俺は背中から剣で刺されて右胸を貫かれていた。

 首を動かして後ろを見ると、クマのぬいぐるみのマサギが剣を持って俺を刺していた。


 「俺があんな手に引っ掛かる訳ねぇだろ! やっとお前に一泡吹かせたぜ‼」

 

 マサギは高笑いをしたのも束の間…ナイトストーカーズに八つ裂きにされて散って行った。

 俺は前に倒れてから、魔力欠乏症やその他の疲労などもあり意識を失った。


 そして目を覚ますと、そこは雲の上…だった⁉


 「まさか…俺は死んだのか?」

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